第3話 あれほど思いつきで新キャラ投入は止めろと―1
ともかく、そんなことからプリチャ、タンサニー、サクチャイの3人が急きょ登場することになりました。
とはいえ、第一部でプリチャらは退場予定で、そんなことから行方不明の夫云々の設定を予めしたのですが、何だか描く内にホームドラマのような雰囲気が漂うことになり、タンサニーらが上里松一に実の父親のように懐く状況に。
そうなると、タンサニーらと実の父のサクチャイの関係も、それなりに描かざるを得ず、ますます話の軸がズレるという事態が。
そんなことから、この大河小説で最初の頃のヒロインを務める筈だった張娃、後の上里愛子はヒロインでは無くなり、代わりにタンサニーこと上里美子が、最初のヒロインに結果的になる事態が起きました。
もっともこうなったのには、他にも理由があります。
第二部以降、上里松一がインド株式会社の重役になったことから、現場に上里松一を行かせづらい事態が起きたのです。
そして、それなりに小さい子を抱えているのに、上里愛子が夫を差し置いて、ホイホイと家を出て活躍するのはどうか、ということにも。
私の当初の大プロットでは、上里松一は暫くシャム王国に赴くだけで、何れは海軍士官に復職して、日本の世界侵出に協力して出世して、最後は海軍大将なり、元帥にまでになる予定でした。
そして、上里愛子は14,5歳になればアユタヤに赴いて、松一の妻になる筈でした。
その末に、海軍軍人夫妻として、松一と愛子は人生を歩む筈だったのです。
ところが、私の筆が奔った結果、とある感想では、松一もプリチャも張娃も頭がおかしい、とまで言われる事態になってしまい、松一は海軍軍人を退役して、インド株式会社の重役として働くことに。
そんなことから、上里松一と愛子が動きづらくなってしまい、上里美子が第二部ではオスマン帝国に赴いて、現地で活躍する事態が起きました。
とはいえ、これ又、今更ですが。
当初のプロットでは、久我晴通と美子は素直に結婚する筈だったのです。
ところが、そうなると久我美子という名前になり、当時は存命だった某有名女優の芸名と同姓同名になって、一発で小説が全部削除されるよ、という指摘を、とある方から受けて、「なろう」の運営にきちんと確認すべきだったのでしょうが。
実際に存命の方と同姓同名の別人として出しても「なろう」の運営は削除した、とその方が言ってこられたことから、美子と久我晴通を結婚させるのを断念することに。
その一方で、当時の感想欄では乙女ゲー世界ではありませんが、上里美子の結婚相手として、誰が妥当なのか、この人が良い、いや、この人が、という話が出る有様になりました。
そんなことから、この際に上里美子と織田信長を結婚させるか、と作者の私が暴走した、と言われても仕方のない決断をすることになりました。
その結果として、数ある仮想史小説の中でも指折りと言っても過言ではないのですが。
「織田信長は不憫」
というタグが乱立する事態が起きることに。
実際問題として、史実よりも遥かに幸せな人生を、織田信長は上里美子と結婚することで歩んでいる筈なのですが、作者の私にしても、どうにも不憫だな、どうしてこうなったのか、と想う人生を亡くなるまで歩む事態が。
本当にどうしてこうなったのか。
ともかく、で済ませてはいけませんが、この世界の織田信長は逆玉婚にも程がある結婚をした末に、日本史上初の首相に就任することになりました。
(従三位尚侍である三条美子女公爵の夫となったことから、今上(正親町天皇)陛下に知られて、首相に織田信長がなるとは)
儂は妻の御蔭で首相に成れたというのか、と私の夢枕に織田信長に立たれた末に、罵倒されるような流れになりました。
細かいことを言えば、織田(三条)美子は、清華家の三条家の当主代行に過ぎませんが、日本以外では三条美子女公爵として、この世界では認識されているのです。
(この辺りは、日本以外では清華家が公爵家とされている等のこの世界の事情からです)
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