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追補 陰の勝利者 琉球王国

 色々な意味で完結したことから、改めて「戦国に皇軍、来訪す」シリーズを拾い読みに近い形で、作者の私自身が読み直しています。

 そして、読み直していくにつれて、この物語の中で陰の勝利者になったのは、琉球王国の気が作者の私はしてならなくなりました。


 確かに第一部の冒頭で、これまで独立国だったのが、「皇軍」の恫喝によって日本の属国になるという悲運に琉球王国は遭いますが。

 そうは言っても、史実では琉球王国は後に島津氏の侵攻を受けることになり、更にその後には日清両属の形になり、更にはその後の未来の歴史の流れまでも考えるならば。


 この世界では、奄美諸島以南、台湾以北及びその周辺諸島を、琉球王国は領土として確保することになり、更にこの世界の歴史の流れの中では、日本の属国から日本と対等な独立国になることに成功し、最終的には末弟という立場にはなりますが、日本の皇室、後金の帝室、モンゴルの帝室、明の帝室、と琉球王国の王室は兄弟関係を結んだのです。

(その結果、李氏朝鮮の王室は後金の帝室と父子の関係を結んでいることから、琉球王国と李氏朝鮮は叔姪関係となって、琉球王国の方が格上になりました)


 勿論、そうなるまでには紆余曲折があって、日本の属国になったことから軍隊を長きに亘って事実上は持てなかったり、北米独立戦争では軍隊を急きょ編制して派遣する羽目になったり、最終部でも明記はされていませんが、満洲の地、後金の領内に琉球王国軍を駐留させる羽目になったり等の苦難の路を、作中の琉球王国は歩んでいるのですが。


 そうは言っても、史実の流れからすれば、この世界の琉球王国は勝者といえる立場になった、と言っても過言ではない気がします。

 

 少なくとも1700年代前半までは、琉球王国の領土は安定して保全され、独立を維持するでしょう。

 そして、台湾が自国領になっている以上、琉球王国の食料自給率は100パーセント以上を確保できるのは間違いなく、琉球王国内から飢きん発生に伴う餓死は、基本的に根絶される気がします。


 更に言えば、この世界の琉球王国に対する外国の脅威は、その地理的位置からしても皆無に近いです。

 この世界の日本にしてみれば、琉球王国は外国であり、更に言えば、諸外国も日本と琉球は別の国と認識しています。

 そうしたことからすれば、琉球王国を日本が併合、合邦することは極めて考えにくいです。


 そして、日本の隣国である琉球王国を他の国が侵略することは、それこそ日本にしてみれば重大な安全保障の危機を招来します。

 又、太平洋条約機構に琉球王国は加入もしています。

 そういったこの世界の事情を考えれば、尚更に琉球王国に外国が侵略するのは無理筋です。


 外国の脅威が事実上は存在しない琉球王国は軽武装を維持することになり、それによって浮いた国費を国内経済振興に投入するでしょう。

 それこそ史実の1980年代の日本のような立場を、この世界の琉球王国は少なくとも1700年代前半に至るまでは維持すると私は考えます。


 そうなってくると、1980年代の米国で日本パッシングが起きたように、日本から軽武装で産業振興に努める琉球王国を許すな、という主張、世論が強まる気が私としてはしなくもないですが。

 

 この辺りは考える程に悩ましい、細かい流れになる気がします。


 でも、史実の琉球王国、又、沖縄の歴史の流れを私なりに考える程、この世界の琉球王国は史実よりも遥かに幸せになった。

 又、琉球王国の民は平和を謳歌して、史実よりも幸せな日々を送ることになった。

 そんな想いが溢れて、私は成りません。

(余談に近い話ですが、この世界では琉球王国と日本の皇室の間で婚姻関係が結ばれる気さえします)

 ご感想等をお待ちしています。

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― 新着の感想 ―
なんやかんや沖縄人は遺伝学的言語学的な大和民族の傍流ですので案外後に併合論とか出たりしそうですぬ。
 超大国──大日本連邦──の巨大な曙光の影で密かに「その世界の仕組みから最大の利益享受者」にちゃっかり成り上がっていた琉球王国( ̄∀ ̄)まあ物語の主人公格が「沖縄を故郷」だと胸に秘めた上里松一さんで、…
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