表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/24

第15話 東西教会合同等、この世界のキリスト教について

 少なからず危ない話、ネタに踏み込み続けますが。


 この世界のキリスト教について、ある程度、まとめてこの際に振り返りたいと考えます。


 宗教の世界史に詳しい人なら自明のことかもしれませんが。

 史実でも16世紀のキリスト教世界は、宗教改革運動の激動の荒波に襲われています。

 ルターやカルヴァンらのプロテスタント運動が起きる一方で、又、それに対抗するためのイエズス会等による反宗教改革の大きなうねりが欧州では起きました。

 その一方、オスマン帝国等のイスラム教勢力の脅威に、史実の欧州のキリスト教徒はさらされてもいたのです。


 こうした状況下にある中で、「皇軍来訪」があったこの世界では、どのような動きがキリスト教世界に起こっていくのが至当なのだろうか、と私なりに考えることになりました。


 世界に侵出していこうとするこの世界の日本にとって、スペインやポルトガルは当面の宿敵になります。

 そして、その背後にカトリック教会がいるのは自明の理です。

 それならば、日本としてはオスマン帝国等のイスラム教勢力と友好関係を保つ一方、カトリック教会に何らかの打撃を与えようと動くのが当然だ、と私は考えを進めて。


 東方正教会に梃入れを日本が図るのが妥当だろう、と私は考えた次第です。

 最も話を描いていく内に、それが別の方面にも影響を与えた結果、東西教会の合同等にまで至るとは、本当に自分のことながら筆が良くそこまで奔ったものだ、とも考えてしまいます。


 ともかく第3部で、オスマン帝国政府の了解を得た上で、日本政府は東方正教会を支援して公会議を開催することとなり、改めてフィリオクェ問題は異端であり、カトリック教会は異端に染まっていると公会議は宣言することになり、又、新暦(史実で言えばグレゴリウス暦)を東方正教会は採用することになります。 


 そして、このことが発端となって、オスマン帝国内に住む日本人の多く、浅井長政夫妻等が東方正教徒に改宗する事態が起きます。

 更には、東方正教徒に改宗した日本人が増えたことが、ローマ帝国復興の背景にもなりました。


 そして、1585年にローマ帝国復興が起きて、1590年にはローマ帝国は本来の首都ローマを領土として回復することになり、その力を背景に東西教会の合同が図られる事態へと。


 それにしても、「東西教会の合同」を実際に小説上でおかしくないように描写するのは、本当に大変なことになりました。

 私なりに新書に過ぎませんが、それなりに「東西教会の分裂」の背景を読み込んで、又、様々なネット情報にも当たったのですが、完全な「東西教会の合同」はどうにも無理がある、と私は考えることになり、東西教会がフル・コミュニオン関係を結ぶという結論になりました。


(ということは、マロン派教会とカトリック教会と東方正教会の3つの教会が、この世界ではフル・コミュニオン関係を結んでいるのだな、と今更ながら、私は気づきました)


 しかし、その一方で「東西教会の合同」が果たされるということは、フィリオクェ問題は異端であるというのをカトリック教会は受け入れるということになり、一部の納得のいかない聖職者や信徒がカトリック教会から分離して当然とも考えました。


 実際に1870年の第1バチカン公会議の結論に反発して、復古カトリック教会が成立するということが現実世界でも起きています。

 そんなことから、この世界なりの古カトリック教会が作中で登場することになりましたが。


 本当にここまでキリスト教会のことを、結果的に描くようになるとは、この小説の執筆を開始し始めた当初には思いもよらないことで、宗教面にそう詳しくない私は、調査や執筆には本当に苦労することになりました。 

 ご感想等をお待ちしています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
 宗教ゆるゆるな日本人には「元は同じ唯一神の宗教だから教義をすり合わせるのぐらい簡単だよなぁ」程度にローマの再興が描かれていた当時は流してましたが(・Д・)マジに考察するとなかなか厄介な「フィリオクェ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ