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お手紙カフェ・ミコトバ  作者: 地野千塩


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約束と折れない芯(1)

 秋雨心美は、深く悩んでいた。悩んでいる内容は、夫との関係だった。


「ごめん、今日から仕事が忙しいのよ」


 朝、忙しい時間の中で、手の凝った食事を用意できなかった。食パンと、ジャムとインスタントスープを食卓に出す。


 夫は、少し不満そうではあったが、ボソボソと食パンにジャムをつけて食べ始めた。心美も一緒に食べ始めたが、二人の間には会話は全くなかった。


 結婚して三年たつ。確かに新婚当初は、気持ちも熱かったが、恋愛期間も長かったせいか、次第に冷めていった。心美は結婚相談業の会社の社長もしており、忙しい。小さな会社だったが、責任もある。夫も経営者で、忙しい日々をおくっていた。


 二人とも三十歳になるが、今のところは子供の兆候もない。そこへ至るまでの行為は二年以上やっていない。いわゆるレス夫婦というものだろう。だからといって不倫などをしている事もなく、離婚のきっかけなどもなく、冷え切った夫婦を続けていた。それに心美は、結婚相談所の仕事もしているので、離婚なんてしまうと、色々とイメージダウンにもなってしまう。


「なあ、心美。もうちょっと、食事もしっかり準備できないか?」

「ごめん。私も働いてるんだよね。家事まで妻に求めるのは、違くない?」


 そういう時、夫はかなり不機嫌そうな表情を見せてきた。もう身支度を整えて、髪の毛もセットしてある。こうしてみると、かなり外面がいいが、家では全く笑わない。


「そうだけどさー」


 夫は不満そうに吐き捨てると、スーツの上着を着て出かけれ行った。今日は顧客と何回も会う予定らしく、面倒くさーと愚痴をこぼしながら、家から出て行った。


 一人残された心美は、ボソボソと食パンを食べ続けた。正直、家事は得意ではない。女性も働けという時代なのに、相変わらず家事への圧力が強いのは納得がいかない。


 海外だとお弁当なんかも簡素だったりするが、日本はそうでもない。手作りが愛情の証拠みたいなところがある。特に証拠も無いものに縋っているのは、手作り神話というか手作り宗教にようにも感じる。実際、手作りの料理と既製品の料理の愛情の差なんて測りようがないのに。


 心美の母もいわゆるキャリアウーマンで、会社内で役員もやっていた。弁当もかなり質素だったが、母は開き直っていた。その事を思い出すと、夫から暗に手作り料理を作れと言われているには、何となく納得できない。


「はぁー」


 心美は、簡素な朝食を食べ終えると、身支度を整い、仕事へ向かった。

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