第一章
那月の話が終わると、皆が静かに涙を流していることに気づいた。すると、りなが「もうこんなことは終わりにしなきゃ。もう、しんどいよ。」と言った。
確かに彼女の言う通りかもしれない。僕らはこの世界で幸せになるべきなんだ。だからこそ、ここで決着をつけなければならない。僕はそう思い、立ち上がった。それに続いて周りで聞いていたみんなも立ち上がる。
僕はもう一度、りなの方を見た。彼女は僕の方を見て微笑んでいるように見えた。
それから少し経ち、全員の準備が終わったところで、僕達は城を出た。城の外には沢山のウィザーゾンビやスケルトンライダーが集まっている。もうすでに大量の魔物達がこちらに向かって来ており、戦闘が開始されていた。そんな中、僕らはゆっくりと魔物達の間を歩いていった。リオの『アンチライフ』のおかげで周りの魔物達は大抵範囲内に入った途端即死し、次々と消えていく。だが、中には魔法耐性が高いものや元々不死身の種族などもいるため、そういった相手に対しては普通に攻撃しなければ倒せない。そのため、魔法使いであるリオの攻撃では倒すことが出来ない。
なので、今はリオのスキルによって強化された僕らの攻撃が頼りだ。
しかし、僕らはもうすでに心と体がリンクすることが厳しいため、一撃一撃と攻撃するたびに吐き気やらさまざまな不快に包まれてゆく。さらに、体力の限界もあるため、いつ倒れてもおかしくない状況だ。それでもなんとか立ち上がって前に進む。
そうして、しばらく歩いていると、ようやく敵の本拠地と思われる場所が見えてきた。そこには大きな扉があり、その前には一人の女性が立っている。おそらくあれが魔王だろう。