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こんにちは!本気狩町の魔法使い  作者: よしきた!トマト狩りの季節じゃい!
とある3人組
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001 「こんにちは!本気狩町!」

たけのこ(特に意味はない。)

「こんにちは!本気狩町(ほんきがりちょう)!がはははは!遂にやって来たぞ!」

三十代ぐらいの男性が胸を張り腰に手を当て声高らかに叫んだ。

突然の大声に周囲の通行人らが奇異な者を見る目を向ける。

「チッ叫ぶなよ…。耳痛いし暑いし目障りだしここでの活動がしにくくなるだろ。」

叫んだ男性の右隣に立って携帯をいじっていた少しやつれ顔の男がしかめ面で舌打ちをする。

「タクシー代払って来ましたよ。あとで料金と手間賃合わせて請求しますね。」

後ろからそう言いながら、長身の女性が微笑みを浮かべながら歩いてきた。彼らはタクシーでここまでやって来ており、到着するやいなや出ていった(片方は飛び出していった。)男性2人に代わり彼女が代金を支払っていたのだ。余談だが、料金とはタクシー代で、手間賃とは彼女が"支払う"という労働をしたことに対する賃金である。因みに今回の場合は税抜き千円である。高い。

「うむ。ご苦労だった。これで3人揃ったな!」

叫んだ男がそう言ってニヤリと笑った。


ここで本格的に物語が始まる前に、3人の紹介を軽くしよう。

まずは長身の女性。名を跡野奉(あとの まつり)と言う。黒くて艶のある黒髪を腰の部分まで伸ばしており、黒を基調とした服装を着用している。夕方以降には会いたくない風貌である。彼女は金さえ払えばどんなことでも行ってくれる何でも屋で、手際が良いことで一部で有名な存在である。ただ細かいことまでも対価を要求してくることと、その求める対価がぼったくりであることから悪魔とか魔女とか呼ばれている。


次は舌打ちをしたやつれ顔の男性。名を今川太朗(いまがわ たろう)と言う。少し猫背ぎみの男で、疲れているせいなのかとても目付きが悪い。白衣とちっさな眼鏡をかけており、科学者の風貌である。ただ目付きが悪いせいでマッドサイエンティストの方に見えてしまうが。彼は超常現象を研究する学者で、突飛ぬけた発想と実験を行うことで有名な人物である。


最後に冒頭で叫んだ男である。名を高橋充(たかはし みちる)という。若さを忘れない快活な中年で、黒い短髪と艶のある肌に生えた無精髭が特徴。そこそこでかい会社を経営していたが、とある夢を追い求めるために友人に託し辞めた。今まで稼いだ膨大な資金を元手に上の二人を引き連れてこの町にやってきた。


カーン カーン カーン カーン…


「おお!いたるところから鐘の音が聞こえるぞ!!」

「ちょうど12時か。…ちっ五月蝿すぎないかこれ。」

「話には聞いていましたが、本当に町のあちこちに鐘付きの塔があるんですねぇ。」

3人それぞれが感想を述べる。

この町には、最小で2メートルはある鐘塔が大小さまざまあちらこちらに建っていた。


カーーーン カーーーン カーーーン…


「おおおおおおおおお!!!この大塔の鐘もなりはじめたな!なんて身体に響く音なんだ。」

3人がタクシーから降り立ったのは町の中央。そこには500メートルはあるらしい塔がそびえていた。

「…ったく、びっくりしたな。俺がこの町の住民だったら、即ぶっ壊してるなこれ。」

「町の住民達は気になってないみたいですけどね。」

跡野奉が、行き交う人々を見ながら言う。

「脳みそイカれてんじゃね?」

今川太郎がありえないと顔をしかめる。

「まぁ、普通に考えて慣れでしょうね。産まれたころから聴いていれば気にならないでしょう。」

「わかってるよそんなこと。悪態ぐらい言わせろ。……だけど、塔が建った時代の住民は反対しなかったのかよ。普通、建てるにしてもこのでかいの1つでいいだろうに。」

今川太郎が中央鐘塔を見上げる。

「ですよね。普通に考えて無駄でしかないですし。…それにしても、これの建設業務を担った会社は大儲けでしたでしょうね。公共事業でしょうから、そりゃもうきっとたんまりと。もしかしたら裏の方でも金が動いていたのかも知れませんね。どこの建設会社に依頼するのかで。」

跡野奉が巨額の金が動いたことを想像してニマニマと嗤う。

「当事者じゃないのに嗤うなよ。きもちわりぃ。」

今川太郎が吐きそうなふりをする。

「ふふふ。良いではないですか。生きる上での楽しみの1つなのですから。」

「ったく、こっちは乱立してる"鐘"の話をしてるっていうのによ。なんでそういう話にずれるんだよ。」

「しているじゃないですか"かね"の話を。ふふふ。」

「ああ?してねぇって言って………ちっそういうことかよ。ちっしょうもねぇ。」

今川太郎がシャレに気が付き酷く嫌そうな顔をする。

「まぁ、鐘塔がいくつも建てられた経緯は後々調査するとしまして、なによりもの問題は…。」

「この町がほとんど知られてねぇことだな。」

跡野奉の言葉を今川太郎が受け継いで言う。

「ここに来るまで高橋の戯言だと思っていた。日本にこんな立派な鐘塔があるって聞いたこともねぇし、ネットで検索してもほとんどヒットすらしなかった。塔も町も。」

「ほとんどってことは少しはヒットしたのですか?」

顎に左拳をつけた跡野奉が疑問をなげる。

「あーいや、ヒットしたと言っても、だれかしらの旅ブログなどに地名だけ書いてあっただけだ。」

「なるほどなるほど。…………その程度しか残らないのですか。」

跡野奉が怪しい笑みを浮かべて思案している。

「このでけぇ塔に無数の小塔。こんなもんが話題にならねぇ訳がない。なのに、テレビや雑誌は取り上げたことはない、いい観光スポットなはずなのに、旅行会社さえ知らねぇときた。」

「あら、意外と徹底的に調べているのですね。」

「ったりめぇだ。こちとら学者だ。気になったものは調べずには置けねぇ性分なんだよ。しかも高橋には毎回変な所に連れていかれるからな。しかも全部ハズレ。身が持たねぇ。」

今川太郎がしみじみと言う。

「それは残念です。私が事前に調べたことを披露しておひねりを貪り取ろうを考えてましたのに。」

「残念ってそっちかよ。ったく。まぁでも情報が全くないから、今までで一番期待していなかったがよ。今回は…。」

「当たりでしたね。ふふふ。」

「ちっなんでお前が言うんだよ。…まぁいい当たりだ当たり。こんな摩訶不思議な地。学者の血が騒ぐぜ。」

今川太郎が不敵に嗤う。やつれ顔に久しく精気が戻る。

「ふふふ。そういえばあなたはならず者じゃなくて学者でしたね。」

「ちっうるせぇよ。」

今川太郎が跡野奉の顔を睨む。因みにだが身長は跡野奉の方が頭1個分高い。

「…ちっ。まぁいい。さぁさっさとこの町の不思議を暴きにいこうぜ。くくくっ。妖術の類か宇宙人の仕業かもしくは…。」

「魔法に決まっているだろう!」

とここで、今まで話を耳半分で聞きつつ鐘塔を眺めていた高橋充が今川太郎の言葉を遮った。

「ふふふ…ははは……がーはっはっはー!ついについについにこの時が来たのだ!幼い頃からの忘れがたき夢であった魔法との邂逅が!」

笑いをこらえ切れなくなり大笑いをする高橋充。その顔は少年のようであった。

「あーうるせぇうるせぇ。魔法でもなんでもいいから声量は落とせ。」

今川太郎がしかめっ面で耳を押さえる。

「ここで話していても目立つだけですし、ひとまず腰を落ち着かせられる場所でも探しましょうか。」

「そうだな!調査するためには拠点となる場所が必要だ!どこかの家を借りよう。…いや、せっかくの魔法の町だ!いっそのこと購入しよう!」

高橋充がわくわくしながら眼を輝かせる。

「なんでそこまで話が跳躍するんだよ。跡野が言ってるのはどこかの喫茶にでも入ろうってことだろ。」

「がはははは!!そういうことかすまんすまん!」

「…たく。まぁ、家を買うこと事態は賛成だけどな。わざわざ家でなくてもいいが、自由に出きる場所がねぇとな。ホテルじゃまともに研究できやしねぇからよ。」

「う~ん、どんな物件がいいか。」

「ふふふ。移動しながら考えましょうか。あちらの通りに何軒かお店らしきものが見えますよ。あと家を買うなら私の希望としては、バスルームが大きいところがいいですねぇ。」

「部屋が広くて不便しなけりゃなんでもいい。」

「重要な点として、シアタールームは必要だな!」

「絶対いらねぇ。」

「音響も充実させましょうね。」

「いらねぇって言ってるだろがよ。俺らは映画を観にきたんじゃねぇだろ。」

とまぁこんな感じで言い合いながら、3人は適当な店を見つけるために歩き始めた。

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