第67話
しばらく、考えた。
ここに居る奴らを皆殺しにすれば、帝国の内政が乱れるので、しばらく戦争はできない。
一番、簡単な方法だろうが、数年で落ち着くか。
しかし、帝王は30歳くらいだから、子供は大きくても15歳くらいか。
そんなのが代を継いでも、この宰相みたいな奴に利用されて終わるか。
とりあえず、この宰相は死刑だな。
これは決定だ。
「おい、宰相、お前は死ね。」
と言ってデスを発動させた。
宰相は、コロッと死んだ。
「おい、帝王、お前、何歳だ。お前の子供は、何歳だ。本当の事を言って。」
と言うと、
「私は26歳です。正妻との間に10歳の長男、8歳の長女、6歳の次女、側室との間に9歳の次男、7歳の三男が居ます。」
と言うので、
「では、10歳の長男、9歳の次男、6歳の次女を連れて来い。」
と大司教に指示をするが、
「まだ子供です。後生です。」
と懇願してくる。
ある意味、大司教はブレない。
「殺しはしない。」
と言い聞かせる。
「全く、私を殺人鬼の様に思っているのか。大司教は。」
と思い悪態を付く。
傍に居た騎士のパラライズを解除し、連れて来る様に指示をする。
帝王が頷いたのを見て、騎士は走り出した。
しばらくすると、騎士が10歳の長男、9歳の次男、6歳の次女を連れてきた。
鑑定したので、間違いない。
「この子達は、エスリンゲン国の人質とする。連れて帰る。」
と言ったところ、大司教は胸を撫で下ろしていたが、帝王は苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
「エスリンゲン国と不可侵条約を結べ。判ったな。」
と申し付けると、帝王は、
「判った。」
と、力なく言った。
「では、持たせる物があれば、用意しろ。30分だけ待つ。」
と言って、玉座に座った。
30分後、子供達3人と、その専属メイド3人が控えていた。
そして、マジックバッグに荷物を入れた様で、皆、軽装だった。
「メイドもか。」
と聞くと、どうやら、一緒に行くらしい。
「でも、こいつは駄目だ。」
と言って、1人のメイドを指差す。
「・・・。」
指を差されたメイドは何も言わないが、10歳の王子から離れようともしない。
「お前、母親だろう。王妃が何をしている。」
と言って、私が看破していることを告げると、侍女達が傍に行き、王妃を連れて下がった。
王妃が下がった後、本物のメイドが王子の傍に付いた。
ゲートの魔法で、ドルトムントの王城と繋ぎ、先に6人を行かせ自分もゲートを通る。
近くに居た騎士に、近衛騎士団長か魔法師団長を呼べと指示したところ、直ぐに近衛騎士団長が来たので、事の顛末を説明した。
数人の騎士達が、帝国の王子達を何処かに連れて行った。
「これで、帝国はエスリンゲン国に手を出せないだろう。不可侵条約も強気で行け。」
と言って、全て引き継ごうとしたが、
「御一緒に、お願いできませんか。」
と懇願されるので、近衛騎士団長と一緒に国王の執務室へ向かった。
執務室の前で、近衛騎士団長が、
「ハルト様が、いらっしゃいました。」
告げ、執務室に入る。
部屋に入ると、国王は机に向かって仕事をしているところだった。
国王は、私を見ると立ち上がり、
「ハルト様、どうぞ、こちらに。」
とソファーを勧めてきたので、
「仕事中に悪いね。些細なことだが騎士団長が煩くてね。」
と言うと、近衛騎士団長が、
「些細じゃありませんよ。勘弁してください。」
と、困った顔をし反論する。
「帝国に行って、『エスリンゲン国に手を出すな』と言ったら、歯向かってきたので、やり返してやった。それで、王子と王女を人質として連れてきた。あと、不可侵条約を結ぶように約束させたぞ。」
と、簡単に説明したが、こうやって言うと、私が悪い奴みたいに聞こえる。
「ハルト様、何人殺したのですか。」
と、王が聞いてくるので、
「私を殺そうと刺客として送られた冒険者を5人、私を封印しようとした魔法師団長、それを指示した宰相、計7人だな。」
と答えたところ、王は、
「我が国のため御尽力戴き、ありがとうございます。」
と言って、頭を下げてきた。
「帝国の様子を観に行って観光してただけだが、何故かこうなってしまった。流れで人質を取って来たが、処分は任せるよ。返しても良い。国王は、子供がいるのか。」
と聞いたところ、
「私には、8歳になる王子と、6歳の王女、4歳の王子、1歳の王女がいます。」
と言うので、
「連れてきた人質は、10歳の男の子と6歳の女の子が正妻の子だ。9歳の男の子は側室の子だ。10歳の男の子は、長子だから後継ぎだと思う。歳も近いし、仲良くさせれば、後世も平和が続くだろう。やりっ放しで、申し訳ないが、後の処理はお願いできるかな。」
と話すと、国王も頷いて「判りました。」と了承した。
「では、帰るとするよ。」
と言って、家に帰った。
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