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第64話

 4月10日 火曜日


 メイド長に、今日の日付を聞いたところ、今日は5月9日らしい。

 最近、気にしてなかったから、判らなくなっていた。


「貴族街に引っ越すことになった。新築するので、家が建ったら、引越しをすることになる。ちょっと帝都に行ってくるから、よろしく。」


とメイド長に伝えた。


「さて、帝都に行ってみるか。」


 ギルドマスターから、関所が通行止めになっている話を聞いたので、迷宮経由で帝都に行くことにした。

 迷宮転移で帝都迷宮の地下1階に行き、地上に出ることにした。


 迷宮の出口から地上に出ると、目の前は衛兵の詰所だった。

 槍を持って立番している衛兵が、


「怪我は無いか。」


と声を掛けてくれたので、


「ああ、大丈夫だよ。」


と返事をして、そのまま詰所を通り過ぎた。

 ドルトムントと同じだ。


 周りを見渡すと、森の中だ。

 マップの魔法を発動し、現在地を確認すると、帝都ハンブルクの北側に迷宮はある様だ。

 街道を歩いて、徒歩10分くらいか。

 一直線なので、ここから帝都の城壁が見える。

 城壁の高さは、約10mくらいか。


 帝都の北門と思われる場所に着いた。

 門番をしている衛兵に冒険者カードを見せ、そのまま帝都の中に入った。


「流石、帝都だな。人が多い。」


 北門から、幅10m位の石畳の道が、真っ直ぐ伸びている。

 1kmくらい先に、城が立っている。

 マップを見て確認すると、帝都は碁盤の目の様だ。

 綺麗に区画が、整理されている。


 とりあえず、冒険者ギルドに行くことにした。

 マップを見ると、直ぐ近くなのが判る。


 帝都の冒険者ギルドは、区画1ブロックの大きさだった。

 大きい。

 しかも、3階建てだ。

 中心部分は中庭になっているが、おそらく訓練場だろう。


 冒険者ギルドに入る。

 中の作りは、ドルトムントと同じ様な感じだった。

 とりあえず、受付窓口に行き、受付嬢に挨拶をする。


「おはようございます。受付嬢のロージーです。帝都は初めてですか。」


 受付嬢は、15歳くらいだろうか。

 まだ子供といった感じの愛らしい女の子だった。

 しかし、言葉使いや仕草など、ちゃんと教育されている様だ。


「そうだ。初めてだ。ここのギルドは、凄く大きいね。」


と言うと、


「ギルドの施設は、変わらないと思いますが、低レベル冒険者用に宿泊施設が併設されています。」


と説明を受け、大きい理由が判った。


「さて、良い宿屋の場所を教えて欲しい。あと外の魔物を狩るのに良い所は無いか。」


とロージーに聞くと、


「では、ギルドカードの呈示をお願いします。」


というので、ギルドカードを渡す。


「ハルト様ですね。ランクは判りました。こちらの地図を御覧ください。帝都の宿屋と食事処について書いてあります。」


と言って、1枚の地図を渡してきたので、それを受け取った。


「これは、貰っても良いのか。」


と聞くと、


「はい、大丈夫です。狩場についてですが、高ランクの魔物であれば、ここから馬車で2日ほど南に下った場所にある山の麓周辺に、コカトリスが生息しています。」


と説明するので、


「そうか、ありがとう。とりあえず、この地図を見て帝都を散策するとするよ。」


と御礼を言って、冒険者ギルドを出た。

 しばらく、帝都の街を散策し、色々と店屋を見て回った。


「他国に侵略を繰り返している国だから、もっと荒んでいるかと思えば、案外普通なんだな。」


と思うが、侵略された都市なら荒んでるだろう。

 しかし、侵略地から搾取しているのだから、首都は華やかで当然だろう。

 街中を散策していると、マップに黄色い点が現れた。

 黄点の場所を見ると、


「なるほどね。」


と思う。

 しばらく、散策していると、捕捉された様で、だんだん近づいている。


 さて、後ろにいる怪しい奴らをどうするか。

 人数は、5人か。


 南側の城壁沿いの日の当たらない区画に移動した。

 この辺りの区画は、スラム化していた。

 お客さんを迎えるには、お互いに好都合だろう。


「さて、何の御用ですか。」


と後ろにいる男に声を掛けた。

 すると、私を取り囲む様に、残りの4人が現れた。


「それは、こちらのセリフです。エスリンゲン国のSランク冒険者が、帝都に何の用ですか。」


と、男が言ってきた。


「私は、旅が好きでね。ニュルンベルク帝国の帝都ハンブルクが、どんな街か観たくなっただけさ。他意は無い。」


と答えると、


「しかし、貴方は普通の冒険者とは違いますよね。」


と言われる。


「まぁ、そうかもしれんな。で、どうするつもりだ。」


と聞くと、


「死んでもらいます。」


と言うと、話をしていた男以外の4人が、同時に飛びかかってきた。

 私は、マジック・ブレイドをストレージから出し、「ブーン」「ブーン」と周囲を斬ると、4人は胴体から真っ二つになった。

 音も同じだ。上手くできた。


 試し切りのつもりだったが、手応えが無さ過ぎた。

 あと、焼き斬る様な感じみたいで、傷口からの出血が少なかった。


「ちっ!」


と舌打ちし、男が逃げようとするので、得意のパラライズで行動不能にし、マジックバッグに入れた。


「さて、私の存在がバレた理由は、衛兵か冒険者ギルドの2択だ。」


 昼飯を食った後、冒険者ギルドに戻り、さっきの受付嬢であるロージーに声を掛けた。


「地図、ありがとう。美味い飯が食えた。」


と言うと、ロージーは、


「そうですか。それは良かったです。これから、何か依頼を受けますか。」


と言ってくるので、


「とりあえず、ギルドマスターに会えるか。」


と言ってみた。

 

「少々、お待ちください。」


と言って、受付嬢のロージーは、別室に向かった。

 少しの間、受付で待っていると、ロージーが、


「どうぞ、こちらに」


と言って、ギルドマスターの部屋に案内してくれた。

 部屋に入ると、30歳くらいの男がソファーに座って葉巻を吸っていた。

 男は、座ったまま、立ち上がりもせず、挨拶も無しに


「何の用だ。」


と言ってきたので、私は、向かい側のソファーに「ドカッ」と座り、


「街中で、襲われてね。」


と、足を組みながら、こちらも名乗らずに返答をした。

 すると、ギルドマスターは少し焦った顔をし、


「そういう話なら衛兵のところに行け。」


と言うので、


「襲った奴らは、私がSランク冒険者だと知っていた。私が帝都に来て、ギルドカードを見せた相手は、門番の衛兵と冒険者ギルドだけだ。」


と返答した。


「言っておくが、刺客を送ったのは、ギルドではないぞ。」


と言うので、


「おまえ、つまんない嘘つくね」


と返答したが、華麗にスルーされ、


「それで、エスリンゲン国の冒険者が、何の用だ。」


と聞いてきた。


「誰の差し金だ。」


と質問すると、


「こちらは、報告しただけだ。何の用で帝都に来た。」


と言うので、


「その報告先を聞いている。」


と詰問すると、


「それで、エスリンゲン国の冒険者が、何の用で帝都に来た。」


と、話を逸らそうとする。


「はぁ、誰に報告した。本当の事を言って。」


と、再度、質問をすると、


「報告をした相手は、迷宮省の政務官だ。私が直接、官邸に行って報告した。」


と言った後、焦った顔をしている。

 

「ここの冒険者ギルドは、冒険者を売るんだな。」


と言うと、


「で、何しに来たんだ。」


と言うので、


「観光だよ。本当に他意は無い。帝都がどんな所か観たくなってね。」


と返答をし、ストレージから、ソウル・イーターを出し、ソファーの脇に置いた。



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