第4話
よろしくお願いします。
7月3日 月曜日
今日は仕事だ。
いつもどおり、午前5時に起きる。
そして朝風呂に入る。
朝食を取って、午前6時半に家を出る。
妻は、まだ寝てる。
いつもどおりだ。
日常だ。
通勤電車の中で、ネットニュースをチェックする。
なんと、迷宮のことがニュースになっていた。
どうやら、東京と大阪にも、迷宮が出来ているようだ。
しかし、名古屋の迷宮は載ってない。
我が家の庭だから、知られてないのだろう。
私も、通報とかしていないし。
内容は、突如現れた洞窟って感じだ。
東京は、明治神宮の敷地内らしい。
大阪は、大阪城の敷地内らしい。
なぜに、名古屋は我が家の敷地内なんだ?
名古屋城かセントラルパークで良いだろう。
でも、裏庭のおかげで、探索が捗るから良いけど。
迷宮内のことについては、何も載ってない。
立入禁止で規制されているようだ。
なんだろう、情報統制されているのか。
午前7時40分、職場に到着だ。
昨夜は1時間半くらいしか寝てないが、すこぶる快調だ。
超回復様様だな。たぶん。
勤務時間の定時は、8時45分からだ。
しかし、1時間前から色々と準備がある。
我が社の社員数は、約1万5,000人。
私が所属する部署は、本店の企画部門。
偉い人が出勤する前に、色々と資料を纏めたりする必要がある。
私の役職は係長。
準備される側じゃなくて、準備する側。
この部署は、残業は少なく、退社時間は一定だ。
でも、突発事案があると、たまに午前様になる。
普段、外に出るわけじゃないから、そういう意味では楽かな。
精神的には色々とあるけど。
しかし、精神耐性強化と精神力超回復がある。
そういうの平気になったのかな。
仕事という日常に戻り、ふと思う。
迷宮探索は、合法なのか。
以前、法務を担当する部署にいた。
現在も、そういった質疑を受ける係なので、法律は多少判る。
武器は、裁判所のホームページと社内で共有しているリーガル〇-チだ。
まず、迷宮に入ることだが、これは自分の家の敷地内なので、問題ない。
しかし、地下に降りると明らかに次元が違うというか、空間が違う。
地面を掘っても、絶対に迷宮に入れないと思う。
地下1階の辺りは、水道管、下水管、雨水管、ガス管等があるはずなのに、そういったものが一切無い。
それに、入り口は太陽の光で明るいのに、入った瞬間から、薄暗かったり、逆に、外から見たとき、中は真っ暗だったが、中に入ると薄明るかったりする。
入った瞬間、感覚的に何かが違う。
本当に次元が違った場合、このエリアの管理者は誰になるのか。
管理者に断りなく入ることは、管理者の権利侵害になるので、迷宮を建造物と仮定するなら、刑事的には建造物侵入罪となる。
次に、魔物を討伐することについてだが、虫はたぶん問題ないだろう。
しかし、問題は角ウサギとか動物系とゴブリンの様な人型だ。
動物系は、動物愛護法だろう。
人型は、人権があるかどうかから、問擬する必要がある。
人類と定義するなら殺人罪だろう。
動物と定義するなら、動物愛護法違反になるだろう。
しかし、そもそも迷宮の魔物は、生物なのか?
討伐すると、消えてなくなる。
生物の定義は、
1 外界と膜で仕切られているかどうか。
2 代謝(物質やエネルギーの流れ)を行うかどうか
3 自分の複製を作るかどうか
の3つらしい。
1の要件は、満たしているだろう。それは見た目から明らかだ。
しかし、2と3は微妙だ。
迷宮の魔物は、食事や排泄をするのか。
あの環境で、食物連鎖が起きているとは考えにくい。
芋虫は、何を食ってる?
さらに、迷宮の魔物は、分裂や生殖で、個体数を増やしているのか。
どうにも、違う気がする。
よって、生物でなければ、動物愛護法も刑法の殺人や傷害も当てはまらない。
次に、迷宮産のアイテムの所有権は誰にあるのか。
鉱業法を見たが、これは業としての採掘に関することか。
とりあえず、宝玉等は規制の対象ではないな。
この手の特別法は、読みにくい。
ちょっと真面目に条文を読み込んで、関係法令も確認しないと、詳しいことは言えないな。
しかし、地下資源である以上、直上の土地所有者に権利があると考えて問題は無いと思うが、討伐ボーナスが出た場所の直上の土地所有者が誰になるのかが、微妙だ。
先ほどの考察からすれば、次元が違うなら、直上の土地所有者が存在しないし、そもそも日本国内と言えるのか。
文化財保護法ってのもあるな。
こっちの関係を調べていったら、出土された埋蔵文化財は、拾得物扱いになるようだ。
直上の土地所有者には、所有権が無いらしい。
迷宮を建造物と定義するなら、その管理者に討伐アイテムの所有権があるといえる。
あるいは、落とし物・・・拾得物なら、警察に届出をしなければ、占有離脱物横領罪となる。
しかし、これも微妙だな。
誰が、魔鉄の太刀を落とすんだ。
そして最後に・・・迷宮産の太刀だ。
刃渡りが約70cmもある。登録せずに所持すれば、銃砲刀剣類所持等取締法違反に該当する。
解決策として、教育委員会に届出て、登録する方法がある。
しかし、あれは日本刀とは言えないので、登録することは難しそうだ。
合法とする理論武装を考えるなら、迷宮は異次元の世界だから、日本の法律が及ばない。
ストレージに保管しているなら、これも異空間なので日本の法律の対象外と言える。
ちょっと、苦しいな。
そもそも、ストレージの中身も、自分が占有しているため、異空間であろうとも、所持していることに変わりないと言える。
これは、やはり違法だよなぁ。
今の考察も、刑事上の違法かどうかが中心だったが、民事的にも問題がある。
民事の場合、相手は迷宮の管理者だろう。
勝手に入ったこと、魔物を討伐したこと、討伐アイテムを持ち去ったこと
どれも、損害賠償の対象になりえるなぁ。
しかし、管理者に対しては、我が家の裏庭に迷宮の出入口を作ったことを持ち出せば、ある程度相殺できるか。
そもそも、管理者って存在するのか?
「管理者、居るなら出て来い。」
東京、大阪、名古屋と、3か所も迷宮があるのだ。
名古屋は、見付かって無いけど。
こういった法的な問題は、立法府である国会議員さんや、担当省庁の官僚さんに解決して貰う必要がある。
野党のみなさん、訳の判らん屁理屈を述べて、政局を作ろうと頑張るのは、時間と税金の無駄なので、辞めていただきたいものだ。
国会議員は、もっと日本の国益を考えてほしい。
なんだろう、迷宮探索をやっていることが公になると、社会人として色々と問題があるな。
特に、会社にバレると五月蠅そうだ。
合法かどうかの考察も、現時点では仮定が多い。
プライベートとはいえ、問題があるな。
コンプライアンスってやつか。
しばらくの間は、秘匿しておこう。
太刀に関しては、このままじゃダメだな。
真面目に対策を考えよう。
我が家の裏庭に迷宮があることも、別段通報の義務があるわけじゃないので、黙っておこう。
裏庭だから、外から見えないし。
仕事中だが、昼休みや暇な時間に、そんなこんなことを考えていたら、一日の仕事が終わった。
今日も、帰ったあと、迷宮探索をした。
7月8日 土曜日
地下256階に到達した。
だいたいの階のフロアは、迷宮タイプというか、遺跡タイプというか、ウィザー〇リィ的なというか、そんな感じだった。つまり、地下3階みたいな感じ。
草原のエリア、砂漠のエリア、雪原のエリア等もあった。
どれも、見晴らしが良い。
各種感知系の能力があるため、隠れている魔物を、直ぐに発見できた。
何の苦も無かった。
出てくる魔物は、その都度鑑定したが、ランク1のものだった。
1階から256階までに出てきた魔物は、
アルミラージ
巨大芋虫
巨大アリ
巨大クモ
巨大ムカデ
ゴブリン
コボルト
スケルトン
ゾンビ
角ネズミ
角ウサギ
魔狼
魔熊
ホブゴブリン
マーマン
ミイラ
リザードマン
ワイト
などなど。
地下256階までの間、16階毎にボス部屋があった。
どれも瞬殺だった。
飛天御〇流奥義 天〇龍閃が冴えわたった。
キレが良くなったな。
でも、ただの居合切りとは言わないで欲しい。
印象に残った魔物は、ワイトかな。
あれ、斬って半分になっても死ななかった。
アンデッドだから、試しにホーリーウェポンを使って斬ったら死んだ。
ああ、アンデッドだから、元から死んでるのか。
ゲットした討伐アイテムは、128階から240階のボスで、
魔法の宝玉(未) ランク1 が4個
魔力の宝玉 が3個
が出たが、魔法の宝玉(未)は使わずにストレージに保管した。
魔法で困ってないので、使い道を考えることにした。
魔力の宝玉は3個とも使った。
これで、魔法出力の基礎値は、60になった。
そして、256階で
「迷宮産の太刀 ミスリル製」
が出た。
「おお、ミスリル!」
ミスリルは、確かに軽い。
色は銀色で何となく光ってる様に見える。
そして、薄く青い膜が覆っているような感じ。
これは魔法金属というべきか、とりあえずミスリルの材質について鑑定してみた。
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名称 ミスリル
原材料 チタン 魔素
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「え!元はチタンなの。確かに軽いし硬いけど。」
どういうことだろう。
魔鉄も、魔素と鉄だったな。
チタンに魔素を込めるとミスリルに成るってことか。
とりあえず、ミスリルの刀は、今後のメインウェポンだな。
さぁ、帰って寝よう。
稚拙な文章で、申し訳ありません。
楽しんで戴けたでしょうか。
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よろしくお願いします。