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第31話

よろしくお願いします。

 2月10日 土曜日(日本)

 3月10日 聖の日(エスリンゲン国)


 今日は、アイラの里へ行く日だ。


 しかし、朝から王城の使いが来た。

 使いの内容は、「本日中に、国王陛下と謁見してほしい。」というものだった。


 少し困ったが、アイラ達をゲートで送った後に行けばいいか。


 何かあっても、明日の夕方、またゲートで迎えに行けば済むことだ。

 一緒に行けないのは残念だけど、こういう事もある。

 仕方ない。


 皆に事情を話し、納得してもらった。


 ゲートの魔法を発動させた。

 アイラの里へと空間を繋ぎ、アイラの両親、アイラ、オリビア、アメリア、ソフィーの順で、ゲートを潜って行った。


 さて、面倒ごとは、直ぐに片付けるか。


 服装をどうするか考えたが、所詮は冒険者だ。

 本当は、自衛官だし亜神だが。


 火属性ドラゴンのローブで良いか。

 剣とか、そういうのはストレージに入れておこう。


 呼ばれた理由を考えると、王都の迷宮を踏破したことか。


 早速、行くか。


 家を出ると、先ほど来た使いが、今も家の前に立っていた。


「どうしたんだ。」


と聞くと、


「この馬車に御乗りください。」


との事だった。


「ああ、送迎付きなんだ。流石、王城だね。」


などと思いながら、馬車に乗った。


「そういえば、あの馬車、まだストレージに入ってたな。どうするか。どっかで捨てないとな。」


と考えていると、王城に着いた。


 そのまま、別の使用人に連れられ、控室の様な場所に案内された。


 しばらくすると、騎士の様な人が数人来た。


「剣等をお持ちなら、お預かりする。」


と言ってきたが、ストレージには大量の剣が入っている。

 それに、天叢雲剣は誰にも触らせない。


「今日は、持ってきていないよ。」


と告げたら、軽くボディチェックを行い、それで終わった。


 そして、拝謁の作法について、簡単に教えられ、


「では、一緒に来てください。」


と言われ、騎士たちと一緒に部屋を出た。


 大きな扉の前に来た。


「先ほど、説明した通りです。ここからは、1人で進んでください。手前の印が付いているところで止まって、頭を下げて跪いて下さい。そして、脇に居る宰相が、『面を上げよ』と言われたら、顔を上げてください。拝謁が終われば、宰相様が声を掛けますので、後ろを向いて、この扉から出てください。」


と言って、その大きな扉を開けた。


 言われた通り、前に進んだ。


「あれが印か。」


 王の10mくらい手前、赤いカーペットの中央に黒色のピンが刺さっている。


 そこで立ち止まり跪く。


「面を上げよ。」


と、年配の男性の声で言われる。


 おそらく、宰相の声だろう。

 顔を上げ、立ち上がった。


「あれ、立っちゃ駄目だっけ。まぁ、いいや。」


等と考えていたら、


 宰相と思われる人が、


其の方(そのほう)が、Sランク冒険者のハルトで、よろしいか。」


と言われたので、


「はい、ハルトです。」


と答えた。


「王都ドルトムントの迷宮を踏破した事、間違いないか。」


と言われ、


「間違いありません。」


と答えた。


「ダンジョンコアを持ってきているか。」


と言うので、


「持ってきています。」


と答えると、


「では、出してみよ。」


と言うので、ストレージから手元に出して、ダンジョンコアを見せる。


「おお、確かにダンジョンコアだ。」


と司会役が言う。


 この遣り取りの間、目の前にいる連中に鑑定を実施したが、


 司会は、魔法師団長

 王は、近衛騎士団長

 周りの貴族っぽい奴も、近衛騎士団と魔法師団の団員


だった。


 さっきから、敵意感知がビンビン反応している。

 王役の騎士団長に向かい、


「さて、茶番は終わりだ。目的は何だ。本当の事を言って。」


と言うと、


「ダンジョンの管理者は、登録された管理者が死ねば、空席になる。ダンジョンコアを持つものは、次の管理者になれる。管理者になれば、迷宮の管理を行える。」


と言うので、


「お前らの独断か。誰の指示だ。本当の事を言って。」


と言うと、


「宰相様の指示で、陛下の御意思だ。」


と、騎士団長が言った。


 すると、その場にいる騎士の全員が剣を抜き、魔法師は魔法を練り出した。


「エリア・パラライズ」


 部屋にいた全員が、パラライズの魔法で麻痺状態になった。

 一瞬で、勝敗が決まった。


 ストレージから、ソウル・イーターを出した。


 騎士団長のみ、麻痺を解除した。


「全員、死ぬか。」


と騎士団長に言った。


「儂、1人で勘弁してくれ。」


と言うが、


「王の指示だろ、お前が死んだところで、なんの意味がある。」


と問い詰める。


「さて、少し待つか。天井裏に居た奴や壁の向こうに居た奴は、見逃してある。この状況を上役に説明しに行くだろう。」


と騎士団長に告げる。


「とりあえず、お前、そこどけ。」


と言って、騎士団長を王座から退かし、私がそこに座った。


 魔法師団長の麻痺も解いた。


 私の目前に来させ、騎士団長と一緒に正座をさせた。


「宮仕えも大変だな。お前ら、私を見て、勝てると思ったのか。」


と聞くと、騎士団長は、


「会った瞬間、やばい気がした。一瞬の油断が死を招くと確信した。」


と言い、魔法師団長は、


「部屋に入った瞬間、無理だと思いましたが、もう引けませんでした。」


と答えた。


 そんな話をしていると、


「賊を相手に何をしておるか!」


と、宰相が怒鳴って、入ってきた。


「王は、どうした。」


と聞くと、


「賊が何をいうか!」


と言うので、


「賊は、どっちだ。欲望のために、人を殺すのも厭わない悪党が。お前は、死ね。」


と、言ったところで、宰相は倒れて動かなくなった。


 デスの魔法が発動したようだ。


「さて、次は誰が来るかな。」


と言って待ったが、誰も来ない。


「いつまで待てば、解決するかな。」


と騎士団長に聞くが、騎士団長は何も言わない。


「陛下を殺めるのか。」


と、騎士団長が聞いてくるので、


「敵の出方次第だな。そもそも、私を殺そうとしたんだ。王も含め、全員殺されても、文句は言えないんだろ。」


と言うと、騎士団長が、


「陛下は、貴き血筋の御方だ。貴様の様な、馬の骨とは違う。」


と、ソウル・イーターの威圧に耐えながら言う。


「当然、そういう論法だよな。しかし、私には関係ない。そんなものに、価値が無い。」


と言ってやる。


 さて、マップで王の場所を確認するか。


 なるほど、王城内だけど、ちょっと離れた場所にいるな。


 サモン・エンジェルの魔法を発動し、力天使を召喚する。


「王を連れて来い。」


と命令する。


 魔法師団長が、驚愕の表情を示している。


「魔法師団長、どうした。」


と聞いてやると、


「天使を使役できるのですか。」


と言うので、


「ああ、従順だぞ。仕事もできる。ちょっと融通が利かないけどな。」


と言うと、魔法師団長は土下座の状態になり、


「貴方様は、現人神様でしたか、数々の無礼、申し訳ありません。」


と言って、大袈裟に謝っている。


「許すかどうかは、王次第だな。」


と言っておいた。


 力天使が、転移して現れた。


 天使は、王と思われる40歳くらいの男性を抱えていた。

 そして、その男を床に捨てた。


「お前が王か。」


と聞くと、


「御意にございます。」


と、天使が代わりに答えた。


 私は、


「こら、自分で答えろ。」


と、王に言うが、


「・・・。」


と、何も言わない。


「我が君の問いに答えぬか!」


と、天使がキレる。


 鬼の形相だ。

 天使の周りに魔力が溢れ、空間が歪む。

 天使の髪の毛が逆立ち、光り輝いている。

 まるで、スーパー〇イヤ人だ。


 騎士団長も、魔法師団長も、おしっこ漏らしてる。


「もう良いよ。ありがとう。助かったよ。」


と天使を労うと、


「有り難き幸せ。」


と、天使が言ったところで、天使を送還した。


「さて、どう責任を取るつもりだ。」


と、王を問い詰める。


「・・・お、お前ら、何をしておる。賊を成敗しろ!」


と叫ぶ。


 おお、凄いな。

 この状況で、それが言えるんだ。


「こいつ、バカなの?」と思ってしまう。


 しかし、誰も言う事を聞かない。

 いや、聞けないか。


 騎士団長と魔法師団長以外は、麻痺して動けないし話せないから。

 あと、宰相は死んでるし。


「はぁ、問題解決能力の無い奴だな。何がしたかったんだ。なんで、ダンジョンコアが必要なんだ。」


と言っても、王は何も答えなかったが、騎士団長が、代わりに


「王都の迷宮は、国防の要になります。コアを他国の者に抑えられたら、非常に不味いことになります。そのため、ダンジョンコアを押さえるのは、国防上必須なのです。」


と言うので、


「じゃぁ、ダンジョンコアを売ってやるよ。それか、宝物庫に良いものがあれば、それと交換でも良い。それじゃ、駄目なのか。」


と提案すると、


「そうして頂けるのであれば、幸いです。」


と、騎士団長が言うので、


「じゃぁ、なんで最初から、そう言わないのだ。殺す必要が無いだろう。」


と言うと、騎士団長は、


「先ほど説明した通り、殺して奪えば迷宮の管理者になれます。管理者となれば、迷宮間転移が可能ですし、迷宮のスタンピートも制御できます。国にある迷宮の管理者になることは、騎士団や魔法師団に取って、最高の名誉なのです。第一騎士団が挑戦していたが、貴方様に先を越されました。」


と説明した。


「理解した。で、どう責任を取るの。」


と、また王を問い詰めた。


「・・・。」


と何も言わない。


「王太子は居ないの。」


と聞くと、魔法師団長が、


「いらっしゃいます。殿下は、とても聡明な御方です。」


と言うので、隅に居た騎士1人の麻痺を解いた。


「王太子を連れて来い。」


と指示したが、動かなかった。

 すると、騎士団長が


「言われる通りにするのだ。殿下に、事情をご説明しろ。」


と言って、その騎士に指示をした。



 しばらくすると、王太子っぽい男が、拝謁の間に入ってきた。

 22,3歳の聡明な感じのする子だった。


 拝謁の間では、


 私が、王座に座る

 騎士団長と魔法師団長が、床に正座しお漏らし。

 王が、両手を着いて、床に座り込んでいる


というカオスな状態だ。


「どうなっているんだ。」


と呟き、驚愕の表情で、立ち竦んでいる。


「こっちに来い。」


と王太子に指示すると、素直にこちらに歩いてきた。

 しかし、近づくとソウル・イーターの威圧に気圧され、顔を(しか)める。


 私が、事の顛末を説明する。


「判ったか。国として、どう責任を取る。」


と、王太子に問う。


「判りました。エスリンゲン国は、ハルト様へ正式に謝罪します。賠償も致しましょう。」


と言って、騎士団長が持っていた剣を拾う。


 そして、


「国王陛下は、責任を取って自害しました。」


と言って、王太子は国王ちちおやの首を刎ねた。


「今をもって、私イーライ フォン エスリンゲンが、国王となります。どうか、王都の迷宮のダンジョンコアを譲って頂けないでしょうか。」


と、跪いて申し出てきた。


「ああ、良いよ。金額などの条件は、後日にしようか。」


と言って、ダンジョンコアを床に置いた。


 ソウル・イーターを手に取り、


「ああ、そうそう。私の身内に余計な事をしたら、何があっても許さないよ。その時は、容赦しないよ。」


と、念を押しておいた。


「じゃぁ、帰るよ。」


と言って、ゲートの魔法で、アイラの里へ向かった。



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