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第29話

本日は、夕方にも更新します。

よろしくお願いします。


追伸 タイトルを少し変更しました。

 2月9日 金曜日(日本)

 3月9日 風の日(エスリンゲン国)


 アイラが、学院でアイラの両親と対面した後も、アイラの両親は我が家に滞在した。

 王都ドルトムント観光するためだ。


 私は、今日までの間、オリビアとアメリアの両親が、どんな人なのか確認していた。



 現代の日本人としては、娘を奴隷商に売るなど、非道の限りに感じる。


 しかし、昔の日本でも、貧乏な家庭の娘が、遊郭に売られることは、あったらしい。

 この世界の常識でいえば、特別に非難される行為では無いのであろう。


 リューベルクは、王都ドルトムントとアーレンの中間にある。

 そのリューベルクの中でも、ヴァンゲルの近くにある小さな村だ。




 一昨日に家を出て、その日の内に、目的の村に着いた。


 本当に辺境にある小さな村だった。

 村民は、100人程度だろうか。

 世帯数は、20世帯くらいか。


 自給自足生活をしている様だ。

 村の周りには、高さ2mくらいの簡単な木の柵があるだけだ。

 魔物に襲われないのか。


 隠密全開で、オリビアとアメリアの両親を探す。

 小さな村だ。

 当然、直ぐに見付かる。


 12歳の兄と5歳の弟がいる様だ。

 12歳の兄は、父親と一緒に畑仕事をしている。


 5歳の弟は、母親と薪を拾いに行っていた。

 エスリンゲンは冬でも、雪が降ることが少ない。

 しかし、それなりに寒い。

 薪が無いと凍えてしまう。


 ここに、2人の娘が居た形跡は、何も無い。

 しかし、平凡な生活があった。


 家の中に忍び込んだ。

 リビングの棚には、木箱があった。

 鑑定すると、中身は人の胎盤だった。

 4つの木箱には、それぞれ名前が書いてあった。


 その中の2つは、オリビアとアメリアだった。

 ああ、形跡があった。

 人違いかと心配だったが、そんな事は無かった。


 この村では、胎盤を取って置く風習があるのだろうか。

 日本だと、臍の緒だが。



 夜になるまで、彼らの生活を観ていた。

 夕食の時間になった。

 しばらく観ていたが、両親から二人の話題は出なかった。


 少し、悪戯をすることにした。

 離れた所から、本当に小さな威力で、エアーバレットを使った。

 アメリアの木箱が落ちた。


 それに母親が気付いて、無言で木箱を拾いにきた。


「アメリアのよ。」


と言って、母親は一瞬固まった。


「虫の知らせかしら。」 


と、父親の方を見て、母親が言うが、父親は


「判らん。」


と、一言だけ。


 兄と弟は、何も言わない。


「もう、おらん者の話はするな。」


と、父親は言うが、その表情は苦虫を噛み潰した様な厳しいものだった。


 オリビアとアメリアが、ここに来たら、どうなるだろう。

 両親は歓迎するのか。

 オリビアやアメリアを、「もう一度、売れる」と考えるか。

 それとも、「また一緒に暮らそう」と思うだろうか。


 両親はオリビアやアメリアに、仕送りを求め、たかるかもしれない。

 多少の仕送りなど、痛くも痒くもないが、私達と生活水準が違い過ぎる。

 それを知れば、要求は増すばかりだろう。


 私が、この一家を養えば、解決するのだろうか。

 どうするにせよ、幸せな未来が、全く見えない。



 何もせず、私は我が家に帰った。



 昨日、帰ってから、ずっと悶々としている。


 昨日は、メイドを連れて、アイラの両親と共に、王都観光をした。

 しかし、幸せいっぱいモードの2人と居ると、余計に悶々とすることに気付いた。

 エルフって、こんなに能天気なのか。


 エルフは、森の賢者じゃないのか。

 あ、それはオラウータンか。


 はぁ、何をどう考えても、答えが出ない。




 そして、今日になった。

 いつも通りに起きて、朝風呂に入った。


 どれだけ悩んでも、答えは出ない。

 気分転換に、冒険者ギルドへ行くことにした。

 

 窓口嬢のエミリーが居たので、話しかけた。


「エミリー、久々だね。元気だったかい。」


と言うと、


「ハルトさん、お久しぶりです。お元気ですか。今日は、どういった御用件ですか。」


と、いつも通りの受け答えだった。


「高位の魔物の情報は無いかい。」


と尋ねると、


「高位と言うと、属性ドラゴンとか古竜ですか。それとも、リッチーとかノーライフキングですか。」


等と軽口を言うので、


「そういうの良いね。あとは、顕在化した悪魔とか、邪神とかさ。」


と相槌を打つ。


 すると、エミリーは、


「悪魔や邪神は、神話の話になっちゃいますね。水属性ドラゴンなら、ノルトハウゼンのハンブルク湖にいるらしいですよ。古竜なら、中央山脈のリューベルク側に居るとか居ないとか。リッチーは、聞いたことが無いですね。でも、バンパイアなら、たまに調査討伐依頼があります。いま、王都では出ていませんが。」


と、ちょっと真面目に説明する。


「じゃぁ、世界樹って、何処にあるか判る?」


と世界樹について聞いてみる。


「世界樹ですか。エルフの国でハイエルフが守護しているらしいですね。」


という。


「そうかぁ、エルフの国に行って、ハイエルフに会いに行こうかな。」


と言えば、


「近場にあるし、王都の迷宮を踏破してきたら、どうですか。」


というので、


「それは、先週したんだよー!」


と答えた。


「えっ、えーーーーー!」


と、エミリーが、いきなり大きな声を出しやがった。


「ハルトさん、別室にお願いします。」


と言うが、


「もう、そういうの良いよ。面倒くさい。」


と拒否るが、


「いや、駄目です。」


と言って、無理やり連れていかれた。


「王都の迷宮を踏破したのか。」


と、ギルドマスターが確認をしてきた。


「これだ。」


と言って、ダンジョンコアを出した。


「ああ、間違いないな。これで10例目か。」


とギルドマスターが言う。


「いままでは、何階まで探索が進んでたんだ。」


と聞くと、


「第1騎士団のパーティが、800階くらいまで行っていたはずだ。ハルトは、どんなパーティで行ったんだ。」


と聞いてきたので、


「ソロだ。」


と答えた。


「は?1人なのか。」


と言うので、


「もちろん。」


と答え、オリハルコンのグレートソードを3本だして、


「1,000階のボスは、3回倒したぞ。」


と言った。


「ああ、もう良い。じゃぁ、このグレートソードを1本売ってくれないか。」


と言うので、


「良いけど、いくら出す。」


と金額を聞くと、


「大金貨100枚じゃ駄目か。」


と言ってくる。


「まぁ、それで良いぞ。」


と了解してやる。


「ありがとう!念願だった。やっと、手に入った。」


と言って、大人げなく、大喜びしていた。


「本当は売りたくないんだが、特別だぞ。感謝しろよ。」


と値打ちを付けておいた。


「残りの2本は、どうするんだ。」


と聞いてくるから、


「決めてない。」


と言っておいた。



 冒険者ギルドを出て、大通りの飲食店で、昼飯を食べる。


「たまには、神殿に行ってみるか。」


と思い神殿を目指す。


 神殿に近づくにつれ、神官や司祭と思われる者が増える。


 神殿の直近に来たところで、


「なんだろう。周囲の視線が痛い。みんな、ジロジロとこちらを見ている。」


 ふと、自分の手を見ると、ぼんやりと光っている。


「なんだ、神気が漏れているのか。」


 身体から、神気が溢れてきている。


 ステータスを確認するも、神気量は減っていない。


「これは、アイテムを作るには良いけど、近づかない方が良いな。目立ちすぎる。亜神って、バレてないだろうな。」


と考え、回れ右して、神殿から離れた。


「さて、神殿は鬼門だったな。神なのに、神殿が鬼門とはな。」


 さて、次はどうするか。


「異世界テンプレだと、ここは孤児院か奴隷商だな。」


と言うわけで、とりあえず孤児院に来てみた。




 稚拙な文章で、申し訳ありません。

 楽しんで戴けたでしょうか。

 よろしければ、「ブックマーク」と下の☆マークを★に変えて戴けたら、幸いです。


 よろしくお願いします。

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