エント遺跡の捜索(レスト編 後編)
しばらく道の分岐がなくなった。
「レスト、いったん止まってくれ」
「はい」
ダリルの号令で止まって後続を待つ。
「やはりおかしいな」
「どうしたんですかダリルさん?」
「後続がついてきていない」
「しばらく一本道だったので迷うことは無いと思うのですが?」
「わかっている、だから止まってもらったんだ」
「なんだびびって引き返しちまったのか?」
ゴリアスがちゃちゃを入れる。
「ゴリアス、最後尾はグランが務めている何かあったとしてもやつが逃げることは無い」
「わ、わかってるよ冗談だって」
「とにかくいったん待つ、少し考えたい事もあるので道を戻る事もしない、みんなここで出来るだけ近くによって休憩してくれ」
明らかに何かが起こっていると思われるのにダリルは妙に冷静である、グランという人物がそれだけ信用できる人間なのかもしくは何が起こっているか把握しているのか。
休憩を始めて20分ほど経過する。
「ふぅ、やはり来ないか」
「やはりって何かわかったのですか?」
「あぁ、事前に聞いていた話である程度の予測はたてていたが一番最悪な予測が当たったと思われる」
「何が起きているんですか?」
「レストはジャックから聞いて知っていると思うが強制的に転送をさせる魔法陣が存在していると」
「はい、それを見た事があるので先頭役を頼まれましたので」
「だが、それは果たして同じ見た目をしているのだろうか?サイズも同じサイズなのだろうか?」
「そう言われればそうですね、俺が知ってるだけで転送の仕掛けは2パターンありましたし」
「多分だがこの遺跡全体に転送の仕掛けが施されていると思う、さらに言えばこの遺跡は元の遺跡ですらない可能性もある、連絡の端末が使えないのもそのせいだろう」
なるほど、それならおかしな通路の構造も納得できる。
がしかし転送させられた感覚は無かった、ヨドゥン遺跡の物とはまた違う方式の物なのだろうか。
「問題はそうだと仮定して、進むか戻るかどちらにするかだが……」
「それで止まって待っていたのですね」
「どういうことだ?まったくわかれねーぞ?おい、俺にわかるように説明してくれ」
ゴリアスはまだ理解して無いようである。
「簡単に言うと道を歩いている途中で違う道に飛ばされている可能性があるが同じ道を通っても同じ場所に飛ばされるとは限らないって話ですよ、その証拠に後続がついてきていない、なので道を戻ったとしても元の道に戻るとも限らないって話です」
「なるほどわからん」
「ゴリアスはしばらく黙ってろ」
「すまないマスター……」
「レスト、転送魔法陣を実際に体験したことがある君の意見を聞きたい」
「そうですねー、もし強制的に転送させられているのであれば一つだけ対策方法が思いつくのですが……」
「なんだ?何でもいいから言ってみてくれ」
「遺跡を上に向かって進むのです」
「上???」
「はい、転送魔法陣で飛ばされているとしても壁は対象外になっているのでおそらく上に抜ければ転送魔法の範囲外になるかと思われます」
「なるほど、だがそれなら横ではダメなのか?」
「横の道までどれほどの距離かわかりませんし、同じ階層ならおそらく抜けた先も転送魔法陣の範囲内かと思われます」
「わかった試してみよう、皆少し下がってくれ」
ダリルの魔力が上がるのを感じる、これは中々強そうだ。
ダリルの魔法で天井に穴が開く。
空いた穴から上にあがるとそこは屋外だった、どう見ても最初に入った遺跡とは別の場所である。
「やはりここは元の遺跡ではなさそうですね」
「あぁ、魔法の地図も反応しない」
「しかし何だこの広さの遺跡は端が見えないぞ」
「仕掛けに気がつかない限り永遠に迷わさせれるようになっていたのかもしれませんね」
「他の隊との合流したいところだがこの下のどこにいるか全く見当もつかないな」
「たぶんフィンの所は同じように違和感を感じたら我慢できなくなったフィンが壁を壊して上にあがってくると思うのですが問題はジャックさんの所ですね」
「ジャックか、ジャックの所は王国一のギルド紅が同行しているからゴーレム程度で苦戦する事は無いだろうがジャックが遺跡を壊すという発想に至るかは難しい所だな」
「マスター、向こうで爆発音が」
「よその隊もあがって来たか?確かめに行こう、みんな移動するぞ」
行き先にいるのは味方かはたまた敵か




