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政治・その他関連の駄文

個人的な所感。お金を払って買いたくなるラノベ

作者: 西田啓佑

私みたいなワナビーにとって残酷なリクエストを書いた場合も

残酷な描写あり

にチェック入れたほうが良いんですかね?

文:西田啓佑


 はじめに書いておくと、私はさほど小説家になろうのマーケティングには詳しくないです。同様に、その手の雑誌や評論的なサイトも見ていないので、私の意見が大ヒット小説を執筆する参考にはならないかと思います。

 ただ、私が面白いと思う小説や、買いたいと感じる小説を、不特定多数の作家さんにリクエストする事ぐらいはできるだろうと思いますので、その辺を書いていこうと思います。


 ちなみに、以前に書いたエッセイからもう半年以上経過していますからね。そろそろ何か書いておこうと思ったんですが、長編・中編の小説を本腰入れて書く意欲も湧かない。勢いのままにかける短編のネタもない。じゃあ、何か誰かの役に立つかもしれない駄文でも書いておこうというのが、今回の執筆動機だったりします。

 私のツイッターのタイムラインやリストで、売れ筋について悩んでいる作家さんってそこそこ見かけるんですよね。この駄文はそういう人向けです。


閑話休題


 風のうわさによりますと、小説家になろうというのは作家に愛好者(ファン)が付くのではなく、作品ごとに愛好者が付くらしいですね。私にも心当たりがあります。同じ作者さんの作品でも好きなものと嫌いなものが出てきて、読む意欲が湧かなくなるという事はあります。逆にたまたま見つけた作品を好きになる事もあります。じゃあ、続けて他の作品も好きになるかと言えば、食指が動かないというパターンもあります。

 その時、その時々に読みたいものというのは体調のように変わるので、この辺りは読む方も書く方も気にしても仕方がないのでは?と、思わなくもないです。

 さて、なぜこんな事を書いたかと言うと、なろう界隈以外では「作者買い」と呼ばれる現象があったと言われていたからです。いわゆる、作家に対する信者さんですね。私自身、生きている人間を信仰するという行為にアレルギーがあるので、作者買いというのはあまりしません。

 ただし、買いたい商品分野に対して知識がないときにブランドの名声や製作者の評判でモノを買うというのは、すごく理解できます。そういう意味での作者買いなら十分ありえると思うのですが、この薄利多売が一般的に成り、小説すらも工芸工業製品化した高度情報社会においてそのようなブランド力を、さしたる資本投下や広告によるバックアップを受けていない文筆業の作家が可能なのか?というと、私は多分無理だろうと思います。そういうのは、情報に乏しく、選択肢に乏しかった、雑誌時代の作家に許された特権だったのではないかと思うのです。


 まあ、そういうわけで空前の大ヒットで印税生活というのは、余程の山師的なスポンサーでもつかない限り、宝くじと同じなのではないかな?と、思う次第です。


 え?レーベルのブランド力?ああ、過去の流通販路という遺産やISBNコードは偉大ですよね。けど、通販やら電子書籍やら、ネット小説サイトでの広告が可能な今、その遺産であと何年食いつなげるんですかね?もちろん、作家に大量の資本を投資できるレーベルは偉大ですよね。そこは私も重々理解していますよ。

 あと、紙媒体の自費出版は論外だと思いますよ。ISBNコードや書店での棚が無い紙書籍とか、ただの不良在庫だと思いますので。……この件についてはご意見頂いても反応致しかねます。


 逆に電子書籍による自費出版はアリだと思うんですよね。ただ、この辺りはまだまだ草分け的なモノで成功すればそれだけで話題になるような状態です。むろん、成功した人は居ます。電子書籍からはじめて、紙媒体でベストセラーという作家さんは居ます。たぶんですが、藤井太洋先生が先駆的な存在ですね。

 私の地元にも電子出版のコツを講演するためにいらっしゃっていたので、講演を拝聴したことがあります。文章の編集一つとっても紙やネットとはちがう電子書籍ならではの工夫をしていらっしゃったのが印象的でしたね。



閑話休題



 では、ブランド力に依らない「お金を払って買いたくなるラノベ」とは、何か?というお話になるわけですが……。ここからは、本題になるのと同時に、私のリクエストだったりもします。

 端的に言えば、「読者を圧倒する作品」こそが、最も買っていただける可能性の高い作品だと思うんですよ。まあ、なに?その抽象的なお話。と、呆れられたと思うので、もう少し具体的な条件を箇条書きにしたいと思います。


1.紙面スケジュールのセンスに優れた作品

2.ドラマ的に優れた作品

3.笑いのセンスに優れた作品

4.メッセージ性に優れた作品

5.テーマやギミックが革新性に優れた作品


 まずはじめに1なのですが……。具体的に言うのならば、一つの坂道を登るのに数ページかかったり、推理ドラマの舞台を説明するために、その舞台となるある地方の沼地の植生について数ページを()く、みたいな作品は読みたくないという話です。描写するという意味では、ある意味正しいし、そういうモノに文学性を感じる人が存在するのはわかりますが、私の好みではないです。

 逆に、一切の情景描写なしに、会話文と一人称のト書きが延々と続く文章も、これまた好みではないです。この辺りは究極的には個人の好みとさじ加減だと思うので、執筆時期の風潮にあわせて作家の好みで調節するしかないと思います。そして、今の時代の読者の好みは千差万別なので、そういう意味でも万人受けするベストセラーは難しいのだろうなぁ。と、思います。


 次に2なのですが、魅力的なドラマをしっかり書けるのなら、たぶん流行り廃りや分野に関わりなく、ラノベだろうが文学作品だろうが執筆できると思うので、あまり深く言及しないでおこうと思います。ただ一つ、ドラマ性って何?については書いておこうと思います。


 辞典的な意味でのドラマについては、それこそ辞書でも調べてもらえば良いと思います。じゃあ、この駄文の扱う、買いたくなるラノベという意味合いでのドラマとはなにか?といえば、「作中の時系列と読者の感情が連動して動く事」と言えると思います。


 誰が、何時、どこで、なにを、なぜ、どのようにした?という5W1Hの記述と、それを読んだ読者が喜怒哀楽の感情を刺激される事。この2つが連動して、はじめてドラマと言えると思います。この駄文は小説指南を目的にはしていませんし、筆者にはそんなだいそれた事はできないので、2についての説明からはこの辺りで逃げたいと思います。


 3については、これまた難しい話なのですが、コメディ性やエンタメ性、あとは愛玩動物のような微笑ましさでしょうか、そういう喜・笑いにつながるドラマやキャラクターを書くセンスと考えると良いと思います。人というものは不思議なもので、笑ってしまうことで色んなモノを許せてしまうものです。そして、そんな笑いを尊いと思う人が多いというのは、未だにバラエティ番組やギャグ漫画がもてはやされているところからも分かると思います。ラノベでも笑いの要素は奥深く、そして軽視することのできない重要な要素です。ただ、ギャグというのは滑ると痛々しくて見ていられないという感情を引き起こしてしまうので、諸刃の刃と言えるかもしれません。

 ただまあ、個別のギャグの良し悪しではなく、大きな注意点を書くとするならば……。たぶん、笑いというモノにも「間合い」というものが存在すると思います。抽象的な話ではありますが、私も笑いの専門家ではないので、この説明もこの辺りで逃げさせていただきます。


 4についてなのですが、実はこの点を私は一番重視するとともに、ラノベには絶望している点でもあります。メッセージ性。つまり、ある種の理想や理念を直接間接を問わず読者に、作品として投げかけるということです。チープであることを恐れずに端的に書くならば、ある理想に殉じた主人公の一生を描いた作品などがメッセージ性の高い作品にあたるかもしれません。

 ただ、これは完全に諸刃の刃です。権威血統を重んじることを良しとする人々に、リベラルで反権力的なメッセージに共感してもらう物語を読ませても愛好者にはなってもらえないどころか、酷評されるのがオチです。同様に、権威や共産主義的な同調圧力を嫌うリベラルな人々に、独裁や全体への奉仕、自己犠牲や愛国心などを説いても、これもやはり愛好者にはなってもらえず、酷評されるのがオチでしょう。

 メッセージ性を織り込む時は、慎重にマーケティングする必要があります。世相もそうですが、世代にも気をつける必要があるでしょう。想定する年齢層の読者の黄金時代と呼べる年代の流行り廃りや感情をプロファイルしておくのは必須事項だと思います。

 ちなみに、私は反権力的で民主主義万歳というリベラル寄りの中道を目指している人間なので、愛国心やら懐古主義、権威主義剥き出しの作品は苦手だったりします。まあ、そういう苦手なメッセージ性の作品でも別の魅力が余程強ければ読みますけどね。稀有な事ではあります。

 ちなみに、メッセージ性の強い作品には、変化球的なモノがありまして、両論併記をしてどちらが良いのだろう?と問いかける作品や、そういう体裁で暗に片方を賛美する作品などもあったりします。その辺りは、作家の腕の見せ所かもしれません。


 5は4に次いで私が重視する要素だったりします。この要素で一番好きな小説はニール・スティーブンスンの「ダイヤモンドエイジ」です。そして映画ならばインターステラーとトランセンデンスの2つです。ちなみにこの要素はなにもSFに限ったものではないです。世界の謎やその考察の斬新さ革新性というのは、異世界ファンタジーでも、現代伝奇アクションでも十分に追求できると思います。


 さて、以上で箇条書した要素については説明を終わりたいと思います。

 これ以外にも、「エロ・グロ・バイオレンス」とか「友情・勝利・名声」とかいう伝統的な売れ線要素があったりしますが、それは私が説明するまでもないと思いますので、この辺りにしたいと思います。


 ちなみに、私が買ったなろう発の小説については、ここに書くことで角が立つのも嫌なので、明言しないでおこうと思います。今改めて見ると、完結まで購入した純粋ななろう発の小説って無いかもしれません。買い続けているモノも続刊発売中みたいなモノばかりですので……。


 あと、アメリカで酷評されたトランセンデンスを好きな作品に挙げている段階で、私のセンスは推し量れると思うので、その辺はあしからず。




最後まで読んで頂いて

ありがとうございます

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― 新着の感想 ―
[一言] ラノベの現状とは逆行してしまうけど『読者自身に熟考させる内容であること』ですかね。 私が元々ミステリファンなためですが、一周目で本に付箋を張りながら読者への挑戦状まで読み、その後、ノートにチ…
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