表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空音の怪奇譚  作者: 如月颯人
第二章:深淵迷宮の噂
24/31

二十二怪 零明山へ出発

遅れてすみません!投稿スペースがいつものように遅れてしまうのでご了承ください...


「あの、すみませーん......」

「お? 何だお嬢ちゃん、俺に何か用?」


凄く太っていて汗を掻いてる警官だなぁ

でも見た目で判断はしてはいけないと思い異変の事を聞く


「何かこの警察署で異変とか起きたりしてましたか?」

「異変かぁ、そう言えば都市伝説みたいな話なんだけど『うんめい様』が流行ってるんだよ」


******

──うんめい様は机に『死』と『運命』のカードを置いて

蝋燭を自分の年齢順にカードの周りに置くんだ。

準備が終わったら『運命ニ抗イ死ヲ望ミマセン、うんめい様おいでください』

そう言うと現れるらしいんだって!

******


「というのを女の友人から聞いたんだよ、その話聞いてからトイレに行けなくなる異変が起きてしまってな、ハッハハ!」

「も、もういいです......ありがとうございました」


この警官はダメだと悟る。

トイレに行けなくなる異変ってなんなの、ただのビビりだと思う。

さっきのビビりの警官が私を見てニヤニヤしているけど無視をして次に行く


「あのー少しいいですか?」

「ん、何ですか? 僕は忙しいん──新島さん!?」

「え、はい。新島ですけど......それが何か?」

「いや、何でもありません。それで何か用ですか?」


私は机にふて寝していた人に声を掛けた

この方は服装的に刑事さんだろうか、何かモジモジしているが

さっきの太ってる警官とは違って小柄で清々しい人だ。

顔が赤くなっているのは酔っ払っているからだと思う。


「最近警察署で異変とか置きましたか?」

「異変、異変......あ、はい! 時空が狂ってるというか新島さんの様子がおかしかったですね」

「わ、私の様子ですか......? 一体どういう感じでした?」


この刑事さんは何を言っているのだろうか

今会ったばかり、つまり初対面の人に対して様子がおかしいとは一体......

でも真顔で言っている訳だから何かありそうだ。


「そうですね、僕が挨拶しても『な、なんですか?』って敬語になってたりしていましたね、前までは僕に色気──」

「あ、もういいですありがとうございます! では!!」


私は直ぐに刑事の元から去って行った。


あの人絶対に頭がおかしい人にしか見えない。

私は刑事さんに挨拶なんて掛けられたら覚えも全くない。

それに『前まで色気を出してた』と言っていたが、そんなの見覚えがない。

何故だろうか、さっきから心臓がバクバクと鳴り響いている

私は少し休憩をしてから聞きに行くことにした。


「はぁ、さっきから変な事が起きすぎだよ...... 色気とか色気とか!」


私はベンチ椅子に座り、心に残る苛立ちを小言で呟きストレス発散をした。

目の前には廊下が見える、私の後ろには刑事課がある。

それにしても色気とかビビりとか、一体どうなっているのだろうか

ストレス発散をしたのはいいが次は寒気がしてくる。


「寒い、鳥肌が立ってきたよ......最近の警察は変な人が多いのかな?」

「でも......怪奇を究明するには仕方なく協力しないといけないよね......」


私はベンチ椅子から立ち上がり息を深く飲み込む

決して美味しくもない空気だが飲み込まないと落ち着かない、

そして胸に手を当てて心臓の鼓動音を確かめる


「心拍数は収まってるよね、よし。引き続き聞きに行こうかな」


私は再びあの刑事課へ行くことにした。

少し時間が経ってても中では皆忙しそうにしている

一番前ら辺の机に他の警官や刑事と違った服装の男性が

背もたれの高い椅子に座っていて、新聞を読んでいる。

恐らく刑事課の課長、もしくは警部補なのだろうか


「あの、すみません。少しお話いいですか?」

「なんだ? あぁ、君が新島さんか」


やっぱりこの人も私の名前を知っているようだった。

警察はやっぱり凄いと感心する。

でもどうやって調べているのかが疑問に思う


「はい、新島です。実は最近警察署で異変が起きていたのか聞きたくて」

「異変か、黒い手紙が50通位来ていて、それと二階までたどり着けなかった事が十中八九あったな」


この人も永遠に繰り返される階段を体験していそうだ。

どうやら体験したのが私達だけじゃなくて良かった、とホっとする。


「そうなんですか、では黒い手紙の事を詳しくお願いしてもいいですか?」

「いいけど、部外者には言わないであげてくれ。騒ぎになると困るからな」

「ありがとうございます」


新聞紙から顔を離すと、課長だと思われる人はとても若そうな人だった

青眼鏡を掛けており、髪は首まで伸びている。

それに私も部外者だと思うのに教えてくれるなんて親切な人だ。

漸く怪異の仕業とされている、黒い手紙に『ようこそ深淵迷宮へ』と書かれていた謎の手紙、今回はこれを解決していく事になるのだろうか


「黒い手紙に実は不思議なことがあって、『深淵迷宮へようこそ』とだけ書かれていたのだけどその場所を特定してから警察署の構造がおかしくなっている」

「構造ですか、それで深淵迷宮の場所って何処なんですか?」


課長らしき人は困惑の表情を見せており黙り込む。

深淵迷宮の事を言ってしまえば災いが起きると思っているのだろうか

私は怪奇究明の為に、どうしても教えてほしい。と頼むことにする


「お願いします、どうしても深淵迷宮の場所を教えてほしいんです! 私には解決しなければいけない事件とかがあるので......」

「そうか、そこまで言うのなら......教えてあげるよ」


どうやら教えてくれるようだ。

今回の刑事課の中では少ない常識人だと思う

私は控えめな笑顔を見せて礼を言う


「ありがとうございます!」


私が礼をすると少し言葉が言い淀みながらも

『深淵迷宮』の場所を教えてくれることになった。


「ここから5km先に離れた零明山れいみょうざんという場所にある。

......だけど......あそこは本当に危険な場所だ」

「零明山......ですか? 一体どんな場所か教えてください」

「あそこは古くから穢れた御霊みたまを浄化するとされている場所だったけど、最近になって怒れる御霊が増えて危険な場所なんだよ」


この人は何処か震えている感じがしていた。

そして、眼鏡が合わないのかズレる眼鏡を直している

零明山、穢れた御霊の魂を浄化する場所だったが何かの原因により

怒れる御霊が現れて危険な場所へと変化していったところだろうか。


「怒れる御霊が現れる......零明山」

「あぁ、もし行くなら自己責任だぞ......」

「分かりました......ありがとうございます、それで貴方の名前は何ですか?」

「俺の名前は室町健むろまちたけるだ。刑事課の課長を務めている。」


新聞紙を置いて立ち上がって名前を名乗る

名前は室町健さんのようだ、予想通り刑事課の課長だった。

本当にこの人がまともで良かったと心底思う。


「室町さんですね、ありがとうございます」

「名前を教えただけで礼をされるのは恥ずかしいな」

「そうですかね? あ、では零明山の方へ行って来ます」

「分かった、気をつけて行ってくれ」


私は室町さんに見送られながら篠崎さんと大谷さんの所へ向かった。


数分後で篠崎さん達を見つける事が出来た

まさか応接室に待っているなんて思わないだろう

私は滑り込むように部屋に入り『深淵迷宮』の事を話す。


「ビックリしたっす......もう情報見つけたんすか?」

「慌てすぎだ、とりあえず話してくれ」

「はぁはぁ、すみません......」


私は具体的な説明をして『深淵迷宮』がどの場所にあるのか

零明山とはどんな場所なのかを教えた。


「零明山っすか?」

「聞いたことないな......あまり知られてない場所なのかもな」

「二人が知らないってことは知名度がかなり低いようですね......」


篠崎さんと大谷さんが知らないとなると零明山まで行くのが困難そうだ

どうすればいいのか考えていると、篠崎さんが思い付いたように言う。


「場所を聞いて来るからお前達はパトカーの中で待っていろ」

「あ、篠崎さんのパトカーでいいんすか?」

「あぁ......だから早く行って来い」

「お言葉に甘えて先に行って来ますね」


そう言うと私と大谷さんは一階まで降りて警察署からでる。

どういうわけか警察署の外は入る前とは違って街灯が消えており

より一層暗闇の不気味さを漂わせている。

車も全く走行しておらず、辺りが沈黙に包まれていると

突然まるで驚かせるかのように、大谷さんは夜空を見上げながら私に囁く──


「新島さん、実は零明山って知ってるんすよ」

「えっ、そうなんですか?」

「はい、それで殺人犯を追っている時に零明山まで辿り着いて

拳銃を構えながら警戒して犯人を探していると、話掛けられたから

それは驚いて犯人だと思い咄嗟に撃ったんすよ......」


大谷さんはもう一つ身に付けていた拳銃──M1911らしきもの──を触れる

そしてその顔からは一滴の涙がこぼれ落ちる。


「そしたら、悲鳴と共に月光つきひかりで照らされて見えたのは

市民の女性が頭部のこめかみから大量に出血していたんすよ......」

「──っ!?」


大谷さんは零明山のことを知っていて、犯人を探してる時に

突然話掛けられたから犯人だと思い一般市民である女性を頭部を撃った。

それは事故なのかもしれない、暗闇の中だから間違えたのだろう


「もう俺は怖くなって犯人を探すのを止めたんすけど、その翌日捕まったす」

「ま、待ってください。その女性はどうしたんですか?」

「......幽霊か、幻覚っす。実は撃たれた女性はそのあと消えたんすよ」


良かった、生身の人間に対して撃ったわけではなかったそうだ

いや幽霊でも流石に不謹慎過ぎるか。

大谷さんが言いたいのは零明山は霊的何かがいるぞと伝えたいのかな


「あ、あはは......生身の人間じゃなくて良かったですね」

「はい、そうっすね。罪の無い人間を撃ってたら今頃刑事してませんっす!」


自然と大谷さんの顔からは涙が消えており、笑みを浮かべていた。

取り敢えず安心してくれて良かったと思う。

あの状態で零明山に行けば恐らく精神的に壊れてしまうからだ。


「あ、そうだ。早くパトカーに乗らないと篠崎さんに怒られるっす」

「そうですね、乗りましょうか!」


そう言うと私と大谷さんは鍵を解除しパトカーの中──大谷さんは助手席で私は後部座席だ──へと入る。

お互いシートベルトを締めて篠崎さんが帰って来るまで待つ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ