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空音の怪奇譚  作者: 如月颯人
第二章:深淵迷宮の噂
22/31

第二十怪 北沖警察署 後編

すみません、3日遅れてしまいました

溜まってるので一気に投稿してもいいと思うのですが、それだと見てくれる方が少なくなりそうなので1日に一回投稿していきます。


──何だろう、これは夢の中?


『空音先輩って志望校はどこですか?』

『私はどこの高校も行かないなぁ』

『えぇ! 先輩は頭がいいから良い高校に入れると思いますよ?』


誰かが会話をしているが姿を見ようにも目が掠れて見れない


『お世辞はいいって! 私って頭悪いから......』

『そんな事ないですよー...... でも』

『ん? どうかしたの?』


男女らしき人達が話しているようだ。

男性の方は何故か涙を流している


『すみません、伝え忘れていた事がありまして......』

『それって涙を流すほど大事なことなの? 出来れば教えてくれる?』

『実は自分は──引っ越しするんです』


...............





「い...... 起きろ新島君」


誰かが私を呼んでいる声が聞こえてくる。


「おい、新島君。もう着いたぞ、早く起きろ」

「あっ...... すみません、今起きました」


どうやら私は夢を見ていたようで篠崎さんに迷惑を掛けていたようだ。

さっきの夢は何だったんだろうか、何処か懐かしい感じがして切ない気がする

空音先輩と私の名前を呼んでいた男性は何者なのだろうか


「さあ、ここが北沖警察署だ。静かに行かないと怒られるぞ」

「そ、それぐらい分かってますよ......」


ふと夜空を見上げると満月が光輝いている。

その満月はまるで私を見守っている感じがして、見ていると安心してくる。


そして満月を覆い隠すかのように、──羽の白い鳥が飛んで姿を現す。

──『白鳥』だ、中学生の頃学校帰りに見かけた事もある為知っていた。


「綺麗だぁ...... 白鳥はこんな所にもいるんですね」


私がそう言うと篠崎さんも夜空を見上げる


「珍しいな、こんな都会に白鳥だなんて。何か良い事が起きそうだな」

「ですよね、私も見かけたのは一回だけですから......」

「それより白鳥よりも早く警察署に入るぞ。」

「あ、すみません......」


私は篠崎さんの後へついて行き警察署へと入る

警察署の中は警官が沢山いる。

床のタイルは黒色で壁は白色。


「ここが北沖警察署...... 私の村の警察署より広いです」

「田舎の警察署は小さいからな、初めて都会に来た者は驚くかもな」


警官達がザワザワとしていて忙しそうにしている。

私の村の警察署では静かな事が多い。


「あ、篠崎さんお疲れ様っす! このが例の事件解決を導いたという?」

「そうだ、田舎から来たもんだから都会には詳しくないぞ」

「大丈夫っすよ~、困った時は俺がバッチリ教えてあげますから!」


目の前に現れたのは篠崎さんと同じ服装──黒いスーツ─のやつ──をしていて

腰に拳銃を付けている若そうな刑事がいる。

口調からして立場的に篠崎さんの方が上だろう。


「あの、貴方の名前はなんですか?」

「申し訳ないっす、俺の名前は大谷俊一おおたにしゅんいちっすよ! 刑事課所属で階級は巡査っす!」

「私は空音です、よろしくお願いします」

「名前は伺ってますよ~、新島空音さんっすよね?」


この警察署の全員が私の名前を知っているのだろうか

そう考えると警察の力は侮れないなぁ......


「はい、それで東雲緋奈さんに逢いたいんですが」

「おい待て。東雲緋奈は現在警視庁にいるから逢えないぞ」

「そうっすね、東雲緋奈さんは警察の中では一番偉いっすからね~」


な、何を言ってるんだろう私は......

怪奇の事を調べる為に来たのに東雲緋奈さんに逢いたいだなんて。

周りの警官達が私をおかしな目で見ていて怖く感じる。


「まぁ、ひとまず2階の応接室まで行くぞ。大谷、案内してやれ。」

「はい分かりましたっす!」

「あはは、大谷さん熱いですよ」


私達は大谷さんに案内されながら2階へと上がる

ふと踊り場に着いた時、大谷さんが立ち止まる。


「あれ...... こんな段数がありましたっけ」

「どうした大谷、そんなの気のせいだろ。早く案内しろ」


大谷さんは私達を怖がらせようとしているのだろうか

段数が増えるという不思議な事があるなんて怖いに決まってる。

そして私達は再び階段を上がる。


「篠崎さん、おかしいっすよ。上がっても上がっても、また踊り場に」

「今来たばっかりじゃないか、怖がらせようとしても無駄だぞ」

「──えっ...... なんで?」


大谷さんの言うとおりだ

さっき私達は階段を上ったはずが、また踊り場へ来ている

それなのに篠崎さんは気付いていないのだろうか


「いや、本当なんすって篠崎さん!」

「大谷...... もう一度上ってみろ。気のせいかもしれないぞ」

「わかったっすよ......」


そう言うと私達はもう一度階段を上る

──明らかにおかしい、また上っても同じ踊り場に戻ってしまう

篠崎さんは気にしてないのに私と大谷さんだけが混乱している。


「し、篠崎さん。やっぱりおかしいっすよ。また踊り場っすよ?」

「は? 何を言ってるんだ。さっき来たばかりじゃないか」


いや篠崎さんは気にしてないんじゃなく”今来たばかり”なんだ

何かの原因で時空が歪んでいるのだろうか

私と大谷さんだけが2階へたどり着けないが、篠崎さんは”踊り場に来たばかり”の状況になっている。


「あの篠崎さん。大谷さんの言うとおりですよ......

何回上っても2階へ行けないんです」

「そうなんっすよ! 新島さんの言ってる通りっすよ?」

「そ、そんな馬鹿な。俺は今さっき踊り場へ着いたところだぞ」


この場の空気が変わってしまう。

さっきまでのザワザワという声も聞こえなくなり、今は私達の声だけだ。

そして深い沈黙が続いてしまう。


──その沈黙を破ったのは大谷さんだ


「もしかしたら怪異の仕業かもしれないっすね」

「怪異だと、俺は納得しないからな。お前たちが手を組んで怖がら──」

「篠崎さん。普通、私が初対面の人とグルになってしますか?」


そう言うと篠崎さんは私を睨みながら黙ってしまう。

だってこんな状況は不可思議すぎる

今を歩いてる私と大谷さん、過去から篠崎が歩いてる。

普通だと時空が歪まない限りこういう事はおきないだろう。


「グルじゃないとすると、お前たちだけが先に進んでるわけか」

「そうっすね、篠崎さんは後から来ている感じで今来たばかりになるっす」


空気が良かった警察署内も濁ったように変わる

この状況をどうやって突破しようかと考えてしまう

──すると私の頭の中で何かが閃く


「あの、もしかしたらですけど......」

「なんだ?」


篠崎さんと大谷さんが同時に喋──大谷さんは『どうしたっす』だけど──る


「横一列にならんで行けば上がれるんじゃないですか?」

「そ、そうすっか! その手があったすね!」

「本当にそれで上れるのか? 何か他に手段あるんじゃないか」


確かにまともな考えをしてる人からすれば可笑しな考えかもしれない。

多分この方法でしないと、永遠の階段からは抜け出せないと思う。


「いえ、この方法ではないと抜け出せないと思うんです」

「そうか...... 新島君の事だから何かの勘が閃いたんだな。

分かった、言う通りにするぞ」


そう言うと私達は横一列になり再び階級を上り始める

篠崎さんはまだ半信半疑のまま上る。

大谷さんも硬い表情をしながらも一緒に上る。


私は唾を強く飲み緊張しながらも上る

──そして私達はいよいよ2階へ上る事が出来た。


「おっ、篠崎さん、新島さん! 無事に2階へ行けましたっす!」

「良かった...... このまま上がれなかったら危なかったよね」

「やれやれ、やっぱり気のせいだったんじゃないか?」


そして篠崎さんは『ふん』と言うと何処かへと行こうとする


「あれ、篠崎さんどこへ行くんすか?」

「あぁ、少し刑事課に用があってな...... 先に行っててくれ」

「分かりましたっす! さぁ、新島さん行きますよ!」

「分かりました! それとお気を付けて!」


そう言うと私と大谷さんだけで応接室に行く

歩く度にコツコツと音が鳴るのは床の材質の問題だろうか

あ、そんな事でいちいち考えてはダメだよね......


──そして木質の扉の前へと立ち止まる

扉の立て札には応接室と書かれていた。

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