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空音の怪奇譚  作者: 如月颯人
第二章:真宮邸 猟奇的 怪奇事件
17/31

第十五怪 アリバイ調査

投稿です。

今回かはネット小説大賞七に応募致しました。

よろしくお願い致します。


「それで保実さんでしたよね?」

「は、はいっ...」


メイドの保実さんは震え声ながらも返事をする

やっぱり修一郎さんが怖くて泣いてしまったのだろう...


「事件発生前とその後何をしていたのか教えてくれませんか?」

「わ、私は...... ぐすっううぅっ......」


保実さんは泣いていて話せる様子じゃなさそうだった

力渡は困った顔をしながら戸惑っている。泣く女の子には弱いのかも


「私が代わりにアリバイを教えます」


すると黒髪セミロングで見た目が大人しそうなメイドさんが喋ってくる

キリッとしていてメイド4人の中では優秀そうな感じがしている。


「失礼ですが貴女の名前は?」

「私はこの屋敷でメイドとして働かせてもらってる北内葵きたうちあおいと申します」


どうやら北内葵さんという名前らしい。もしかしたらこのメイドの中ではリーダー的な存在なんだろうか......


「なるほど、じゃあ葵さんアリバイを教えてくれないか?」

「はい、私達メイド4人は事件前は食堂で食事をしていて...... 事件後もずっと食堂にいました。」


葵さんの言うとおり、メイドさん全員食堂にいた。

私がこの目でハッキリと目撃しているから大丈夫なはず


「メイド4人で殺害した可能性もあるな...」

「──あのっ! 私達は皐月さんを殺すような事は決してしてません!」


力渡は何をやってるの...... 今の発言で保実さんが大泣きしていた

その他3人のメイドさんは唾を飲み込み黙って聞いている。


「いや、グルの可能性もあるからな...... 本当にいたのか他の人の誰かが証明してくれないとダメだ」


葵さんは黙ってしまった、グルだと疑われてしまっては証明するには

難しいのは当たり前だろう。じゃあ、ここは私が証明しないと思い力渡に言った


「私見てたから分かるけどこのメイドさん達は本当にずっと食堂にいたよ?」

「あ、あれ? そうだったのか......」


葵さん以外のメイドさん全員が力渡を睨んでいる。

それはそうだ、何もしていないのにグルだと決められたら睨まれるに決まってる


「悪かったからそんなに睨まないでくれよ......」

「ふふっ...」


私は思わずに『ふふっ』と笑ってしまった。

こんな光景は見るのが初めてだからしょうがないよね。と自分に言い聞かせる


「ぐうっ...... 正にぐうの音も出ないとはこれのことだな。」

「た、探偵さん。ぐうって出ていますよ...」


修一郎さんがツッコミを入れたが今はアリバイ調査じゃ......

私は呆れた様子で力渡の代わりにアリバイ調査をした


「では、メイドさん達のアリバイは証明されましたので。シェフさんと──」

「私は目撃されているんでー、アリバイしなくてもいいじゃないっすか?」


雅俊さんは私が話してるにも関わらずに突然話をしてくる。

言い方と空気が読めない事にイライラするけど話を進めていく


「シェフさんと修一郎さんのアリバイを聞かせてもらえませんか?」

「まずは僕がアリバイを言いますよ」


どうやらシェフの方がアリバイを聞かせてくれるようだ

というか初めて会った──言い方を変えれば初めて見た──気がする。


「ではお名前を教えてくれませんか?」

「僕の名前は笹山恭田ささやまきょうたです、この屋敷でシェフの仕事をして3つ星レストランを県外に建てています。」


シェフの名前は笹山恭田さんらしい、県外に3つ星レストランを建ててるのか

その前に”県外”って何だろうか...... 村外なら分かるけど......


「では貴方は事件前と事件後は何をしていたのか教えてください」

「事件前はキッチンで食器を洗っていました。事件の後は...... まだ食器を洗っていたので現場にはいませんでした」


恭田さんの発言には矛盾はない。私がキッチンを見た時は確かにいたのだから


「ありがとうございます、もう大丈夫ですよ」

「は、はい...」


さて、次は屋敷の当主の修一郎さんだ。無実のはわかっているけどアリバイを聞かないと差別になってしまう可能性があるから聞かないといけないよね。


「修一郎さん、事件発生前と事件後に何処にいたのか教えてください」

「ええ、私は事件発生前は皆様と食堂で食事を取っておりテレビを点けた後に悲鳴が聞こえたので皐月くんの部屋へと向かいました。まさか...... 皐月くんが無惨の姿になってたなんて......」


修一郎さん、貴方の気持ちは分かるよ。まさか皐月さんが犯人によって

無惨な姿になっていたなんて思いもしなかったはず。


「ありがとうござい──」

「次は私でございますねぇ? 分かりました分かりました、言いますよ~」


雅俊さんの言い方がもどかしい...。何故かイライラしてしまう。

取り敢えず調査の為だからアリバイを聞くしかないよね......


「ちっ...まぁ、事件前は屋敷の見回りをしていましたよ。そして、見回りが終わった後に食堂へ行ったわけですよ~、そしたら『きゃああ!』という悲鳴が聞こえたのわけです。」


適当な説明だけど2つ”気になる事”がある......

それは『見回り』『悲鳴』の2つ、どうして見回りをしていたのか

悲鳴が聞こえた時にどうして気にせずに食事を取っていたのか? 悲鳴が聞こえたら食事どころじゃないと思うはず。


「なに怖い顔してるんす~? もしかして私が犯人だと思うんですか?」

「お前っ! いい加減にし──」

「力渡、止めて。それで雅俊さん、疑問というか気になる事があるのですがお聞きしてもいいですか?」


今までの雅俊さんの言動は完全に怪しい。敬語だったはずがチャラくなっているし、茶化すような感じに言ってくるからだ。


「まず、1つ目。どうして見回りとかされたんですか?」

「屋敷に不審者がいないか確かめてただけっすよ?」


屋敷に不審者がいないか確かめてただけなんだ......


「最後に...... 何故悲鳴が聞こえた時に堂々と食事をしてたんですか?」

「悲鳴よりも食事の方が大事ですからね~」


理由がふざけてる...... あんな金切り声みたいな悲鳴を聞いて

まともに食事なんて取れるはずがない。


「ん~? そんなに怖い顔してどうしたんですかぁ?」

「いえ、なんでもありません...」


私はこのアリバイ調査が終われば捜査を再開する。

罪無き皐月さんの為にも絶対に雅俊さんが犯人という証拠を見つけ出して見せる


「それで探偵さん方、ありがとうは終わったそうですが...... 犯人は分かりましたかな?」

「今のところ犯人の目星はないな。」


いや、力渡は犯人の目星はついているはず。それも私も同じ考えだ

証拠がない限り雅俊さんを犯人だと言うのは少々リスキーかもしれない。


「私も今のところ犯人らしき者はこの中にはいないですね。」

「へえ、探偵さん? という事は犯人は部外者ってことすか?」


雅俊さんがニヤニヤしながら私達を蔑むような目で此方を見てくる


「くっ...... はい、そうかも知れません」

「じゃあ、犯人を捕まえる事は困難っすねぇ?」


だんだん腹が立ってくる。早くこのアリバイ調査を終わらせないと

私の正気が無くなり殴ってしまいそうだ。


「部外者となると犯人が誰なのか分かりませんな......」

「はい、ですがこれから調査を再開して犯人を探し出しますよ」


私がそう言うと修一郎さんは『頼みました』と小声で私に囁く。

絶対に雅俊さんを捕まえる、私はそう覚悟を決める。


「では今から調査を再開するので皆さんは食堂へ待ってて下さい」

「お、おい空音。本当に調査を再会するのか...?」


力渡が心配そうに私を見てるがこの際無視をする。

私一人だけでも証拠を見つけ出してやるのだから......

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