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俺のチートは命を分けること  作者: サウス・ジュン
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プロローグ

家族というものに憧れていた。


生まれてすぐに両親を亡くして孤児になった俺はその関係に憧れていた。


とにかく、俺は愛情が欲しかった。


それと同時に・・・怖かった。


誰と接するにも、表面上は笑顔で接していても本心では俺のことをどう思っているのか常に怯えている自分・・・矛盾しているが、俺は人が怖かった。


孤児であった俺のことを、皆は優しく接していてくれてはいたが・・・・・そんな彼女達にさえ、心を開けずどこか1歩引いて接していた。


本当はわかっていたんだ。こちらが心を開かないと愛情が得られないことくらい。


でも・・・我が儘かもしれないが、俺は誰かから愛されて・・・誰かを愛したかった。


それがしたくても他人を信用できずにズルズル大人になってしまい、なんとなしに知り合った女性とそれなりに良好に付き合っても・・・やっぱり何か違うと思う自分。


彼女のことを好きかと聞かれたら・・・好きではあっても多分ラブではなくライクの方だと答えることになる。


では好きってなんだ?本当の愛とはなんなんだ?


疑問が疑問を呼び、ますます人を遠ざける毎日・・・そのツケだからだろうか?ある日、付き合っていた彼女が浮気していることに気がついてしまった。


それでも、俺は心は痛まなかった。


「ああ・・・やっぱりか」


そんな言葉が自然と口に出る。


いくら愛を囁こうとも、いくら好きと言われてもしっくりこなかった理由・・・簡単なことだ。本当は俺のことなど対して好きではなかったからその言葉が薄く聞こえたのだろう。


別れを告げると彼女は泣きすがった。


それでも、浮気のことを口にすれば・・・それまでのことなどなかったかのように無表情で言った。


「なんだ・・・知ってたの?じゃあもういいや・・・さよなら」


俺のことなどもはや眼中にないのだろう彼女は「このルートはダメだったか・・・」などと呟いてあっさりと去っていく。


なんだ・・・やっぱりそうか。


俺は・・・きっと今のままでは愛を貰うこともあげることもできない。


本当はわかっていたんだ。


でも・・・それでも。少しでも信じたいと思って、願ってしまうのは愚かなことなのだろうか?


降りしきる雨の中を、悲しくもないのに流れる涙で視界が霞み・・・


キー!


そんな音が聞こえてきたと思うと気がつけば宙を舞う俺の体・・・見れば、交差点に突っ込んできたトラックが視界に映り、どうやら俺はそれに巻き込まれて轢かれたらしい。


鈍い音と共に地面に倒れて薄れいく意識の中で俺は願った。


来世があるなら・・・次は愛をくださいと。





『いいわよ』


誰?


『私?女神様って言えばわかる?』


女神様・・・ここはどこ?


『どこでもいいでしょ?それよりあなたは欲しいんじゃないの?』


欲しいって・・・


『愛よ。あなたは欲しいんでしょ?』


・・・欲しい。


『なら、私があげるわ。あなたに愛を』


・・・どうしてくれるの?


『理由が必要?そうね・・・気まぐれかしら?神さまは気まぐれに人に加護を与えるものよ』


加護?


『チートって言えばわかるかしら?あなたにはこれから私の作った世界で暮らして貰うつもりだけど・・・そうね。貴方にはとっておきの加護をあげるわ』


・・・よくわからない。


『それでいいわよ。もしもの時には使ってみなさい。ただしーーー覚悟はしなさいね』


覚悟?


『そう覚悟。何の犠牲もなしに力は使えない・・・まあ、代償かしらね』


俺は何を支払えば何を貰えるの?


『代償は貴方自身。与えるのは私の力よ。覚えておきなさい。私の名前はーーー』










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