1章2話 宣材写真の話をしてみた
「おーい!皆!集まってくれ!」
一郎は朝早くから3人娘のところに
足を運んでいた。
「おはよーございます!
プロデューサーさん、早いですね!」
ニコニコ顔で返事をするのは
スラたんだ。
「あぁ、おはよう、スラたん。」
後ろの方からのろのろと
二人も現れる。
「二人ともおはよう。
なんだか眠そうだな?」」
ドラミーとのんのんは
まだ半分寝ているのか、
大きなあくびを繰り返している。
「ボイストレーニングって
難しくて大変で・・慣れてないし・・
つかれちゃうの。」
と、ドラミーがつぶやきながら
「おやすみなさい」と戻ろうとする。
「待て待て、今日は皆に
やってほしいことがあるんだ!」
3人がハテナ顔でいると
一郎は自信ありげな顔で告げた。
「宣材写真を撮ろうと思うんだ!
どうだ?アイドルっぽいだろ?
いや~、他のプロデューサーに聞いて
正解だったよ!仕事が始まったって
感じがするな!」
「あの~」
そこまで聞いていたのんのんが
疑問に思ったのか声をあげた。
「せんざいしゃしんってなんですか?」
宣材写真がわかっていなかったのか
一郎に質問を投げかけた。
「せんざい、せんざーい!わーい!」
「せんざい・・潜在・・我が力を引き出す?」
他の二人もわかっていないようだった。
「えーっと、宣伝用の写真で
営業に使う資料みたいなものって聞いたな。
オーディションやクライアントに持っていく
のに使うから必須アイテムってやつだな。
ってどこで撮るんだ?」
「わかりませんって」
「で、ですよねー。ははは・・
ちょ、ちょっと聞いてくるわ!」
慌てて一郎が部屋を飛び出した。
「あ、ちょっと!プロデューサー!」
のんのんが声をかけるも姿はすでになく
3人はやれやれといった様子で雑談を始めた。
「しゃっしん!しゃっしん!楽しみ~。
あ、今のうちにポーズとか考えておいた方がいいかな?」
「ポーズは斜め立ちをすればいいって
聞いたことある・・。」
「斜め立ちって誰に聞いたのよ・・」
はぁ、とため息をついてのんのんは
ドラミーのほっぺを突き始めた。
「大体、仕事用って、いってるんだから
真面目に、やらなきゃ、ダメでしょ」
「うー、やぁめぇてぇ。
プニプニしないでぇ~、やぁん」
モジモジしながら弱々しく抵抗する
ドラミーがかわいらしかったのか
次第にハァハァと息を荒げるのんのん。
「なぁに?かわいい声だしちゃって。
ここか~?ここがえぇのんかぁ~?」
のんのんが親父のようなセリフを
言いながら色々なところを弄り始める
「なんか楽しそう!私もやる!」と
スラたんもキャッキャと楽しそうに
ほっぺをツンツンしはじめた。
「いやぁ、あぁ、そこはぁ・・
はぅ~~~やぁ~~~ん」
真っ赤な顔で悶えるドラミーに
思わず抱きつく二人。
「あははっ、ドラミー可愛い~~、
もうぎゅーってしちゃう!」
「ドラミかっわい~~~!」
「あぅ・・くるしぃ・・」
この後もしばらく3人のイチャイチャは
続いていたが、悲しいことに
一郎はその光景を見ることはなかった。