1章1話 あらためて話をしてみた
顔合わせから一週間後、
一郎は再びモギプロダクションに足を運び
3人のAIアイドル候補生達と話をしていた。
「よっし、じゃあ改めて。
俺が君たちのプロデューサーとなる三木一郎な!
プロデューサーでもいいし一郎でもいいから!
君たちと同じプロデューサーとしては
ひよっこだから迷惑かけるかもしれないが
よろしくな!」
一郎の爽やかな挨拶に応じたのは、
元気一杯のスラたんだ。
「はい!こちらこそよろしくお願いしまーす!
ねね、プロデューサーさん!
たっくさん面白いことしようね!」
「おう、よろしくな。
スラたんは皆に元気を与えるいいアイドルに
なりそうだな。」
「えへへ、それがスラたんですから!
皆の病気も~落ち込みも~
ぜーんぶスラたんがやっつけちゃいます!」
(こういう元気な子はユニットには必要だよな)
一郎はウンウンと頷きながらドラミーの方を見る。
「ドラミーもよろしくな!」
「あ、うん。よろし・・あ、違う。
我と契約せしは其方か。
我が半身となって存分に活躍するがよい」
中二病設定が定まっていないのか
本人自体が自分の設定を作りきれていないようだ。
「あー、なんだ。
あんまり無理する必要はないからな?」
(顔赤らめて話すから慣れてないのはわかるんだが・・)
「で、でもこれ設定ないと私上手く喋れないし・・
人の目を見るのもむ、無理・・」
不安なセリフを聞いが気がするが
長い目で見ていこうと思う一郎であった。
「えーっとそしてパンダちゃん?」
「パンダだクマー。よろしくまー。」
「その喋りは天然・・?」
「ダメですか。」
「いや、ダメってわけじゃないけど。
どうも某コレクションゲームを思い出しちゃって」
「はぁ~。いい案だと思ったのに。
まぁ普通に喋りますよ、はい。」
「なんだ、普通に話せるのか。その方が良くないか?」
「ダーメッです!全然ダメですよー!
何言ってんですか!
いいですか?周りみてくださいよ。
元気が服を着たスライムに
これ見よがしに中二病設定のドラゴン。
それに対して私、パンダですよパ・ン・ダ!
たとえ出落ち担当の神様は許してくれても
アイドルの女神は許してくれないですよ!
キャラ付けが必要なんですよ!」
「お、オォウ」
「そもそもですね、
モンスターって言ってる時点で
あれー?おかしいなー?
一人違うの混じってんじゃねーかー?
みたいな?疎外感?アウェー感?
ビンビン漂わせてるのに
誰一人ツッコミも入れないじゃないですか!
生殺しですか!」
「そ、そんなに違和感ないと思うがなぁ」
「プロデューサー!何言ってるんですか!
私、生まれた時から
違和感とは友達感覚で付き合うほどの中ですよ?
その私が言っているんだから間違いないです!
だから・・
だからあえて無理やりキャラ付けして
輪に加わる努力をしているのに!」
「のんのん・・・」
「のんのん禁止!」
「失礼、パンダちゃん。
そう怒らなくても大丈夫だって。
パンダちゃんには素質がある。
そうこのユニットのまとめ役という!」
「まとめ役ですか・・・」
「そう!スラたんは元気はいいが
上手く会話のキャッチボールは苦手だと思うし、
それはドラミーも一緒だ。
その点、周りも自分も見えた上で
適切な話術で回していく。
これ以上立派なまとめ役はいないと思うのだが
どうだろう?」
「ま、まぁ?
プロデューサーがそこまでいうなら?
まとめ役やらないとは言いませんが・・・」
(もしかしてチョロ・・いや、やめておこ)
「それじゃまとめ役よろしくな!
後、俺はパンダちゃんでいいけど
外ではちゃんと名前言うんだぞ?」
「はぁ・・しょうがないですね。
もろもろ了解、頑張りますよ」
しぶしぶ了承したのんのん。
なんとか3人とはやっていけそうな
気がした一郎であった。