トーナメント戦 開戦?
戦闘描写は苦手です。ご想像にてかっこよくしてください><
「さて、Cエリアだと… 俺は2回戦目で【カマセ】ってやつと対戦か。まぁ、一回戦目から強いやつはあんまり当たらないと思うけど。…いやしかし、逆に言うと一回戦目から強いやつとあたる可能性もあるってことか…」
などと独り言を言いながら順番待ちをしているエイト。そうこうしてるうちに一回戦目の対戦が終盤に差し掛かっていた。
モヒカン頭の細い男がさっきから奇声を発しながらボディービルダー顔負けの体をした男を果敢に攻めていた。ボディービルダーのほうはうずくまって攻撃を受けているのみ。
「ヒャハハッハ!!オメエの図体はでけえだけで中身はスッカスカのちくわ野郎だなっ!! ヒヒャっ!」
とぼこぼこと手に持っている棍棒で殴りつける。
ちなみに、この大会は武具の持ち込みが認められていて、言ってしまえばお金もちが多少は有利になる条件になっている。お金も武力の一つだということらしい。しかし、お金をもっていれば最強というわけでもなく、はやりどっちかがずば抜けて抜きんでているか、どちらももっているかしないとこの大会では生き残っていけないようという話を【ラッキー】の店主から聞いた。
「そろそろしめえにしちまおうかあああ!!!ヒヒャホッオオオウ!」
棍棒を思いっきり振りかぶってジャンプしながらモヒカン頭はボディービルダーに飛び掛った。
その瞬間。 スポーーーン!!とモヒカン頭は吹っ飛んでいき、白目を向いて地面に横たわっていた。
「…馬鹿め」
とだけ言い残しボディービルダーは去っていった。
――――かっけえ…。なんだあの男気の塊は! 俺は次の戦いに勝ったらあいつと戦わなければならないのかあ…。
などと次の次の対戦のことを考えているエイトは割りと余裕があるのであった。
そして、次はエイトの番であるのでボディービルダーの男とすれ違い自分はアリーナのバトルエリアに入っていく。
――――うはー。すごいなやっぱり。4つに別けているといっても、観客の視線は分散された気がしないな。そして、すごい視線を感じる……
「えいとくうううううん!!!ふぁいとおおおおお!!!だよおおお!!」
とサチがぶんぶんと手を振りながら近くで見ているのがわかった。むしろ気付かないほうがおかしいくらいの声を出している。
同時にその声につられてか、回りの観客がさらにこちらに注視するのもわかった。そして、ざわめきがあがった。
「お、おい!みろよあいつ!!」「え、うそ…!あの人って…」「おいおいまじかよ。カマセってやつかわいそうだな」
などの声が飛び交い始めた。
――――おいおい…。俺の実力がばれちまったのか?くそぉ。隠してたはずなんだけどなぁ。
など少し嬉しそうにしながら聞き耳を立てていたエイトであったが、次の一人の一言で動きを止めることになった。
「あいつ、ヒワイカをここ数日でココ周辺のヒワイカを駆りつくす勢いで狩っていた…【ヒワイヤー】じゃないか!!!」
「ヒワイヤーだと…!?そいつはヤベエじゃねえか。この大会の優勝候補じゃねえのか…?」
「すごい!たくさんヒワイカを倒してたのね!!」
「「「「ヒワイヤー!!!ヒワイヤー!!!ヒワイヤー!!!」」」」
――――――お、おい!!!なんだこの羞恥プレイは!?なんでこんな卑猥ヤーコールをされなきゃならねえんだ!!! くそやめろ! っていうかサチも一緒になってコールを盛り上げてんじゃねえっ!!?
どんよりした空気になったエイトを審判が見て空気を読んだのか開始の挨拶を始めた。
「これより、Cエリア第二回戦。ヒワイ――【エイト】対【カマセ】の戦いを始めるっ!両者準備はいいか…!? …良いようだな。 では----始めっ!!!」
否。ぜんぜん空気を読めていなかった。
「ヒャヒファ! 卑猥だか干物だかしらねえが、俺様はさっき弟がまけたせいで機嫌がわる――ごふっ!?」
「…俺のほうが機嫌悪いんで…」
パタっとカマセが泡を吹いて倒れる。
しん…と静まり返るCエリアサイドの観客。それもそうだ。自分達がヒワイヤーコールをして盛り上がっていたらいつの間にか勝負?がついてしまっていたからだ。
「う、うおおおおすげええええ!!強すぎないかヒワイヤー!?」
の声を音頭にして、またヒワイヤーコールが始まった。
さすがに青筋を立てたエイトが無表情で【リ・ブースト】と【リ・スタート】を割りと本気で使い、周囲にオーラを放ったらコールが無くなった。
「う、うわっ何だ今の…。俺おしっこちびったかもしんない」「うわきたねえっ!…と言いたいが俺もだ」
などの声も聞こえてくる。
後日サチから聞いた話だが、あの後小声でコワイヤーとひそひそといわれていたらしい。
どっちに転んでもダジャレみたいな名前になんのな。と感じたエイトであった。
そして、ヒワイヤー事件?で一気にテンションが下がってしまったエイトは、先ほどのボディービルダーの鉄壁と思われた防御もあっけなくワンパンで沈めてしまい、次の試合も、そのまた次の試合もワンパンで勝負を決めてしまっていた。
――――なんだこいつら、弱すぎねえか?エギュルの部下ですらもっと強かったぞ。それなのにもうトーナメント戦の後半だってのにどいつもこいつも俺をみたとたん逃げ腰で覇気も殺気も感じられねえ。これがこの大陸から戦士が集まってくる大会なのかねえ?
と思いながらまたワンパンで倒してしまうエイト。
「しょ、勝者… 【エイト】!!」
「「「ワアアアアア!!」」」「またワンパンで勝っちまったぞ」「まじで優勝ありえるかもな!俺Cエリア見ててよかった!」
と観客達も盛り上がっているようだった。なお、サチもすごい盛り上がっていたとだけ記しておこう。
そして、次の試合もサクっと勝ち進み、とうとう最後の8名までしぼられた瞬間、バン!バンッ!っとのろしのような音が鳴り、
「これより!!! 決勝トーナメントを行う!!! 勝ち残った選手諸君は中央エリアまで来たれ!!!」
と、開幕のよぼよぼのおじいちゃんとはまったく別の凄腕そうなゴツゴツのおじいちゃんが出てきて宣言をした。
そして、勝ち残ったと思われる8人の選手達が中央にそろったときに、ゴツゴツのおじいちゃんが動いた。
「【渇ッ】!」といきなり何叫んでるんだこのじいちゃんはと思ったエイトであったが、すぐに何をしたのかを理解した。
ゴゴゴゴゴゴゴ!とアリーナ全体が動き始めたのだ。中央エリアとの距離をつめるかのように、どんどんと中央によって来る観客席。ぐるりとアリーナ全体を取り囲むような形だったので、円周が狭まることで崩れるんじゃないかとおもっていたら、観客席が一定間隔で上下に別れていき、広さではなく高さで客席の面積を上げたようだった。
ヒュ~♪ と口笛を吹く者も入れば、すごいねあのおじいちゃん。と素直に驚く者もいる。無表情で見ているものもいるので、いつもこんな感じで行われているのだろう。
「さて! 場は整った。諸君らよ!! 存分に戦うがよいっ!!」
と言い残し、ご老人は ターーーンっと飛び上がり高見台へと腰を下ろしてしまった。
「なんて身軽なじいさんだ…」
といつものクセで独り言をつぶやいたエイト。
「ははっ。ほんとだね。あんなおじいちゃんもいたんじゃあこの世界はちょっとやそっとじゃあ滅びそうもないね…」
「ちょっと!そんな簡単に滅ぶとかいわないの!そのためにこうやって行動してるんでしょ!」
と、トーナメントが始まる前、ヤンチーに絡まれたあとに唯一話しかけてきてくれた優男と女の子が話しかけてきた。
「たしかにあんなのが何人もいたらこの世界は安泰だろうなあ…。っていうかあんたら、滅ぶとか滅ばないとかスケールでかいなぁ。そしてなんであんたらが行動すればそれが防げるんだ?」
といつもなら流してしまうであろう内容に気まぐれか、トーナメントの雰囲気に当てられたのか真面目に聞き返したエイト。それに男女は、ほほをポリポリと掻きながら
「ははっ。まぁたとえ話かな?そんなに真面目に聞かないでくれよ」「そそそそうだよ!? たとえそうなったとしてもどうにかするって話だし!?」
と不自然な感じで答えてきたので、深く突っ込まないほうがいいと感じてそこで会話を終わらせたのであった。
「では、ここに再びならんでクジを引いてください。1~8番を順番に対戦していただく形式になりますのであしからず」
と言われ、エイトは小さい木の箱に入った棒切れを取り出す。
「…8か。自分っぽい数字が出たな。なんか理不尽だなぁ。」
と軽くぐちるエイト。
「---理不尽?君、それって口癖?…だよねっ。 ごめんねいきなり! それより、君8番なんだ! 私7番だから最初の対戦相手は君だねっ!」
いきなり口癖なのかと聞かれて驚いたが、別段これを口癖とも思っていないのでエイトは不思議な顔をしていたのか、すぐ自己完結をして対戦相手がエイトであったことを喜ぶさきほどの女の子。
「そうだったのか。手加減はしなくていいから本気で戦ってくれ。俺も女だからって手加減はしないから」
「いいね!私もそっちのほうが嬉しいよっ!」
といい少しだけ楽しみに最初の対戦を待つエイトとそのやりとりを遠めで見て悔しそうにするサチなのであった。