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さて、異世界の最強とは?  作者: 小岩井偽乳
13/16

トーナメント 開始?

意外と薄く延ばせるものですね。

「おうおう! にーちゃんよぅ? そんなナリしてこのトーナメントに出ようってかァ!? ヤメとけヤメとけえ!! 雑魚が増えたとこで時間の無駄なんだよなァ!? アァン!?」


 ――――うわぁ…。ベタベタな絡み方だな。どうしよう、このまま言い返したら更に絡まれそうだし、謝っておこうかな。


「あー、すんません。でもこの大会に出ないと俺も大変なことになるんで」


「アァ”!? お前自分の立場ってもんがわかってねえなァ!! 辞退しろっつってんだよォ!?」


 火に油を注いだかのごとく激昂し始めたヤンチー。回りもそれをみてうっとおしく思ってきたのかピリピリした雰囲気になっていく。


「はぁ…。理不尽だなぁ」


 ぽろり、といつものクセで小声でこぼしてしまったエイト。それを聞き逃すわけもなく、ヤンキーは更に顔を真っ赤にして怒りだした。


「…テメエエエエエエ!!!!!なんつったゴルアア!!? あんまり調子のってっと…ぉ…ぉお!?」


 バタン…といきなり倒れたヤンキー。いきなり倒れたのでどうした?と静まり返る待機室だったが、そのヤンキーの横に笑顔の受付のお姉さんが立っており、笑顔のまま無言でヤンキーをずるずると引きずっていってしまった。

 …シン、とその場の全員が凍りついた瞬間だった。


 その沈黙を意に介さず俺に近づいてきたフードを被った人物が2人いた。


「災難だったね。えーと、君もトーナメントに出るんだよね? 僕らもこのトーナメントに出る必要があると思ってこの街に来たんだけど、さっきみたいな人ばっかりで困ってたとこなんだ…」


「大丈夫?こういう人沢山いるからあんまり気にしないほうがいいよ!ところで、さっきの受付のお姉さんすごい強そうだったね…」


 小さい声で2人が話しかけてきた。一人目が若い男の声で、2人目が若い女の声だった。


「あぁ、少し出鼻をくじかれた感じがしたけど、やることは変わらないから大丈夫だ。気にかけてくれてありがとう」


 そうか、お互い頑張ろうと軽い握手をして2人と別れを告げた頃にちょうど先ほどの受付のお姉さんが控え室の扉を開けて言った。




「ただいまから、トーナメントが行われます。準備が出来た方からこの扉の左手にある会場へおこしください」



 綺麗なお辞儀をして部屋を出て行った受付のお姉さん。隙がないな…とその部屋にいたほとんどの選手が思ったことだった。


 ――――さて、俺は大して準備も無いから行くか…!!


 みんな準備に時間がかかるみたいで、もう始まるのかよ!みたいなことを言いつつあわてて装備の調整に入ったり防具を着込んだりする者が過半数を占めていた。その中ですぐ動き出したのが、先ほど声をかけてきてくれた2人組みと、エイトだけであった。

 しかし、トーナメントが始まる緊張感などで不思議と会話は生まれず、コツコツと歩く音が道に響く。

 そして…、光が強くなって思わず目を細めたまま進んだ先には----

 人、人、人、人、人人人人人人人人人人人人人人人…


「「「「「「「ワアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」」」」」」


 選手が入場してきたことで盛り上がるアリーナ。これはまさに圧巻であった。人数的には東京ドームくらいか、それ以上かも知れないが、人の密度と熱気というか殺気というかが凄まじい。どいつもこいつも、始まりを今か今かと待ち構えている感じが遠目からでもヒシヒシと伝わってくる。


 うへえ、と肩を落としつつ中央のお立ち台の近くに集まる選手達。きっとあそこで開会式的なことをするんだろうと思い近づくエイト達。

 凄まじい歓声を受けながら選手達がお立ち台の回りに全員集まりきったと思われた瞬間に、

 バアアアアアアアアアン!!!!

 と大きな音が鳴り響く。

 すぐに静まり返るアリーナ。誰も困惑した顔をみせていないところをみると、きっと大会の演出なのであろうことがわかった。そして、しばらくすると、お立ち台の上に一人の初老を迎えていそうな見栄えのおじいさんが上り、開会の宣言をした。


「ええーと、これよりー…と、トォーナメント?じゃったっけ。トゥーナメント?をはじめるぅ~のじゃ。皆、精一杯ぃ~、がんばるのじゃぁ~」


 ――――え、こんな感じで始まんの?誰だよこのじーちゃん!つか、なんで会場は平然としてんだ!?つか、むしろ感銘を受けました…みたいな顔をしながらおじいちゃん放置すんなよ! 今にも倒れそうだぞ!?


 そんな中、一人のタキシードを着た男の人がお立ち台の上にあがり、おじいちゃんをそっちのけで大声で言った。


「さあて!これより!皆さんが待ちにまった【トーナメント戦】を開始しまあああああす!!! これより、簡単な説明をさせていただきます。 まずは、ルールを。 ルールは簡単です。出場者様が2人ずつ戦い、勝ち残り戦で戦っていただきます。今回の出場者様は128名となっております。 最後の8名になるまでは、この広い会場を区画によって分けているので、どんどん戦闘をしてもらいますので、休憩する暇はあまり無いと思ってもらっても構いません。スタミナも戦闘力に加味されるということなのであしからず。 さて、前置きはもういいでしょう!! トーナメントの、開催です!!!!!」


 どわっ!!!っと再び盛り上がる会場。鼓膜がどうにかしてしまいそうだ。サチは大丈夫だろうか…。


「選手のみなさまはくじを引き、どこの区画になるかを決めますので4列にならんでくじ引きをしてくださいー」


 ぞろぞろとくじ引きの列にならぶいかついおにーさん達。エイト達もすかさず列にならびくじ引きをする。エイトはどうやらCエリアでの戦闘らしい。


 Cエリアについたが、先ほどの2人の姿は無い所をみると彼らは違うエリアになったみたいだった。


「さぁ、異世界での強者っていうのはどんなもんなのかなぁ…」


 と独り言をこぼし、自分の番を待つエイトなのであった。

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