002 *落ちる、落ちる、堕ちていく。
「・・・・・・・・・・・ぎゃあっ!!」
悲鳴をあげたのは決して頭がおかしい人とかでもなく。
さっき公園でウサギを抱いていたはずなのに何故がぐにゃりと公園が歪み急に視界が上がったと思うと───
巨大ヤギに乗っていた。
「えぇええええええええええええ───!?ちょ、何で何で!?」
2メートルもありそうな巨大ヤギに乗っている。(だけど乗ってるから実際に高さは分かんないけど)
辺りを見回すともう公園の「こ」の字の跡形もない。色を中途半端に混ぜたようにぐにゃりと色んな色が目に見える。赤、黄色、ピンク、紫、白、緑、黄緑、灰色、黒、青、空色・・・少し見ただけでも色んな色が見えた。
「何なの・・・ここ・・・・」
「えっとネ───時空の隙間?」
「・・・ぎゃわッ!」
突然答えてくれた声に振り向くとウサギ耳を付けた童顔で可愛い顔の少年が居た。
気づかなかった+何でウサギ耳+行き成り声だすなよ=で、とてつもなく驚きなお心臓がどくどくと波打っていた。
「あ...あんた誰?」
「あんただれとは酷いナー...白ウサギちゃんだヨ白ウサギ。さっきのネ。これから宜しくネ。さっきは驚かせて御免ネ───君を捕獲する為だから許して?」
「....はぁ...えと....」
さっきの?
白ウサギ・・・・・?
これから宜しく?
思考がおいつかない。ぐるぐると言葉が数回脳を回りぐるぐるとおかしくなりそうだ。というかこんなウサギ耳を頭に生やした少年とお近づきなりたくない。
そんな事を考えていると巨大ヤギがのしのし前進しはじめた。のんびりと遅いペースだがかなり1歩が大きい為、凄く進む。
「なっ...何進んでんの今直ぐ帰せ───!!!」
のしのしと進むペースは一向に止まらず今もなお進み続ける。
(・・・・・・・?)
目の前を見ると、大きく凄く深そうな 穴 が。
(・・・・・・!!!!!!)
「じゃ、入りますヨつかまっててね───いっせーのっ」
「ちょっ!!!タイムタイム入んのこの穴!?止めてよ捕まるよ君!?」
ぴたり。と巨大ヤギが止まる。自称白ウサギちゃんはどうして?という顔をして、
「え?勿論入るヨ。どうして入らないのサ。君は迷子なのに。この世界に呼ばれて...曰く必要とされているんだよ?」
当然というようにシロラビ(白いラビットの略)は喋る。自分はその態度に圧倒されたというか何というか少し押し黙った後、シロラビの後者の言葉を思い出す。
迷子?
必要とされている?どこの世界に?
?マークがさっきから付きまくりで脳がおかしうなろそうだ。
「・・・・・・ぎゃ!まてまてまてまてまて!!!」
のしのしとまた歩きだすのをさっきの様に止めようとしたが───・・・
ぴょん!
巨大ヤギが大きな、深い穴に飛び込み───
「ぎゃあああああああああ!!!!!!何でこんな所に穴が───じゃねえまだ死にたくない返せ時雨の青春──────ッ!!!」
───落ちる、落ちる、堕ちていく。
深い闇の中に。
───退屈な日常に差した非日常。
その出来事が、事件の始まりだった。
深い穴に落ちた時もう帰れない、と不安に思ったけれどそれ以上に安心してしまった自分は、とても。
(残酷だ)