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『人間界と人外同盟国3』

「カナ」

「はい」

「カナ」

「・・・はい」

「カーナ」

「・・・(ウザい)」


私の髪を手入れしながら、何度も私の名を呼ぶ変態紳士ガラスこと、琴町コトマチ


そしてカナである私は現在ある街に立ち寄っている。


彼が指名手配犯であるが故に、各地を転々としながら放浪旅をしている私達だが、ここ二週間前程、ある一定の場所に止まるのは初めてかもしれない。


「カナ、この町気に入ったのですか?」

「うーん・・・まぁ、私の元々住んでた世界と似てるからかな?落ち着くっちゃー落ち着くよ。」

「そうですか、それは良かった。」

「コトマチさんは?」

「私もこの町は落ち着きますね。何より古風な民家は風情があって、私も心安らぎます。」


私が人間界に居た頃住んでいた家・・・古民家に似ている造りの建物に、私は腰を落ち着かせていた。

同じくして彼もこの風景や、風情ある町の佇まいに心奪われたのか、町を出ようとは言わなかった。



「和服も似合っていますよ、カナ。」

「あんたは相変わらずその暑苦しい紳士服なのね。」

「それはそうですよ。私は貴女の常に紳士でありたいが故ですから。何時でも貴女を脅かす輩が来ても、即座に殺せる様に構えていなければなりませんし。」



(紳士なら人殺しはするなよ。)


と、心の中で思っているのは内緒なのだが。



「そうだ、以前貴女様に肩をぶつけて来たケモノがいましたね。」

「あー・・・そういえばいたような。」



(一昨日だか当たり屋みたいなのに絡まれたが、直ぐに走って撒いたっけ)



「殺しておいたのでもう現れないので大丈夫です。」

「・・・」

「・・・」

「・・・え?ちょっとまて?」


彼は何事も無かったかのように私の髪を結わえ始めたが、今確実に物騒な単語を言った。

確実に言った。

絶対に言った。



「殺したの?」

「?、はい。」

「え?」

「え?」



何でそんな鳩が豆鉄砲を食ったよう顔してんだ!

あんた一応カラスだろ!!同じ鳥類だけどやめろその顔!!

腹立つ!!



「なにナチュラルに殺してんの!?」

「え?だって貴女の肩触れたんですよ?」

「そこ!?」

「はい。」



(このカラスは当たり屋の言動よりも、私の肩に当たり屋が触れた事実に殺意を抱いたのか!?)



「殺さなくてよくない!?」

「え、だってあの人貴女を軽く突き飛ばしたんですよ?そりゃー殺しますよ?」

「なにその『ジュース買うついでにお菓子買うでしょ普通?』並みに平坦な言い方!!!??」

「失敬な。私はお菓子など買いません。どちらかと言ったら人間界で流行しているというチー鱈を買います。」

「どっちでもいいわ!!」




何こいつ!!

サイコパスなの!?



「取り敢えずそんなコンビニついでに殺しに行くみたいな事しないで!!」

「・・・貴女様が其処までおっしゃるなら。」



数日後、

彼は彼女をナンパしようとした獣人族数名を、

拷問の限りを尽くして殺したと言うのは、


カナの耳には入ってはいない。




しかし、その日の内にその街を出たのは大方彼が何かやらかしたのではないかと、彼女自身薄々感付いていたのもまた、彼の耳には入っていないのだった。




(何でそんなに私が好きなのかな?)




そんな疑問を胸に秘めつつ、人間な彼女と、鳥人の彼の放浪旅は続く・・・


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