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必殺技

 13話


「だだだだだだだだだ!!」


 俺は連続で木の人形に向け、エネルギー弾を放つ。そして最後に両手を広げ、エネルギー波を繰り出す。そしてついに木の人形は耐えきれずに壊れる。

 俺はそれを見て、思わずガッツポーズをした。なぜなら俺は初めて木の人形を壊すことが出来たからだ。

 そんな俺を見て、レールは優しい笑顔で笑う。


「やったなゴーマ、お前のエネルギー弾も威力が大分上がってきたじゃないか」

「ふん、これはあくまで一通過点に過ぎん」


 こんなことを言っているが、俺はニヤニヤとした笑いを止めることが出来ない。

 俺は少し恥ずかしくなり、レールから背を向け、空を見上げ、これまでのことを考える。


「ふ、少しは俺もまあまあ強くなれたな」

「ハッハッハッ、確かにな。だがまだまだ足りないところが多いからな、これからもサボらず修行しなきゃな」


 俺は鼻で笑う。そんなことは当たり前だからだ。俺には足りないところが多過ぎる。だからそれを埋めていかなければいけない。そして俺は足りない部分を考え、あることを思いついた。


「そうだ、俺に最も足りないものが分かった!!」

「ん?なんだそれは」


 疑問の表情を見せるレールに俺はドヤ顔で答える。


「それは必殺技だ!!」

「はぁ、必殺技だって!?」

「ああ、大体強い奴と言うのは必殺技を持っている。ならば俺も持つ以外にない」


 俺はそう言うと、レールは呆れたような表情を見せた。だが俺はそんなことは気にせずに、自分にあった必殺技を考察していた。

 やはり格好いいのがいいか、それとも個性的なのがいいか。やはり俺一人では限界があるので、レールにも聞いてみることにした。


「おい、貴様も俺の必殺技を考えてくれ」

「そんなこと言われてもなぁ」


 レールは困ったような表情になり、頭をポリポリとかいた。そして顎に手を当て、頭を曲げながら、必死で考えてくれた。

 俺も負けたられない。俺もレールのようなポーズで必殺技を考える。そしてレールはハッとした表情を見せる。


「良いのを思いついたぞ。まず、エネルギー弾を出すんだ。そしてエネルギー弾の形を変えて、分身を作るとかどうだ」


 なんか余り良いとは思えないが、俺は言われた通り、エネルギー弾を出し、形を変えてゆく。

 俺はなかなかエネルギー弾の操作が上手いので俺っぽい形のエネルギー弾はすぐに完成した。

 試しにその辺の木を殴ってみるが、威力は俺より多少劣る程度でなかなか使えそうだ。だがこの技の問題はすぐに見つかった。それはこの技は俺が常に意識していないとすぐに崩れてしまう事だ。そんな事をしていたら、すぐにやられてしまうだろう。よってこの技は却下となった。

 次に俺が考えた技は一つの大きなエネルギー弾を分裂させる分裂弾だ。

 早速試してみるが、分裂した弾を操る事が難しく途中で断念してしまった。

 それから何度か意見を出し合うが、これだという奴がどうも浮かばない。


「はぁ、もうやめにしないか。正直お前に必殺技なんていらないと思うんだが」

「黙れ、此処までやったんだぞ、今更やっぱりいらないとは思いたくない」


 俺たちは溜息を零した。正直途中から俺もめんどくさくなってきてしまった。だがせっかくこんなに時間を費やして考えてきた以上、なんか必殺技を考えたい所だ。

 俺は腕を組んで、頭を捻りながら必死で考える。これまでの駄目な部分を外して、それで強い技を作れるように考えを練る。

 駄目だと思ったら、身体を動かし、イノベーションを高めてゆく。だがやはり良い案は出てこなかった。

 俺は地面を殴る。だがそんな事をしても、良い案は浮かばない。


「っち、くそっ、何か良い案はないのか?」


 レールに聞いても、レールは肩を落として何も答えない。どうやら何も思いつかないらしい。俺は舌打ちをする。兎も角なにか考えるんだ。

 此処から俺たちが必殺技を考え始めてからなんと5時間が経過した。正直俺たちは辞めたくて仕方なかったが、此処まで時間を掛けたのだからと思うと、止めるに止めれずこんな時間を使ってしまった。

 正直俺は限界だった。レールもそれは同じだったようで、俺たちは目を合わせ、そして頷いた。

 そして俺は地面を叩き、立ち上がると、天に向けて、両手を広げ、そして最大威力のエネルギー波を放つ。そして放ったと同時に叫んだ。


「ギガバースト!!」


 技名を叫ぶと、何かが吹っ飛んだような衝撃と、快感が俺を襲った。これが必殺技なんだ。ただ名前をつけて、叫んだだけなのに、何故かとても良い気分になる。

 横でレールもなんだか優しい目をしながら、こっちを見ている。俺はそんなレールに向けて、笑顔で笑う。


「必殺技っていいな!!」

「ああ、そうだな、うん、必殺技って最高だな」


 俺たちは笑いあい、もう必殺技の事なんか考えない事を目で伝えあうと、俺たちは家に帰ったのであった。

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