謝り
今回はいつもより少なめです。
11話
「……はぁ、全くどうすればいいんだ」
俺は肩をすくめながらため息をこぼした。
俺はあの日以来ニーヤと余りうまくいっていない。
あの後、ニーヤは迎えに来てくれたのだが、機嫌は余り良くなっていなかった。俺もなんだかニーヤに気を使ってしまってなんだかうまくいかないのだ。
俺は腕を組んで必死に考える。だが今までこんなことを考えたことがなかったのでいいアイディアが思いつかない。
俺は必死に考えたが思い付かず、結局知り合いの誰かに聞いてみる事にした。
俺は最初にズクに聞いてみることにし、ズクの家に訪れた。俺はドアを乱暴に叩き、ズクを呼ぶ。すると家の中からドタドタと音がして、パンイチのズクが眠そうな目を擦り、欠伸をしながらドアを開けた。
「あ、ゴーマじゃねえか?こんな朝から何の用だよ?」
「……一応言っておくが、もう昼間だ。取り敢えず話があるから中に入れてくれ」
「儲け話か?まあいいや、取り敢えず入ってくれ」
俺はズクに手を引かれ中に入る。中は汚く、整理が全然出来ていない。俺は椅子の上に置いてあるゴミをどけ、椅子に座る。
「汚い家だな」
「そうか?男の一人暮らしなんてこんなもんだろ」
ズクは床に落ちていた袋を開け、中からサンドイッチを取り出し、口に放り込むと、椅子に座って俺をみる。
「で、話ってなんだ?」
俺はズクに事情を話すと、ズクは俺に指をさして大きな口を開け、笑ってきた。
「ハッハッハッ、ったく、そんなことで悩んでいるのか」
「笑うな!!俺にとっては大事な問題なんだぞ!!」
「まあまあ落ちつけって、そうだなぁ、その飴を買ってくりゃいいじゃねえか」
「馬鹿か、あれは十金貨もするんだぞ!!俺なんかに買えるわけがないだろう」
そんなことは俺だって既に考えている。だが俺の全財産はたったの金貨一枚だけで、そんなことは到底不可能だ。
「う〜ん、じゃあその店主になんとか頼んでみろよ。もしかしたらまけてくれるかもしれないし」
「ふん、それは無理だ、その飴は貴重品らしくてな、頼んだところで無理だろうな」
「ならもう土下座でもして許してもらえよ。ていうかお前その娘に謝ったのか?」
「ああ、一応謝ったさ。だが謝ったが、今の状況なんだ。はぁ、一体どうすればいい」
俺はため息を吐いた。ズクに相談したはいいが、結局いいアイディアは思い付かない。
そんな俺を見てズクはヘラヘラと笑う。
「まあまあ、なんとかなるって、なんなら俺がその店に行って交渉してやんよ」
「なにっ、それは本当か!?」
俺は身を乗り出し、ズクに迫る。ズクは俺を嫌そうな顔で離すと、再びいつものヘラヘラ顔に戻る。
「安心しろよ、俺交渉慣れてっからよ。ただし成功したら金貨の件はなしにしてくれよ」
ズクはそう言って、椅子から立ち上がり、椅子に掛けてある服を身に付ける。
「さっ、早速その店に行ってみようぜ」
そう言って俺たちはダズルの店に行くことにした。
*****
俺たちはダズルの店に訪れた。俺は店の場所を知らなかったのだが、幸いにもズクが知っていたので事なきを得た。
「……また来たのか、今日は何の用だ?」
店の奥から、ダズルが出てくる。俺はズクの背中を叩き、小声で「任せたぞ」と一言言った。ズクは「おう」と言うとダズルの元に歩き出す。
「よぉ、ダズル久しぶりだな。どうだ、元気にやってったか?」
「貴様はズクか!?なにをしに来た!!」
ズクがダズルに話しかけると、ズクは声を荒げ、怒り出した。だが当のズクはダズルを見て、ニヤニヤと笑っている。
「まあまあ、今日はちょっと話にきたんだよ。話、聞いてくれるよな?」
「黙れ!!貴様の話なんか聞きたくない。とっととここから出て行け!!」
「あれ、そんなこと言ってもいいのかな?そんなこと言うんならあのことを言ってもいいんだぜ」
ズクは口を三日月のように歪める。ローブのせいで顔は見えないが、ダズルは明らかに狼狽えている。
「さぁ、どうする?話を聞くか、それともあの事をバラされるか」
「くっ、……少しだけ、少しだけなら聞いてやる」
ダズルが答えると、ズクはニコリと笑い、ダズルに近づき肩を組もうとする。ダズルはそれを手で制す。
「やめろ!!いいからさっさと話せ」
「忙しい奴だなぁ、まぁいいや、実はさ」
そしてズクはダズルに先ほどのことを話し始める。だがズクの話を聞き、ダズルは舌打ちをする。
「ふざけているのか?あれは貴重な物なんだぞ。それを少ないゴールドで寄越せと言うのか」
「いいじゃねえか、一つくらいこいつも困ってんだよ。人助けと思ってさ〜」
「黙れ!!元はと言えばそいつがふざけた事に使うのが悪いんだ。自業自得だろう」
「ちぇ、じゃあどうしたら渡してくれるんだよ」
「……っち、ならある物を取ってくるなら一粒だけくれてやる」
「お〜、で、なにを取ればいいんだ?」
「それはだな」
そしてダズルはズクになにかを見せる。
そしてズクが頷くと、俺の方へ歩いて来た。
「よし、行くか」
「おい、行くってどこに?」
「まあ、いきゃわかるよ」
そう言ってズクは俺を無理やり抱えると、何処かに俺を連れて行った。