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初めて小説を書いてみたので色々と不備があるとは思いますが、どうぞよろしくお願いします。

「これでもくらえーー!!」


 そう言って男は剣を目の前の人物目掛けて振り下ろした。だがそれはまぬけにも空を斬る。

 

「くそ、だがこの技なら奴を倒せるはずだ」


 そう言って男は剣を天に掲げた。すると天を雲が覆い、そして雷が剣に振りそそいだ。


「くらえ、これが俺の最後の技だ。雷撃斬‼︎」


 雷を纏いし剣を降り、雷のような速さで斬撃をとばした。そしてその斬撃は目の前の人物を斬り裂き、そのまま、近くの山へ叩き飛ばした。


「あ、当たった、当たったぞ。これを受けて今まで立っていたやつはいない。ついに奴を倒したんだ」


 男は安堵していた、これでようやく家に帰ることができると。男は油断していた、ゆえに山から一つの光った玉が飛んでくるのに気付くのに遅れてしまった。そして男は避けきれず玉に当たってしまった。油断が男の運命をかえたのだ。



「……ば、ばかな。なぜ……貴様が、生きて……いる」


 そして薄れゆく意識の中男は見た。こちらを無傷でつまらなそうにこちらを見る奴の姿を。……男は絶望した。そして、絶望の中男は意識を失った。



 *****



「魔王様〜、またお客様ですよ〜」

「だからその呼び方はやめろと何度も言ったはずだぞ‼︎俺は魔王なんかじゃないんだ‼︎」

「え〜、じゃあなんて呼べばいいんですかか?」

「……そうだな、う〜ん、まあ名前で呼んでくれればかまわんな」

「え〜と、ゴーマ?でしたっけ。まぁいいや、それよりまたお客様が来ていますよ。」

「はぁ、また来たのか」


 ゴーマは苛ついていた、来る日も来る日も押し寄せる勇者達に。

 たまに来るくらいならばまだいいが、こうも毎日来られると流石にイライラして仕方がなかった。


「くそ、毎日、毎日、なぜ奴らは勝てもしない勝負を挑んでくるんだ?それに俺はなにもしてないぞ‼︎」


 そう彼にはこうも毎日、命を狙われるわけが分からなかった。

 彼はまだこの辺に来たばかりだし、悪事なんて働いた覚えもない。

 ゴーマがなぜという顔で考えていると、前にいた部下が突然ニヤニヤし始めた。


「おい、貴様はなぜそんなにニヤニヤとしている?」

「す、すみません。魔王様がそんなおかしなことを言い出すもんだからつい」

「貴様また魔王と、まあいい、それよりなぜ俺がこんな目にあってるのか分かるのか?」

「逆になんで魔王様が分からないんですか?ほら王都に行って私と出会ったときを思い出してくださいよ〜」

「王都に行ってお前と出会ったときだと、はっ、まさかあれか⁉︎」


 そうゴーマは思い出した。あの時にやってしまった自分の失態を……



 *****



「ふっ、久しぶりの王都だが、結構賑わっているじゃないか」


 ゴーマは久々の王都の市場に浮かれていた。それにしても賑やかな所だ。周りを見渡せば人がいないところなどなく、誰も彼もが活気よく明るい顔をしている。店を覗けば、その商品を言葉巧みに購入させようとしてくる商人達も、普段ならイラっとしながら悪態を吐くところだが、今なら寛容な精神で許してしまうだろう。

 そんなこんなで市場を見ながら歩いていると、遠くから耳障りな怒鳴り声が聞こえてきた。

 最初は無視しようと思ったが、その怒鳴り声があまりにもうるさかったので、少し見に行くことにした。

 行ってみるとそこには、汚れた毛布を被った奴がいかにも貴族って格好をした男に怒鳴られていた。

 とりあえず俺は事情が知りたかった為、おかしな面でそれを見ている男に話しかけた。


「おい、そこの男、少し聞きたいんだがあれは何があったんだ?」

「ん?ああ、あれのこと?なんか貴族様が俺の前をそんな汚い格好で通るなーって言ってんだよ」


 ……予想以上にくだらん理由だったな。

 ゴーマはイラついていた。せっかく上機嫌に買い物を楽しんでいたのに、そんなくだらない理由で、男に邪魔されたのだ。気が短いゴーマにとってこれは喧嘩を売る充分な理由となった。


「おい、貴様、こっちを向け‼︎」

「ぅん、なんだ貴様は、もしかしてそれは僕に言っているのか?」

「当たり前だ、貴族様は顔だけではなく、頭も残念なのか?ん?」

「……貴様、この僕に向かってそんな口を聞くとは覚悟はできているのか?」


 そう言って、貴族とその護衛達はこちらに剣を向けてきた。どうやら俺を処刑しようとしているらしい。


「……今なら許してやる。跪いて僕を称えろ」

「ふん、悪いが俺の頭はそう安くないのでな、貴様如きに頭をさげるなら死んだほうがましだ」

「……そうか、ならば死ねぇ‼︎」


 そう言って護衛達は俺を斬ろうと飛びかかってきた。

 だが所詮はただのモブ、これまで様々な修羅場をくぐってきたゴーマには手も足も出なかった。


「う、嘘だ、こいつらは王国でも随一の猛者達なんだぞ‼︎それを一瞬で倒すなんて」

「ふん、外の世界は広いのだ。所詮王国に引きこもっている軟弱者にこの俺が負けるわけないだろう」


 そう言って俺は一人残った貴族の元に近づいていく。

 貴族はこっちを化け物を見るような目で見ながら怯えている。


「や、やめろ、こっちに来るな」

「ふん、殺そうとしてきたくせに殺される覚悟はないのか?この軟弱者め‼︎」

「な、なにが望みなんだ?そうだ、僕をここで見逃してくれたら、金をやる。他にもお前の望むものをやるから。な?」

「……クズが、いいかよく聞け、俺の望みはただ一つ、貴様を一発ぶん殴ることだーー‼︎」


 そうやって俺は貴族を思いっきりぶん殴った。貴族は無様な声をあげ、壁に叩き付けられた。

 ……周りがなにやら騒がしい。どうやら誰かが衛兵を呼んだようだ。

 流れとはいえ、貴族を民衆の前で殴ってしまったのだ。ここにいてはまずいだろう。

 何故か先ほどの汚れた毛布を被ったやつがついてきたがそんなことはどうでもいい。

 こうして俺は王都から慌てて逃げ出した。


 *****


「……そういえば、そんなこともあったな」

「やっと思い出しましたか、まったく、私との運命の出会いを忘れるなんて魔王様は頭が沸いてますね〜」

「貴様そろそろ本気で殴るぞ、だがあれは貴族を殴っただけではないか?それが何故こんなに大事になってるんだ?」

「えっ、魔王様知らなかったんですか?魔王様が殴ったのは次期王子様だったんですよ」

「なん…だと…それは本当なのか‼︎」

「ええ、魔王様が次期王子を殴り大怪我を負わせた。つまり魔王様は最大級の国賊なのです。」


 な、ば、馬鹿な、そんなことがあっていいのか?

 ゴーマは後悔した、一時期の感情で動くとろくなことにならないことくらい分かっていたはずなのに。

 だがそれでも分からない疑問がゴーマにもあった。


「おい、じゃあなぜ俺は魔王だとか呼ばれているんだ?」

「あ〜、確かそれは、先ほど言った通り魔王様は国賊です。ですのでそんな魔王様を捕らえれば王国から多額の報酬が貰えます」

「なるほど、だからあれほど俺のもとに来るやつがいるのか。だがそれでは魔王要素などないではないか」

「ええ、ですがそれだけでは金目当ての人間だけが動いて、それ以外の人間は動かないのです。ですからあなたを魔王ということにして、正義感の強い奴らを使ってあなたを殺すもしくは捕らえようとしているのです」


 くそ、結局のところは上の連中の所為か。

 ゴーマは怒りに打ち震えていた。無関係な者共を利用し、人を殺させようとする王国に。

 だが奴らを殺したところで、対して意味はないだろう。逆に国が荒れてしまうかもしれない。結局のところゴーマに打つ手はなかった。

 これからどうするか、ゴーマが考え込んでいると、部下が話しかけてきた。


「逃げちゃえばいいじゃないですか?彼らにも追ってこれない所へ」

「……確かに逃げれば一時的にはなんとかなるだろう。だが他の国に行こうにもすでに王国の手がまわっている可能性もある。それにこそこそ逃げて暮らすなど俺には耐えれん」


 ゴーマには、プライドがあった。こそこそと逃げまわることなど耐えられないくらいに。

 だがこのまま、一生命を狙われ続ける生活など送りたくはない。いったいどうすれば?

 そう思っていると、口に手を当てなにか悩んでいる様な素振りを見せ、そして決心したかのような部下が懐から箱の様な物を出し、普段とは違う真面目な口調で問い出した。


「魔王、いえゴーマ様、あなたが本当にこの場を去りたいというのなら一つだけ方法があります。ですがこれを使うとここにはもう戻って来れません。これを使うと言うならばここ、つまり地球を捨てる覚悟でこの箱を開けてください」

「……はぁ?貴様何言ってるんだ?地球を捨てるだとかついに頭がイカれたのか?」


 俺がいつもの感じで答えても部下は何も言わず、ひたすら俺の答えを待っているようだ。


「……なんのつもりか知らんが、俺を舐めているのか?ふん、地球を捨てる覚悟などとうの昔にしている。それに対しての返答は使うだ」


 そう言って俺は部下からその箱を無理やり取ると、その箱を開けた。

 するとその瞬間、箱が光り輝き、姿を扉のようなものに変え、俺の手を引きずり込んだ。

 な、なんだ、これは、そう思い部下を見ると、部下は笑っていた。


「お、おい、これはどういうことだ‼︎」

「それは異世界への扉、つまりこことは違う世界にあなたは行くんです」


 な、なんだと⁉︎ま、まずいどんどん引きずり込まれる。俺の力でも無理だ。どれだけ抵抗しようが無駄だった。どんどん力が抜けてゆく。そして俺は最後の力を振り絞って叫んだ。


「そーいうことは、先に言えーーー!!」


 そして俺の意識は闇に包まれた。

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