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七章6:決戦の決意 side サルスキー


「サルスキー様! アルデヒト西海岸への軍団の集結完了いたしました!」


 副官キングギネースの報告を聞き、魔獣大将軍サルスキーは振り返る。


 彼はアルデヒト大陸でも最も標高が高く、そして裏世界へ続く大洞穴を

要するアセト山の山頂に居た。

 彼の予想する通り、表世界の軍勢は裏世界へ続く門を有する、

この大陸に侵攻を開始していた。

自分の判断は間違っていなかったと、サルスキーは内心安堵していた。

 しかし戦いはこれから。

予想的中で緩んだ心を、彼は再度強く締め上げる。


「ご苦労。ドライ兵の準備は整っているだろうか?」

「万事滞りなく。サルスキー様の命に従って、例の場所へ配置しております!」

「そうか……」


 本心を云えば、サルスキーは【ドライ兵】を使いたくはなかった。

 そのような非道は拳士の自分は恥じるべきと云っている。


――しかし今の俺は帝国を預かる魔獣大将軍だ。


 誇りや名誉よりも、帝国へ心身を捧げ、

主の大魔獣神が望む結果を生み出すことが優先。

 それが今のサルスキーの成すべきこと。

戦場に散ったかつての副官ゴーレム・オークマスター、キジンガ―、

そしてイヌーギンへの弔い。


「しかしサルスキー様、獣神共やつらは本当に本隊から外れてやってくるのでしょうか?」


「ああ。奴等とてバカでは無い。おそらく正面の艦隊は全て陽動。我が方と奴らの軍勢が対峙している隙を突いて他の方面から攻め入ってくる。だからこそ、あそこに【ドライ兵】を配置したのだ」

「なるほど、そういうお考えが……申し訳ございませんでしたサルスキー様。出過ぎた真似を致しました」

「良い。それよりも……」


 サルスキーはキングギネースを見やった。


「キングギネースよ、貴様は強い。だが、六体の獣神の相手は荷が重い。だからこそ、我々はチートか、もしくは獣神の一人を確実に仕留めるのだ。良いな?」

「御意!」


 キングギネースは勇ましい返事を返す。

恐らくこれが今生の別れ。

 サルスキー自身、あまりにも自分が部下や、同僚のことを想い過ぎてしまうと

常々感じていた。

だが今の自分は帝国の最高司令官、魔獣代将軍サルスキー。

 甘えは許されない。

 ただ命を掛けて、大魔獣神の命を全うする。

 それが彼の生きる意味。


「キングギネースよ、貴様の活躍に期待している。万事頼んだぞ」

「ははっ! 見事サルスキー様のご期待にご覧にいれてみませます!」


 勇ましくキングギネースが応答をした。

 流石はかつての腹心ゴーレムとオークマスターのコアを用いて

製造した魔獣だと感じた。


「裏世界の冥府でまた会おうぞ、キングギネース!」

「ははっ! それではサルスキー様、御達者で!」


 サルスキーとキングギネースはその会話を最後に、

お互いの配置へ向かってゆく。


――命を掛けて俺は戦う。冥府の世界から見ていてくれ、皆の者!


 サルスキーは、彼の胸で生き続けている同朋達へ想いを馳せながら、

アセト山を下ってゆくのだった。


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