五章閑話2:待ち望んだ瞬間
『この物語は本編から少し外れた、いわゆる閑話と言うやつだ!
なので、あえて読む必要はなく、読まなくても何の問題はないぞ!
しかし!
それでも敢えて読もうとしてくれているそこの君!
Thanks!
以上、テイマーぁブレぇスであった!
どうぞゆっくりと閑話を楽しみたまえ!
HAHAHAHA!』
「えっ……マスター、ここで、ですか……?」
「う、うん。その……ダメかな?」
アルトの顔に少し朱が差す。
今日は俺とアルトだけがお留守番の日。
だから、今俺たちが宿にしているコーンスターチの獣神殿には
俺とアルト以外いない。
これは願ってもないチャンスだった。
っという訳で、俺は自分のベッドルームへアルトを呼んでいた。
「ダメじゃないですけど、その……ちょっと恥ずかしいです……」
いつもは元気でまっすぐなアルトだけど、
今は結構恥ずかしいみたいでモジモジしている。
ちょっと困らせているのは分っているけど……
他の獣神達がいると、なんか大変な騒ぎになるんだろう。
きっと、スーがいたら必ず邪魔してくるはず。
だけどそんなスーは今は不在。
少し遠くに行っててすぐに帰ってくるのは不可能。
――こんなチャンス滅多にない!
俺は存分にアルトを楽しみたいと切に切に願っている。
そしてそのチャンスが今、訪れていた!
「お願いアルト! いや、お願いしますアルトさん! 一生のお願いです! 君のことをその……思う存分抱かせてください!」
「あ、うえあっ!? マ、マスター……!?」
アルトはベットと俺を交互に見て狼狽える。
だけど俺の気持ちはもう止まらない。
「お願い、アルト! もう俺我慢できなんだ……アルトのことを抱きたくて仕方ないんだ。ずっと、そう思ってたんだ。だから……!」
思わず俺はアルトの肩を抱いていた。
彼女の体が小刻みに震えている。
顔は真っ赤だけど、嫌、っていう雰囲気は感じられない。
「あ、えっと、その……わかりました……マスターがそこまでお望みでしたら……」
「アルト……ありがとう!」
勢いでアルトの頭をポンポン撫でた。
するとアルトは顔を真っ赤に染めながらも、はにかむ。
「じゃ、じゃあ、私からも一つお願い、良いですか?」
「何?」
アルトは少しモジモジしてから、
震える指先でベッドを指す。
「できたら私、最初からマスターの腕の中に、居たいです……」
「オッケー! 任せてくれ! さぁさぁ、じゃあ行こう!」
「は、はいぃ……!」
もう情熱に動き出した俺は止まらない。
胸の内はもうドキドキ。
心は体を突き動かして、早くアルトを思う存分抱きたいと必死に、
そして切なく訴えかけてきている。
俺は足早にベッドへ横になり、そして大きく腕を開いた。
「さぁ、おいでアルト」
「は、はい……宜しくお願いします……」
おずおずとベッドの上へ乗っかってくる。
俺の半分程度しか身長の無いアルトは、ポンと俺の腕の中へ落ちた。
ドキドキは最高潮。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
なんか身体が熱くて、呼吸が荒い。
「大丈夫、ですか?」
アルトは伺うように聞いてくる。
「実は結構やばい。こうしてアルトが側にいるだけで、もう俺どうにかなっちゃいそうだよ」
正直な感想が口から洩れた。
すると、俺に腕枕されているアルトの体の震えが収まった。
代わりに彼女は柔らかい笑顔を俺へ向ける。
「良かったです。満足して貰えて……私もっとマスターに満足してもらえるよう頑張りますね!」
「うん、よろしくアルト」
「はい! 頑張りますッ!」
アルトの手がそっと俺の瞼を落とす。
暗闇の中で、よりアルトの匂いを近くに感じる。
「優しくしてくださいね」
アルトは耳元で囁いた。
「うん。沢山優しくする。だけど、ちょっと乱暴もしちゃうかも。その時はごめん」
「良いですよ。私はもうマスターのものですから……じゃあ、よろしくお願いします」
途端、軽い爆発音みたいなのが聞こえた。
さっきまで右腕に感じていたアルトの体重をより軽く感じる。
腕に感じるプニプニで、サラサラな毛の感触。
【クゥーン】
目を見開いて、キュートな鳴き声がした方を見てみれば、
そこには待ちに待った待望の瞬間!
ピンと立った三角の耳、
毛色はブラウンと白で俺の望み通り典型的な毛色だった。
手足の短さは愛苦しさをより感じさせる。
何よりも尻尾があることに感動を覚えた。
伝統的な理由で、この犬種は小さい頃に尻尾を切られちゃうのが大半。
だけど、アルトが変身したこの子には尻尾がある。
ふさふさの毛に包まれた長い尻尾が遠慮気味にユラユラ揺れていて、
それがまた可愛くて仕方がない。
ずっと待ち望んでいた瞬間だった。
ずっとずっと、この子【ウェルシュ・コーギー】を、
モフモフしてみたいと俺はずっと思っていた。
カウボーイビ○ップを観た時からそう願って止まなかった。
そしてアルトの匂いから、彼女の犬形態がコーギーだって気づいた時、
俺のタガが外れた。
――待ち望んだ瞬間が、今ここに!
「愛してるぜぇ! コーギーちゃーん!」
思わず俺はコーギーになったアルトを抱きしめて、
モフモフな体毛へ頬ずりをする。
最初は少し戸惑っていたコーギーのアルトだけど、
だんだん慣れてきて、俺に身体をスリスリし始めた。
【クゥーン!】
「あは! アルト、チュー好きなんだね! 良いよ! 良い! どんどん頂戴!」
幸せの絶頂だった。
もうずっとこのまま、一生こうしていたいと思った。
ミニチュアダックスフントも好きだけど、コーギーも大好き!
――コーギーって本当に可愛いなぁ
「ビアルって最高ッ!」
【クゥーン】
『もういい加減聞き飽きたと思うが言わせてくれ……少年よ、君は人間形態でも同じようなことができるのだぞ? しかしどうして君は皆が犬の時は以外はそうならないのだ? 君は不能かね? 種無しなのかね?」』
ベットの脇の棚の上へ外して置いてある、
テイマーブレスからそんな声が聞こえる。
――何言ってるか全然聞こえません。
俺は聞き流して、コーギーのアルトを存分に楽しむのだった。
「アルトー、アルトー、むふー!」
【クゥーン】
「アルトぉー!」
『ダメだな、これは……』
*コーギーも好きですが、ミニチュアダックスも可愛いです!
私もモフモフしたい、切実に(笑)
少し調べたら一般的なのが【ペンブローク】といって、
似た犬種に【カーディガン】というのがいるそうです。
尻尾を切るのが一般的ですが、家庭でモフモフ暮らすなら切らなくても
問題ないそうです。
なんかモジモジしてるアルトもなかなかいい感じで書けたと思います。
少しでもお楽しみ頂けたなら幸いです。




