五章11:創世神降臨 復活! 大獣神!
『古より人と獣を結びし創世神……今ここに、主の命を受け復活せん! さぁ、目覚めの時だ! 久しぶりだな! マイハニーッ!』
真面目なんだか、そうじゃ無いんだか、
良く分かんないブレスさんの声が響いた。
テイマーブレスから五色の輝きがあふれ出て、
五獣神を包み込む。
五獣神はそれぞれを表す光になって、
空を飛んだ。
混ざり合う五色の輝きは、
螺旋を描いて天へ昇り詰める。
不毛の地獄谷に荘厳な白銀の輝きが爆ぜ、
そして見上げるほどの巨神が姿を現した。
炎ように光り輝く【真っ赤なティアラ】
雄大な森の木々を思わせる【緑色のガントレット】
荘厳な輝きを放つ重厚な【金色のアーマー】
広大な海を感じさせる【青々としたブーツ】
風のように緩やかな流線を描く鋼鉄の【桃色のスカート】
左手には赤、緑、黄、青、桃の色がちりばめられた、
大きな【ラウンドシールド】が装備され、
右の腰には柄へ五色の宝石で装飾された、
【雄々しい太刀】が鞘に収まっていた。
その出立は、大きくそして雄々しい。
だけど、巨神から放たれる優しい感じは、
俺を世界に転生させた、大獣神と違いはない。
【ゴオォォォンッ!】
顕現した大獣神が鐘のような重量感があって勇ましい、
だけど優しさを感じさせる声を上げた。
大獣神は俺へ視線を落とすと、立ち膝をついて、
手を差し伸べてくる。
テイマーブレスを通じて、大獣神の「乗ってほしい」という、
意思を汲み取った俺は、
巨大な大獣神の掌へ飛び乗った。
まるで高層ビルのエレーべーターみたいに、
大獣神の手は素早く持ち上がって、彼女の顔へ横付けされる。
大獣神の横顔には、縦に並んだ取っ手みたいのがあった。
どっかでみたことがあるようなソレに俺は思わず興奮。
居ても立ってもいられなくて、大獣神の肩へ飛び乗って、
そして横顔の取っ手を掴んだ。
『さぁ! 少年! 大獣神への命令を私へ向かって叫ぶがいい! この私が代行して、君の命令を漏らさず伝えるからな!』
横顔の取っ手、そして腕に付けた丸い何かへの命令で巨人が動く。
――これは、まさか、本当に!?
「おおーっ! これって! このシチュエーションって……ジャイア〇トロボじゃーん!!」
子供の頃、ふと何かで見た、ソレに心惹かれて今日まで
いつの日かこんな日が来てほしいと夢見ていたが、
それがついに現実に!
『少年よ、ずっと気になっていたのだが、君は一体幾つなのかね……?』
ブレスさんはちょっと訝し気に聞いてくる。
「そんなのどうでも良いじゃないですか! 前の世界じゃ、MAD動画で人気の時代もありましたし! 主に衝撃の方でしたけど……基! ○ャイアントロボは男のロマンですよ! ロマン!」
『いや、それも相当古……』
ブレスさんの言葉を聞き流して、
俺は早速テイマーブレスを掲げた。
「行け! 大獣神! イヌ―ギンとギネース兵を倒すんだッ!」
【ゴオォォォンッ!】
大獣神の声を聴いて、大興奮!
大獣神は巨大な足を動かして、動き始める。
大地を一歩踏み出す度に、地獄谷の荒れ地は地響きを鳴らして、
砂塵が舞う。
【ギネース兵ッ! 大獣神を倒すのだ!】
巨大イヌ―ギンは十字剣を、こっちへ向けて指示を出す。
巨大ギネース兵が、地面を滑るようにこっちへ迫ってくる。
【ギネェース!】
ギネース兵の巨大な剣が大獣神へ振り落される。
だけど大獣神はラウンドシールドを掲げて、
あっさりとギネース兵の剣を防ぐ。
大獣神の右腕が動き出す。
【ゴオッ!】
鋭く、だけど重く放たれた大獣神の拳。
グリーンレオを象徴する緑の手甲はギネース兵の体を突き破り、
中のコアを立った一撃で木っ端みじんに砕いた。
圧倒的な、そしてたった一撃で大獣神は巨大ギネース兵を倒す。
でも、未だ一体。
巨大ギネース兵は、
今度は徒党を組んで大獣神へ斬りかかってくる。
「大獣神! ファルシオンだ!」
【ゴオォッ!】
俺の指示を受けて、
大獣神は腰元から煌びやかな宝飾が施されている、
ファルシオンを鞘から抜き放つ。
ファルシオンを鞘から抜いただけで、
竜巻のような強い風が吹荒れて、
接近するギネース兵の体勢を崩す。
【ゴオォォォンッ!】
大獣神はグッと踏み込んで、ファルシオンを振り落す。
刀身に迸る荘厳な電撃。
【ギネェェェス!!】
電撃を纏った、重いファルシオンの一撃は、経った一刀で
ギネース兵を切り伏せる。
大獣神は足に水を浮かべて、その勢いで、踵を返すのと同時に
ファルシオンを横へ凪ぐ。
ファルシオンは的確に背後のギネース兵を捉えて、叩き斬る。
だけどギネース兵の猛攻は止まらない。
剣を携えたギネース兵は次々と大獣神へ斬りかかってくる。
こっちは大獣神一人。
相手の数は総勢十数体。
でも、数は大獣神の前じゃ問題にならない。
【ゴオォッ!】
大獣神はシールドでギネース兵の剣を受け流し、隙を作って
ファルシオンを振る。
巨大な太刀は鈍重に、
だけど素早く、
そして鮮やかにギネース兵を切り伏せる。
圧倒的で強大な力を持つ大獣神は、
どのギネース兵も寄せ付けない。
――これなら圧勝……
っと思った時、背中に悪寒が走る。
「大獣神! シールドだ!」
咄嗟に叫んで、大獣神へ盾を掲げさせる。
瞬間、火に包まれた砲弾が大獣神の盾にぶつかって爆発した。
【ギネェェェース!】
目の前の巨大ギネース兵の軍団は武装を剣から、
脇に抱えた大砲にしていた。
ギネース兵が持つ大砲が一斉に、そして連足で火を噴く。
大獣神はラウンドシールドを掲げたまま、身動きが取れない。
そんな状況だけど、
全くピンチとは感じられなかった。
テイマーブレスから何かが沸き上がってきて、
頭の中へ直接流れ込んでくる。
俺はブレスを掲げて、
「大獣神! レッドドラゴンの炎で反撃だッ!」
【ゴオォッ!】
大獣神は五色の宝石が嵌っているラウンドシールドをギネースへ掲げる。
眩しい輝きを放つ大獣神の双眸とシールドの赤い宝石。
シールドから真っ赤な炎が、マグマのように噴出する。
炎はギネース兵が撃つ砲弾を飲み込み、焼き尽くして、伸び続ける。
それは目の前に居たギネース兵の集団を一瞬で飲み込み、
そして焼き尽くした。
たった一撃。
それだけで目の前のギネース兵は地獄谷から消え去っていた。
【おのれぇ!】
ギネース兵を全部失って、一人きりになったイヌ―ギンは十字剣を構えて
まっすぐとこっちへ向かってくる。
大獣神は咄嗟にファルシオンを掲げて、イヌ―ギンの太刀を受け止める。
【ぐおっ!?】
大獣神はイヌ―ギンの剣を受け流し、奴を後方へ追いやる。
【うぐ……!】
大獣神を横切って、後方へ流されたイヌ―ギンはすぐに体勢を立て直す。
素早く十字剣を鞘へ納め、腰をかがめて、鋭い闘気を練り上げる。
【烈魔獣剣! 地獄番犬!】
イヌ―ギンの姿が消える。
刹那、大獣神は巨大な体を捻って、
何も無い空間へファルシオンを振り落した。
【ぐわっ!?】
炸裂するファルシオンの斬撃。
横に現れたイヌ―ギンは悲鳴を上げ、
鎧に火花を上げながら、また姿を消す。
だけど大獣神の反応の方が早い。
今度は真正面に現れたイヌ―ギンへ向けて、
鋭くファルシオンを横へ凪ぐ。
大獣神はイヌ―ギンの全ての出現位置を、事前に予測して、
重くそして鋭い斬撃を放つ。
イヌ―ギンの剣技は一太刀も、
大獣神へ浴びせられず失敗に終わった。
【くっ……こうなれば! 来い! 空中戦艦ボトル!】
鎧にたくさんの傷を浮かべたイヌ―ギンは、
灰色の雲へ向かって叫ぶ。
雲の中からエヌ帝国の空中戦艦が姿を見せた。
イヌ―ギンは現れた空中戦艦を乱暴に掴んで、
脇へ抱えた。
嫌な予感を感じる。
それは大獣神も一緒みたいで、咄嗟にシールドを構えた。
【滅びよ! 大獣神ッ!】
イヌ―ギンは脇に構えた、
空中戦艦ボトルをまるでマシンガンみたいに使って、
銃撃を始めた。
ギネース兵が使っていた大砲よりも、弾丸は小さい。
だけど明らかに連射性能で優れている空中戦艦ボトルの砲撃は、
大獣神と俺をその場にくぎ付けにする。
――きっと大獣神だけなら動ける。
でも大獣神が動かないのは、全部俺を守るためだった。
この場から一歩でも動いちゃ、きっと俺は弾丸の餌食になっちゃう。
――みんなの邪魔にはなりたくない!
そう思って、腰のバックルからテイマーカードを取り出す。
それを口ではさんで、テイマーブレスの溝へ通して、大きく翳す。
翳したカードは黒龍。
「スーッ! 頼むッ!」
大獣神の後ろで紫の光が爆ぜた。
【ギャオォォン!】
大獣神の後ろから飛び出した、黒龍のスーは、
身体を矢みたいまっすぐ伸ばして、一気にイヌ―ギンへ飛んでゆく。
【ぬっ!?】
イヌ―ギンはスーの存在に気づいたときにはもう遅かった。
【ギャオォォォン!】
スーは上昇に合わせて、
イヌ―ギンの脇から空中戦艦ボトルを吹っ飛ばした。
宙を舞う空中戦艦ボトルを、
黒龍のスーは大きな口で掴んで、飛び去ってゆく。
イヌ―ギンはスーの体当たりを受けて、よろめいている。
『少年! 今がチャンスだ!』
ブレスさんが叫んで、イメージと力が流れ込んでくる。
「わかりました! 大獣神ッ!」
【ゴオォォォンッ!】
大獣神はファルシオンを大きく掲げる。
頭の中にある言葉を体へ巡らせ、
俺は喉から一気に噴出させる。
「ニド・ホドホ・ハケ・サオォー……」
呪文に合わせてテイマーブレスから五色の光が迸って、
大獣神へ流れ込んでゆく。
その光は巨大なファルシオンへ集まる。
灼熱の炎、
壮大な大地、
逞しい雷鳴、
雄大な大海、
迅速の風、
五つの元素の力がファルシオンへ流れて、周り、収束する。
大獣神の持つ立派な太刀が眩しい輝きを放った。
大獣神は不毛の大地を勢いよく蹴って飛び出す。
足に風を纏った大獣神は地面を滑るように飛び、
イヌ―ギンとの距離を詰める。
イヌ―ギンが体勢を立て直したけど、もう遅い!
大獣神はファルシオンの柄を両手で強く握りしめて、
そして、
「大獣神剣最終斬!」
【ゴオォォォォン!】
大獣神は下に構えて、荘厳な輝きを放っている、
ファルシオンを一気に切り上げた。
すると、イヌ―ギンの方が揺れた。
奴は咄嗟に十字剣の柄を握りしめ、刀身を抜き放つ。
【やらせん……やらせはせんぞ、大獣神ッ!!】
イヌ―ギンの十字剣と大獣神のファルシオンがぶつかり合った。
二本の剣の拮抗は、激しい光を発して、周囲を眩く照らす。
力は、今は、互角。
だけど!
「押しきれぇ! 大獣神ッ!」
【ゴォッ!】
拮抗する大獣神のファルシオンがより輝きを発した。
大獣神の足に纏う風が、更に勢いを増す。
巨体は激しい揺れを起こし、
【何ッ!?】
イヌ―ギンの驚きの声と一緒に、
十字剣の刀身が折れて宙を舞った。
「いっけぇぇぇぇっ!」
【ゴオォォォォォンッ!】
【ッ!?】
ファルシオンはイヌ―ギンの鎧を下から一気に切り裂いた。
【ま、まさか……この私が……この剣魔獣将イヌ―ギンがっ……!】
大獣神は地を蹴って、後ろへ飛び退く。
途端、胸から兜までをファルシオンで切り裂かれたイヌ―ギンから、
白銀の光があふれ出る。
【エヌ帝国に、栄光あれぇーッ! ぐおおぉぉぉっー!】
光はイヌ―ギンを飲み込み、輝きの向こうへ姿を消してゆく。
灰のように崩れ去る、イヌ―ギンの巨体。
その中に一つだけ、小さな影を発見する。
居てもたってもいられなかった俺は大獣神の肩から飛んで、その影を抱き留める。
俺の腕の中では黒髪の、
俺よりも少し年上に見える男の人が項垂れていた。
その人を抱いたまま、地面へ着地すると、
背後の大獣神が一瞬で光の粒になって消えた。
「師匠ーッ!!」
大獣神の光の中から飛び出してきたアルトは、
一目散に駆け寄って、黒髪の男性の顔を覗き込む。
俺はアルトへ彼を託した。
「しっかりしてください、師匠! アルトです! 分りますか!? トラピスト師匠ッ!!」
アルトは黒髪の男性:トラピストの肩を必死に揺らす。
「うっ……ア、アルト……?」
すると彼は薄く目を開いて、そう呟いた。
「師匠! うわぁーん! トラピスト師匠ーッ!!」
アルトは涙で目をぐしゃぐしゃにしながらトラピストの胸へ飛び込む。
だけどそうされている彼は何が何だか、良く分からない様子の目をしていた。
――この間、空中戦艦の中で見た時の目とはまるで違う。
何がどうなっているのか良く分からないけど、今目の前にいるトラピストは
この間、アルトへ敵意の眼差しを送っていた彼とは違う。
そう云い切れそうな俺がいた。
『ふむ、どうやらトラピストはあの犬型の鎧に操られていたようだな』
不意にブレスさんが声を上げる。
「そうなんですか?」
『おそらくな。明らかに目の色が違うからな』
「俺もそう思います」
――なんだかこうして嬉しそうに泣いてるアルトを見てると、
こっちももらい泣きしそう……
「もう大丈夫そうじゃねぇか」
不意に横に現れたエールが、ハンカチを貸してくれた。
「ありがと」
ちょっと涙で潤んでいた目をそれで吹く。
後ろにはボックさん、ピルス、ランビック、スーも居て、
みんなアルトとトラピストさんとの様子をみて、安心した顔をしていた。
「アルト、私は一体……?」
だけど当のトラピストは、状況が良く分かっていないのか、
不思議そうにアルトへ聞いた。
「もう大丈夫なんですね、良かった……ホントに……」
「いや、アルト、全然説明に……」
「あーっ!!」
っと、突然アルトはトラピストをパッと離してた。
「いたっ!?」
トラピストさんは突然離されて、まともに受け身が取れず、
地面に軽く頭をぶつけていた。
感動の再会のはずなのに、アルトは俺の前へ飛んで来て、
「うわっ!? な、なに!?」
突然、俺の胸へ飛び込んでくると、
顔だけをトラピストへ向けた。
「すみません師匠ッ! 抱擁はここまでです! この私! アルトはもう既にこちらのお方、すなわちマスターのもの! 師匠のことは大好きですけど、こうするのはもうマスターだけと決めました! だからごめんなさい! さっきのは勢いです! もうしません!」」
アルトは一方的にそうまくしたてる。
いまいちトラピストさんは、やっぱり良く分かってない雰囲気だった。
『師弟愛よりも、恋愛感情。そういうことだな、少年』
ちょっといやらしい感じのブレスさんの声が聞こえる。
やっぱりトラピストさんは、状況がわかんないみたいで
ぶつけた頭を摩りながら首を傾げていた。
【フフフ……フッハハッ!】
突然、平穏が戻った地獄谷に、
不遜な笑い声が響き渡る。
「マスター、あそこ!」
後ろのピルスが声を上げて、指を指す。
そこには大獣神に折られ、
元の大きさに戻ったイヌ―ギンの十字剣が落ちていた。
剣の残骸が黒い瘴気に包まれて、ゆっくりと浮かび上がってゆく。
瘴気はまるで炎のように燃え、十字剣を包ん込む。
黒い炎が履けると、そこには刀身へ鈍色の輝きを浮かべる
新品同様の十字剣が浮かんでいた。
空が突然黒雲に覆われて、湿り気を持った嫌な風が吹き込んでくる。
そして黒雲から十字剣へ、一筋の稲妻が落ちた。
稲妻は俺から一瞬、視界を奪う。
だけど、そんな中でもその影だけははっきりと網膜に映った。
十字剣を手に持ち、佇む誰か。
稲妻の光が履けて、完全にその影の正体を目の前にしたとき、
俺は言いようもない圧倒的な雰囲気に気圧された。
「余は裏世界の唯一神! 帝王エヌ……いや!」
突然目の前に現れたエヌ帝国の首領:帝王エヌは十字剣を空高く掲げる。
十字剣から黒い瘴気が帝王へ流れ込む。
それは奴の背後で一気に広がって、五つの首を持つ、異様な形に
なって燃え上がった。
「我は大魔獣神! 我はここに完全なる復活を遂げるに至った!」
帝王エヌの宣言が地獄谷に響き渡る。
一瞬、奴が何を宣言したのか分からない。
だけど肌が、心が、警鐘を鳴らしてくる。
それは獣神達も一緒のようで、
身体を強張らせ、表情を引き締めていた。
「どういうことですか! 帝王エヌが大魔獣神とは!? 奴は私達が三年前に倒した筈です!」
ボックさんがそう叫ぶ。
すると、帝王エヌは仮面越しに、また不遜な笑い声を上げた。
「如何にも。我は三年前、確かに貴様ら表世界の獣神に敗北した。だが、我の魂は不滅。この表世界の体と、この剣へ魂を分割し、機会を伺っていたのだ」
帝王エヌはイヌ―ギンの十字剣を掲げる。
「だが傷を癒すには我の力だけは足りなかった。そこで我はこの剣に宿した我が魂の一部でそこの男を剣魔獣将イヌ―ギンとし、機会を伺っていた。そして、先ほど、その機会が我に訪れた。貴様ら表世界の獣神が大獣神として復活し、その力を我にぶつける瞬間をな!」
帝王エヌは十字剣の切っ先を俺たちへ突き付けた。
「大獣神の力を吸い上げた我はここに大魔獣神としての完全復活を遂げた! 今、この時より我と我が帝国の将兵は表世界の本格的な侵攻に乗り出す!」
「そんなことさせませんッ!」
アルトが棒を大魔獣神へ振り落す。
だけどアルトの棒は奴を捉えることなく、
地面を叩いただけだった。
【忌々し表世界の獣神共よ、貴様らがこの我を復活させたのだ! 自らの行いに後悔し、そして絶望の果てに朽ち果てるがいい! フハハハ……アーッハッハッハッ!】
帝王エヌを改め、大魔獣神の高笑いが地獄谷に響き渡る。
黒雲は一瞬で履けて、明るい陽の光が俺達を照らし出す。
だけど、明るい光を受けても、
俺の心の中はどんよりと思い空気を湛えていたのだった。
五章:失われた獣神晶と大獣神と炎の国 終わり
【次章予告】
●遂に目覚めた大魔獣神はビアル表世界の本格侵攻を開始させた。
決着をつけるべくチートと獣神達は、最後の地アルデヒトへの進軍を決める。
そしてチートは、これまでの戦いで既にボロボロなスーを、
置いてゆくと決めた。
だが、その決定を拒否するスー。
そんな中現れたのは再強化され復活した大魔獣キジンガ―。
激しい戦いの中でチートはスーの過去を知った。
チートとスーの想いが重なり、混ざり合った時、
ビアルに新たな力が顕現する!
第六章【君と俺と前の世界】
どうぞお楽しみに!
【お知らせ】
HAHAHA!テイマーブレスだ!
ここまでの拝読Thanks!
もしシトラス=ライス氏の作品を気に入ってくれたなら、以下の作品も是非読んでみてくれたまえ!
同じような匂いがしてきっと満足出来るはずだ。どれも『完結済』だから安心して読めるぞ!
良ければよろしく頼む。【小説情報】から下へスクロールさせればすぐにみつかるぞ。
以上、テイマぁーブレぇす!からのお知らせであった!HAHAHA!
★『ビーンズメーカ― ~荒野の豆鉄砲~】
不殺の銃で戦う少年と少女達のヒロイックファンタジー
★『アーマドギガス』
架空日本での「巨大ロボ」vs「怪獣」 そして少年と少女の心の交流
★『ゲッターSEKI! ~誰がために席を取る~』
異色席取りバトルコメディ




