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七章10:最終決闘! 大地の獣神 VS 魔獣大将軍! (*サルスキー視点)

 

神々の世界。

 地を這う生命体の世界とは一線をかくすそこには

様々な機器が存在した。

 それは時として地を這う生命体の世界へ、

変革をもたらすために現れる。

しかしその全てが望みどおりの活躍ができるとは限らなかった。


 神々の世界より齎され、

そして使われずに地の底で眠りに着くもの。

 それをビアルの人々は【神器じんき】と呼んだ。

 そしてその神器の中に【生命体を生み出す】ものが存在した。


 生命同士の交わりではなく、暗く冷たい、培養液の中で

産まれる偽りの生命。

 ビアル裏世界にのみ存在する脅威の神器。


 それこそが、エヌ帝国闘魔獣将サルスキーの、

生み出された誕生の腹であった。


――この俺、サルスキーは偽りの生命。帝王エヌによって神器で生み出された存在……


 彼は生まれた瞬間より戦いの世界に身を投じていた。

 持って生まれた屈強な身体。

 既に染みついている豪魔獣拳の技。

 彼はエヌ帝国の軍団員として、そして創造主である帝王エヌの

意志に従って戦場を駆けまわった。


 来る日も、来る日も、彼の闘いの日々は続く。

 最初は孤独であった。

 周りにいるのは、雑兵のギネース兵のみ。

 しかしやがて、彼にも志を同じくし、

共に道を歩める仲間ができた。


 イヌ―ギン、キジンガ―。

 どこからともなく現れた彼等。

彼らがいつ、どこから来たのか、サルスキーは知らない。

創造主たる帝王の行動は絶対であり、

そして信じるに足るものだと彼は思っていた。

だから、突然現れた同胞に彼は何の疑問も抱かなかった。

 むしろ、イヌ―ギンとキジンガ―の帝国への参入は、

喜ばしいことばかりだった。


 剣技にそしてカリスマ性に優れるイヌ―ギン、

 戦略に長け、勢いのあるキジンガ―。

 彼等の参入により、帝国は瞬く間にアルデヒト大陸を手中に収めた。

 そこでサルスキーもまたイヌ―ギンとキジンガ―から多くのことを

学び、そして大きく成長する。


「本日より余の帝国に精鋭たる三軍団を設ける! 剣魔獣将イヌ―ギン、砲魔獣将キジンガ―、そしてサルスキー貴様は本日より闘魔獣将サルスキーと名乗るが良い!」


 帝王エヌの宣言にサルスキーの胸は打ち震えた。


――偽りの生命である俺が、あのイヌ―ギン殿とキジンガ―殿と肩を並べる!?

これは夢か、幻なのだろうか!?


「サルスキー、今日から私達とお前は同じ帝王の手足。活躍期待しているぞ」


 イヌ―ギンはそう声を掛け、


「良き事! サルスキー、いや、闘魔獣将サルスキーよ! 共に帝国繁栄のために、死力を尽くそうぞ!」


 キジンガ―も彼を迎えてくれた。

 有難かった。

 偽りの生命の自分を、暖かく迎えてくれた二人の魔獣将の

心意気に彼は打たれた。

だから決めた。


――お二人の面汚しにならぬよう、俺も精進せねば!


 彼は決意を固めた。

 そんな彼に更なる吉報が齎された。

 闘魔獣将となったサルスキーへ、

帝王エヌは副官たる二人の魔獣を授けたのだ。


「オレハ、ゴーレム! ヨロシク団長!」

「オラはぁ、オークマスターだぁ。これから宜しく頼むだぁ、団長」


 彼には表世界を侵略する数多の同志ができた。

 偽りの生命体でしかない自分には勿体ないほどの施しだと思った。

 だからこそ彼はより表世界の侵攻に力を入れた。


――俺には多くの同胞がいる。

彼らと共に、帝王の意思、表世界の支配を成し遂げたい!


 再びサルスキーの戦いの日々が始まった。

 彼は一人の拳士として、そして帝国の誇りある一員として、

更なる邁進まいしんを始めたのだった。



●●●



――気が付けば俺は一人になってしまった。


 大地の獣神グリーンレオのボックを、

裏世界へ引きずり込んだサルスキーは、

裏世界の荒野の風を受けてそう思った。


 もう副官のゴーレムも、

オークマスターも、

彼等のコアを用いて作り上げたキングギネースも、

キジンガ―も、

そして最も尊敬していたイヌ―ギンも居ない。


――元に戻っただけだ。


 生まれた瞬間、アルデヒトの大地をギネース兵と共に

歩んでいた最初の頃に戻っただけだ。


――いや、ただ戻った訳ではない。今の俺は……帝国の要、魔獣大将軍!


 ここまでで多くの同胞はらからが散っていった。

 今、自分が魔獣大将軍という立場にいるのは、

消えてしまった多くの同胞がいてくれたからこそ。

今の彼は華々しく散っていった同胞たちの魂の上に立っている。


――俺は多くの同胞の魂を背負っている。

帝王の、大魔獣神様のご意思を叶えるために今ここに立っている!


 もはやサルスキーの中にあった孤独感は払拭ふっしょくされた。

 あるのは魔獣大将軍として責任感と、

拳士としてのたぎる血潮のみ。

 彼は頭を切り替えて、

目の前に蹲る大地の獣神グリーンレオのボックを見下ろした。

 ボックはよろりと立ち上がって構えを取ってみせる。

 ボロボロのボックを見て、

サルスキーは首尾よくことが運んだと思った。


 大魔獣神はサルスキーへ、【チート】の抹殺、

もしくは【獣神一体】の抹殺を厳命していた。


 【チート】を抹殺するのが手っ取り早い。

そうすれば獣神共の力を封じることができる。

しかし、それは一見簡単そうで、一番難しいことだと

彼自身認識していた。

 奴には常に六人の獣神が付きまとっている。

だからこそ、彼はもう一つのプランを描いていた。


 【獣神一体に狙いを絞り、そして確実に倒す】


 しかし正面から挑めば、

例え魔獣大将軍となったサルスキーであっても、

確実に勝利を得る保証はない。

 そのためにキングギネースは限界まで戦い、ボックを消耗させた。

そしてこうして裏世界へ引きずり込めた。

 もはやこれは勝ったも同然!


――キングギネースよ、大儀であった。

お前の切り開いてくれた道を、俺は突き進む!


「さぁ、覚悟してもらうぞ、大地の獣神!」


 サルスキーは自らの内側から、沸々と沸き上がる闘気を練り上げた。

 奇しくもこうして目の前に現れたのが、再戦を望んでいた

大地の獣神であって、彼は密かに心を躍らせる。


――本当は拳士として、奴と正々堂々と再戦をしたかった。


 否。

 今のサルスキーは帝国の要、魔獣大将軍。

 既に彼の意思・体は彼のものでは無く、帝国のもの。


――目的を遂げてこそ、俺に生きる意味がある!


サルスキーは彼自身の想いを固く封じて、


「豪魔獣拳! 魔獣大将軍サルスキー! よろしくお頼み申し上げます!」


 サルスキーは姿勢を正して開戦の挨拶をする。

 ボックもまたボロボロの体に芯を通した。


「レ、獅子拳レオマーシャル! 大地の獣神グリーンレオのボック! よろしくお願い致します!」


 両者の勇ましい声が裏世界の荒野に響き渡った。


「行くぞ! 大地の獣神! たぁーっ!」


 先手を取ったのはサルスキー。

 彼は高く空へ舞い上がる。

 目下で情けない構えを取っているボックへ、鍛え上げた自らの

右足を突き付ける。

 胸の鎧に埋め込まれた魔獣石から破壊の力が一瞬で右足に収束した。


「豪魔獣拳奥義! 神殺蹴ゴッドブレイカー!」

「きゃっ!」


 サルスキーの技はボックの腕のガードを突き破って、

腹を穿ち、突き飛ばす。

 同時に彼女へ流し込んだ電撃のような魔力が爆ぜ、

二段階ではじけ飛ぶ。

 ボックは何回もボールのように地面の上を跳ね、

うつ伏せに倒れ込んだ。

 しかしそれでも彼女は、

よろよろと立ち上がる。


「ふふっ、流石は大地の獣神! 俺の奥義を受けても立ち上がるとは流石だ!」

「お、お褒め頂き光栄です……私は……私は負けるわけには参りません!」


 目前からボックの姿が消えた。

 しかし既に気取っていたサルスキーは腕を掲げる。

 瞬間、脇に現れたボックの拳とぶつかった。


「甘い!」

「ッ!?」


 サルスキーはそのままボックの腕を掴んで、投げ飛ばす。

 またしてもボックは近くの岩へ背中から叩きつけられる。


――やはり満身創痍の獣神などこの程度のものか……


 闘争がこの瞬間だけはサルスキーを魔獣大将軍ではなく、

一人の拳士に彼を戻していた。

 だからこそ、かつて部下を圧倒し、自らを戦闘不能に追い込んだ

強敵がここまであっさりとやられてゆく様に目を覆いたくなった。


――だがそれは俺個人の感情。魔獣大将軍たる俺にはそのような感情は許されない!


 大魔獣神の命を忠実に遂行することこそ本懐。

 それが限界まで戦わせ、死を命じたキングギネースへの弔い。

 彼だけではない。

 ゴーレム、オークマスター、

キジンガ―、

散っていった多くのギネース兵、

そしてイヌ―ギン……冥府へ旅立った彼等への手向たむけ!


「豪魔獣拳究極奥義!」


 サルスキーは拳を脇に構えて、そして一直線に飛んだ。

 己の拳に魔力を、己の魂を注ぎ、燃やす。

 彼の胸に輝く魔獣石が一際光り輝いた。

 弔いの想いを、魔獣大将軍としての使命を込めて、


魔光豪烈破シャインスパーク!」


 すべての想いを込めてサルスキーは、

好敵手と認めた一人の拳士の魂を打ち砕くべく、

最高の一撃を放った。


 迸る黒の電撃と、視界を覆いつくす魔力の輝き。

 拳に感じる確かな手応え。


――皆、俺はやったぞ。皆の魂を受けて俺は、ついに獣神を……!


 そう思った刹那だった。


「なっ!?」


 黒い破壊の輝きの向こうから、

白く美しい指先が現れた。

 それは拳を打ち込んだサルスキーの腕を強く掴む。


「うぐおっ!?」


 突然、身体がふわりと浮いたかと思うと、

身体が横の方向へ投げ飛ばされる。


「な、なんだ……今のは……?」


 サルスキーは驚きと歓喜が入り混じった複雑な感情のまま

ゆっくりと起き上がる。

 目前にあった己が発した霧のような魔力がゆっくりと履けてゆく。

そこには未だ、しっかりと大地を踏みしめているボックの姿があった。


「負けません……」


 ボックはそう呟いて首を上げた。

 身体はボロボロ。

 奴の足元は震えている。

 しかし闘志は消えていなかった。

 翡翠に輝く彼女の目は、生命力に満ち溢れていた。


「私はここで、サルスキー! 貴方を退けて、チートさんのところへ戻ります! あの方をお助けし、表世界を貴方がたから守ります! っあぁぁぁぁぁーッ!!」


 ボックが咆哮こえを上げた。

 途端に、彼女の体から美しい緑の気が炎のように噴き上がる。

 それは彼女の背後で形を成す。

 雄々しいたてがみを揺らし、

鋭い牙を覗かせ、闘志を燃やす二つの目。


 彼女の背後に形作られた獅子のような闘気に、

サルスキーは感動を覚えた。

 だからこそサルスキーは敢えて、構えを取った。


「良くぞ立ち上がった! それでこそ拳士! なれば俺も貴様のその闘気に応えよう! 俺は大魔獣神様のため、散っていった多くの仲間たちのため、そして一人の拳士たる自分のために貴様を倒す!」

「勝負です! サルスキーッ!」

「応ッ!」


 サルスキーとボックは同時に地を蹴った。


獅子拳究極奥義レオマーシャルアルティメットアーツ!」

「豪魔獣拳究極奥義!」


 サルスキーは再び己の全存在を一発の拳にかける。

 それはきっと目の前の好敵手ライバルも同じ。


―― 一切の加減など無用!


 ここが命のかけるべきところ!

 かつてイヌ―ギンに示された、


【拳士として死するべき場所!】


獅子彗星拳レオコメットシュートォッ!」

魔光豪烈破シャインスパークゥッ!」


 拳がぶつかり合った瞬間、互いの力が外へあふれ出た。

 摩力と魔力は荒野を削り、頭上の黒雲を渦巻かせる。

 周りの環境が、サルスキーとボックの力に追い付いていない。

 ぶつかり合う激しい闘気の前では自然現象さえも、

些末なものでしかない。


「つあぁぁぁぁぁ!」


 サルスキーは更に拳へ魔力を注ぎ、


「はあぁぁぁぁーっ!」


 ボックもそれに応えて摩力を加速させる。

 均衡は続く。

 どちらも引かず、譲らず、ただまっすぐに、純粋に

己の拳に魂を込めて力を放ち続ける。


「ぬっ!?」


 しかし、サルスキーの体が揺らいだ。

 わずか、ほんの僅かだが、ボックの摩力が勝り、

力の均衡を一歩リードする。


――だが負けん!


 敵がどんなに強くても、断じて諦めない。


――俺は皆の想いを、命を背負っている!


「俺は……俺は魔獣大将軍サルスキーだぁぁぁぁ!」


 サルスキーは咆哮こえと共に、魂魄のひとかけらも残さず、

自分の存在を、命を懸けて力を放った。


「うおっ!?」

「きゃっ!?」


 力の均衡は破れ、力のぶつかり合いは大きな爆発になって

終焉を迎えた。


 サルスキーは大きく弧を描いて吹き飛び、

そして地面へ背中から思い切り叩きつけられた。


「ああ、ううっ……」


 立ち上がろうとするが、

もはや彼にその力すら残されていなかった。

 しかし、ぼやける視界の中に緑の影が揺らめいているのが見えた。

 よろりと、しかししっかりと立ち上がり、

地を踏みしめる好敵手――獅子拳の使い手ボックの姿。


――そうか……俺が破れたのか……


 もはや敗北は明確であった。

 自分はもう立ち上がることさえできない。

 戦うことなどもってのほか。

 完全なる敗北。

 散っていった仲間たちへの申し訳なさがあった。

 だが同時に、満足感があるのも確かだった。


――俺は全力を尽くして敗れた。だがこれが拳士としての俺の力。

俺はどうやらここまでの存在だったようだ。済まない……


 気が付けば、サルスキーは裏世界から表世界へ戻っていた。

 裏世界の薄ら寂しいものとは正反対の清々しく、

心地良い表世界の空気に触れて、

彼は緩やかな眠気を感じた。

 次第に意識が薄れてゆく。

 その中で思うのはやはり散っていった仲間たちのことだった。


――もしあちらの世界で会えたなら謝ろう。お前たちを弄び、その命をかけさせたにも関わらず、俺は破れてしまったと……


「サルスキー!」


 薄れゆく意識の中、

彼は心地よい声と森のような香りを感じた。

 自分の身体が温かい何かを包まれる。

 ぼやける視界へ、

自分を抱き上げているボックの姿が見えた。

 目の前の彼女から一切の殺気も、

闘気も感じられない。


「どうしたと云うのだ、大地の獣神よ……」

「サルスキー……いえ、サルスキーさん、貴方と拳を交えて感じました。貴方の優しい気持ち、拳士としての誇り……なのにどうして貴方は帝国にそこまで……?」


 今、目の前にいる好敵手から、不思議な優しさを感じる。

 その声と雰囲気はサルスキーが、自ら【魔獣大将軍】という

肩書の鎖で縛った、彼の本心を解き放った。


「俺が、生み出された存在だからだ……俺は帝王エヌに、大魔獣神様に作られた偽りの命。だからこの命は大魔獣神様のものなのだ……俺が自分の意思で何かを選び、決断することは許されないのだ……」

「そんな……」


 ボックはサルスキーの肩を強く掴む。

 その手は震えていた。


「サルスキーさん、貴方は真の拳士です! 例え大魔獣神に生み出された命であろうとも、貴方は仲間を想い、拳に命を掛ける誉れある戦士です! だから自分を自分で縛らないでください! あなたの生きたいように生きてください! いえ、貴方はそう生きるべきです!」


 ボックの言葉を受け、

サルスキーの胸の内に不思議な温かさが宿った。

 だが戦う意味はそれだけではない。


「だが俺は、貴様たちに倒された仲間の分も……」

「だからこそ生きてください! 未だ生きられるのであれば、彼らの分も生きるべきです! 支配から逃れ、貴方らしく、いつまでも!」

「――ッ!」


 ボックの言葉にサルスキーは撃ちぬかれた感覚を得た。

 本心を言えば、自分が偽りの生命、

であるということに彼は劣等感を抱いていた。

 そんな下賤な魂の自分には、

他の存在と同じ生き方を望んではいけないと、

想っていた。

 でもその概念をボックは一蹴し、生きろと叫んだ。

 

 エヌ帝国のサルスキーと拳士としてのサルスキーが内側で葛藤する。


――俺はどうすれば……?


【サルスキーよ、獣神の甘言かんげんに惑わされるでない!】


 その時、怒りに満ちた声が君主の声が聞こえて、

サルスキーの意識は自然と明瞭さを取り戻した。


 目前の赤い空に、鉄仮面を付けたサルスキーの創造主で

君主の大魔獣神の巨大な幻影が浮かぶ。


「大魔獣神!」


 ボックは鋭い言葉と眼差しを、

空に浮かぶ大魔獣神の幻影へ向けた。

 先ほどまで優しさに満ち溢れていたボックから、

一気に激しい怒りが噴出したようにサルスキーは感じた。


【貴様の命は我のもの! 我の(めいを完貫せず死ぬことは許さん! 貴様に最後の力と命を与える! 良いな、サルスキーッ!】


 大魔獣神の幻影から、黒い稲妻が迸った。

 それはボックの脇を過って、

サルスキーの胸に光る魔獣石を貫く。


「ッ!? ぐわぁぁぁぁぁー!」


 まるで体を内側から打ち破らんばかりの力は、満身創痍の

彼を強制的に立たせた。


 力が漲っているわけではない。

 取り戻したわけでもない。

 ただ与えられた力が身体の中で暴れ、

それに体が従っているに過ぎない。

 彼の胸に埋め込まれた魔獣石が怪しく、

眩しい輝きを放った。


「こ、これは……!?」


 全身を巡る魔力。

 それは彼の体を熱し、暴走を始める。


「クッ……お、俺から離れろぉ! 大地の獣神!!」


 サルスキーはそう声を上げて、

ボックを突き飛ばす。

 ボックは地面を転がりながらも、

体勢を整える。


「サルスキーさん!」

「く、くそおぉぉぉッ!! 逃げろぉ!」


 しかしその声とはまるで反対に、サルスキーは拳を構えて、

目の前に佇む好敵手へ飛んだ。

 

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