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送れまして申し訳ございませぬ
ただいま、朝の0刻。僕らは南門を出てウラジュ村に出発した。すこし早いのは、早く村について宿を確保したいためだ。それに道中何も無いとは限らない。街道が引かれているといっても、魔物や盗賊なんかが出ないなんて保証はないからだ。そんなわけで、まだ薄暗い中ウラジュ村に向かって歩くのだった。
道中何もなく村についた。村に着くまでアルマが警戒してくれている中、シルキーとルフェイの相手をしたり、今回の依頼について話し合ったりしていた。別に特別なイベントはなかった。いや、有っても困るんだけれども…
早く出てきたといっても、着いたのはもう朝の5刻を回っている。早いところ宿を見つけて泊まるところを確保しないと、せっかく少し早く出てきたのだから。
結果、やはり村には宿などというものはなく、村長宅の空き部屋を2部屋借りることとした。僕、アレック、グッチオの男組と彩香、アルマの女組に分かれただけだ。…経費なんだから5部屋でいいんではないかと具申しては見たが、
「経費といえども、無駄遣いは却下です。」
と、財布の紐を握っている彩香さんに一蹴された。
村長宅で騎士隊からの依頼できたことを伝えて、この晩に協力をしてくれるように通達をお願いした。いくら騎士隊から依頼を受けたからって、いきなり来た冒険者を信用するとは限らないし、一々騎士隊から受け取った証明書を見せるのも面倒だ。
通達を出してもらった後すぐに、村長に話を聞いた。
簡単に話をまとめると、少し不審なことが幾つかあるのだが、別に大きな異変は起きていない。そのため、村襲撃の防衛準備などは何もしていない。
こんな感じだろう。
不審なことというのは、狩りでの成果がここのところ少し落ちてきていることや、山菜の採取量がおちてきていること、新しい獣道が増えたこと等だ。季節が冬に近くなってきていて、今年の動物の動きから見るに寒くなるのでは? との話が出ていたそうだ。
例年よりも寒い冬が来るだけならいいのだが、襲撃なんてことになったら目も当てられなくなる。…そしてその襲撃の予兆というか知らせる使いというか、僕らが来たせいで何となくだけど、襲撃があるんじゃないかと思ってしまう僕がいるのだが…すごく不安になってきた。
「村長さん、ありがとうございました。しかし、用心のために防衛の準備をしてくれませんか? 村長さんの言っていたことから察するに、森のほうで何らかの動きがあったかもしれません。そして、その異変が食べ物を求めて村に攻め入らないとも限りませんので。」
と、いう風に彩香さんが警告はしてくれた。明日はちょっと予定を変更して先に森に入ることにする。先に脅威がありそうか判断したいということらしい。彩香さん曰く、
「あなたの木霊ならそういう判断もできるんじゃないの? 自然に近しいのが精霊の特徴じゃないの? それに、また森の中に精霊がいないとも限らないわ。だったらあなたの力を最大限に利用しなきゃ。」
ということで、僕が森探索の要にされそうな気がした。…ちがうか、されるのか。まあ何はともあれ、明日までなるべく疲れを残さないようにしっかりと寝ておこう。…アレックとグッチオも一緒に寝るんだけど、疲れなんて取れるのだろうか・・・?
朝、村長夫妻と一緒にご飯を食べた後、森について詳しい人を3人呼んでもらい、8人というパーティで森に入る。知らないところでの調査なんて、現地ガイドでも雇わないとまともな調査にならないだろうという村長さんの配慮があっての事だった。こちらにしても失念していたし、大変ありがたかった。
…そういえば昨日の夜だが、疲れていたのか朝までぐっすりと眠れた。夜の内に奇襲されるわけでも無く、寝付けなくて明日に響くわけでもなく…ここまで何も無いと本格的に不安の色が濃くなってくるというものだ。少しでもアクシデントがあれば、心構え的にも比較的楽になるものなのだが。・・・ま、何よりも何も無いという事はいい事なのだ。
村に隣接する森の前にやってきた。この場所で早速だが木霊を召喚しておこう。森に入っていきなり何て事にはならないだろうが、入る前からしっかりと警戒をしなければならない。
「さあ、来てくれ”うどん”!」
魔力を渡し、召喚する。足元に20cmほどの緑色に光る狐が召喚された。・・・何故かシルフたちも召喚されている。僕は召喚した覚えは無いのだが…ま、いいだろう。
「おまえたち! 何か森に不審な空気を感じないか?」
漠然とした質問だが、何かがおかしいと言う漠然なものを調べようとするのだから、具体的なものに絞り込むのは難しいのだ。
その命令を聞き、森に入っていくうどん。それを追いかけるように森に入るシルキー、森との境目辺りをふよふよ飛んでいるルフェイ。ルフェイの様子を眺めつつ、村長から紹介された3人、普段はこの森で狩りをしているハンターらしいのだが、その3人からどのように森を回るかを聞いている。どのルートを通るかもそうだが、もしはぐれた場合はどうするのか等いろいろ教えて貰っている。
そして教えてもらうことが無くなった頃、放った精霊たちが戻ってきた。そして案の定、我先にとシルキーが報告を始めた。いや、報告と言うには少し違う…まるで今見てきたものを友達に話すかのように話し出した。
「ただいま! あのね、あの森ヤバイかも! 何か始めに慶吾たちと行った村の森と一緒のような感じがしたの! こう、バリバリーっていうかゴゴゴゴっていうの? そんな感じ! とにかくやばいったらやばいのよ!」
…シルキーってそういやそうだったな。長島節の説明だったことを僕はすっかり忘れていたよ。
それはさておき、次はルフェイからの報告を聞くことを求めた。
多分、恐らく、年末から年度末にかけて忙しくなるので、今回のように投稿が送れる可能性があることを御了承ください。




