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ビザールバットが大量発生してから30日が経った。そして今日、ビザールバットの大量発生の依頼が外された。その理由は一昨日、騎士団がクイーンバットの巣を発見し、討伐に成功したからだ。
クイーンバットの巣はタルレムの町から北東に1日と少し行ったところにあった。丁度北東にあるテヒーモの町から援軍を出してもらい、丸1日かけて落としたとの事だ。負傷者は多数出たらしいが、幸いにも死者は出なかったとの事。ただ、巣の周辺の町や村では、ある程度の被害があったらしく、死者も出たそうだ。
なぜ、一冒険者がそんな事を知っているのかって? それはたった今説明されたからだ。
今日の朝、何時ものように遅い朝ご飯を食べて報酬を貰いに行ったのだが、丁度その時に騎士がビザールバットの大量発生の終わりを告げて依頼の取り下げを行っていた。その騎士が、ソダ村で出会ったタルレム守護騎士隊第2中隊所属第4班班長であるルドルフさんだった。
「おや、あなた方はソダ村に居た…。」
「はい、お久しぶりです。えっと、ルドルフさんでしたか? 守護騎士隊の。」
「ええそうです。覚えていただいていて光栄です。それであなた方はここで冒険者をすることになったのですか?」
「はい、現在はそうさせてもらっています。今日もビザールバットの討伐報酬を受け取りに来たんですよ。」
「騎士様、お互いお知り合いのようですが、軽く説明させていただきます。こちらのパーティの方々が、毎夜多数のビザールバットを討伐してくれていた、今回の第一勲功パーティです。また、大量発生を掲示する前にビザールバットをまだ明るいうちに何匹か狩っていて、その事実がおかしいと言うことが依頼所で話し合われて、それで今回の大量発生が発覚いたしました。」
「ほう、そうか…ならば…しかし…もしかすると…」
クラリーチェさんから僕らの功績を話して貰った。功績と言うには恥ずかしいレベルではあるが、それを聞いた途端ルドルフさんがなにやら難しい顔になり、考え始めてしまった。なにか変な事を言っただろうか? と僕たちやクラリーチェさんが心配そうにしていると、
「あ! いや、すまない。少し考え込んでしまった。…で、すこし相談なのだが…この後、私は詰所――騎士の詰所に行って今回のビザールバット騒動の報告をし、その後守護騎士長まで報告をしなければならないのだが、その報告の後、話合う機会を設けて欲しいのだ。少し気になったことがあってだな、それを私の上司にも話して、あなた方にも言いたいことがあるのです。…よろしいでしょうか?」
僕は、正直なところ状況がよくわかっていない。待って話を聞くのはいいんだけど、何で? って言うところが大きい。今回一番ビザールバットを狩った勲功賞でも貰えるのだろうか? しかしそれならはっきり言ってもいい気がするが…うーん。
「いいわよ? 場所はここでいいのかしら?」
「はい、こちらで。どこかの部屋を1室借りようと思いますが、今日は開いている部屋はありますか?」
「えーっと…はい。何部屋かありますので、その内の1室をとらせて頂きます。」
「ありがとうございます。それでは私はこれで。凡そ1刻半、遅くとも2刻はかからないと思います。では、よろしくお願いします。」
「ええ、またここで。」
そう言うと、ルドルフさんは足早に去っていった。
全く状況が飲み込めていない僕からすると、もうどうでもいいかなーって感じが強くある。どうせ彩香さんが理解しているだろう。そんな投げやりな気持ちだが、一応聞いてみようとした。
「ま、会って聞いたら解るわよ。」
と聞く前に答えられてしまった。どうせ解らなかったのでしょう? とでも言いたげな声色だったが、その通りであるから仕方ない。
待っている間、町を散策したり、食べ歩いたりして過ごす事にした。




