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びっくりするほどあっさりと終わってしまった。


あんなにいたビザールバットが見る見るうちに少なくなっていき、アレックが最後の1体を射たところで終わった。あんなにボロボロになったのはどういう事だったのだろうかと聞いて見たいほどである。しかし、それは彩香たちも同じようで


「やっぱり前衛が居ると全然違うわね。体当たりを避けなくてもいいっていうのは、撃つのに集中できていいわ。」


それにはアレックも同意なのか首を大きく盾に振っている。しかしだ。今の僕たちのパーティは斥候1、遠距離2、支援1という編成であり、前衛はいない。オンラインゲームなんかだと思いっきり地雷パーティだ。あと盾とヒーラーは欲しいところなのだが、そんなに簡単には仲間を増やせるとも思えない。ゲームの中でさえ、こんな地雷パーティは避けられるだろう。


そう言いつつも、ビザールバットの死体を集めて籠の中に入れていく。まだ若干動いていたのも居たが、ナイフで止めを刺していく。背負ってきた籠が2ついっぱいになり、予備の矢を入れて持ってきた3つ目の籠さえも8割がた埋まってしまっている。しかも割りと無理やりに押し込んでいてもこの有様なのだ。しかし、本当に大量だな。一体どれだけのビザールバットを刈ったのだろうか? 1籠に少なくとも20はビザールバットが入っている。それが3籠。もうしばらくは働かなくてもいいんじゃ無いかな? 銀貨3.5枚が最低60体分少なくとも金貨2.1枚分である。一人頭で銀貨50枚。しばらくは遊んで暮らせそうな大金である。


しかし、これだけのビザールバットの群れがいて考えないわけが無い。上位固体がいるんじゃないかと。つい最近も似たような大規模襲撃を経験し、そのときにもいた上位個体。今回もいると見ていいだろう。…まぁ、それを僕たちが倒す必要は無いのだが。


今日はこれで帰りかな? もう籠の容量が殆んど無くなったし、帰りにでも満タンになるだろう。そんな訳で、少し休憩して帰る事にしたわけだが、暗いし重いし疲れてるしで何時もの倍…とまではいかないが、かなりの時間を使ってしまった。


こんな真夜中にも依頼所はやっていた。1日中やっているっていうのは聞いていたが、1軒だけ明るいっていうのもなんだか変な感じである。


大籠を背負った3人と、大弓を2つ持った1人が店内に入って、直ぐに2階に向かって言った。こう表現すると、少し怪しい人たちにも聞こえるが、気のせいだろう。2階に上がっていき、受付のお姉さんに籠を見せると大変驚いていた。


「お疲れ様です。今夜はどのようなご用件でしょう…か…!? え!? これ全部ビザールバットですか? ちょ、ちょっと待っていてくださいね!」


そう言って後ろの部屋に入っていき、しばらくした後、大柄の男性と中年の男性が出てきて籠の中を確認し、籠を持って言ってしまった。


「すみません。あの量のビザールバットの解体と集計となると、明日の昼頃まで掛かってしまいますが、よろしいですか?」


と、受付のお姉さんに言われてもだ。そもそも自分たちで解体するわけでも無いため、預けるしか無いのだけれど…。


「すみませんがよろしくお願いします。明日のお昼頃にまたこちらに来れば報酬と籠が帰ってくる、と言う解釈でよろしかったでしょうか?」


彩香さんが、念の為に聞いて見たのだろう。一応聞かないのなら僕が聞こうとしていたので結果は同じなのだが。


「そうですね。それまでは籠の方をお預かりしますので、ご了承ください。」


その言葉を聞いて、宿に足を向ける僕ら一行だった。ちなみに、宿のお風呂が夜中にも焚いてあった事に感動すら覚えたのは言うまでも無い。アルマとアレックはタオルで体をしっかりと拭いていたので、多少はきれいになっただろう。




よく朝、何時もよりも遅く起きて、朝食を食べに依頼所に行く。店に入ると、こちらをちらちら見ている同業者が結構いる。なんで今更こっちをちらちら見るんだろうか? コボルトを連れているったって、もう何日も前から連れてきているし、もう大半はなれてるだろうに…。もしかして、もう噂になっているのだろうか?


「おいおい、聞いたぜ! ビザールバットをたんまり刈ってきたんだってな! 俺にも一枚かませてくれよ。な? いいだろ?」

「おいお前! 抜け駆けは許さんぞ! なあ、俺にしねえか? 俺なら力もあいつよりつえーし、何より剣のスキル持ちだぜ?」

「スキルなら俺の方が上だぜ? 俺は槍のスキル持ちだ! リーチを活かした攻防を得意とした俺の方が役に立つぜ?」


凄い勢いで売り込みをかけられた。前衛は欲しいと思っていたけど…どうするか?


「要らないわね。剣や槍じゃ話にならないわ。」


一蹴りですかそうですか。実際剣や槍なんかは前でうろちょろされると邪魔でしか無い訳だけど…。


何度か口論していたみたいだが、3人とも諦めて帰ったみたいだ。僕は攻撃には参加しないので、何も力になれないんだ、ごめんな。


他にも何人か食事中に言い寄ってきたが、有用なスキルを持っていた人は来なかったのだろう。と言うか殆んどスキルを持って無い人たちだった。そんな人たちが冒険者やっているんだなーと今日始めて知った。


ご飯を食べた後も、仲間に入れてくれと言い寄ってくる人が多くいたが、彩香の一蹴は続いた。…有用なスキルを持っていたら自分だけでパーティを作れているよな…と言う事は、ほぼほぼ余った人たちが必死に稼ぎ口を求めているだけなんだろう。ま、僕らには関係無いと切り捨てないと。彼らを助けるのは僕らの役目じゃ無いし。



そろそろ一度2階に行ってみるかと言う事になり、2階の受け付けに向かった。


「お疲れ様です。いま、ビザールバットの部位の集計を行い金額を出しているところですので、もう少しお待ちください。」


そう受付のお姉さんに言われて、待つ間に少し思っている事を話すことにした。


「ビザールバットが大量発生していますけど、原因はわかったのですか?」


「現在この町の守護騎士たちが原因の究明を急いでいますが、未だわかっていないと言うのが現実です。」


「過去にはこのような事は無かったのですか?」


「…あるにはあるのですが、数十年も前の話なため、資料が殆んど無いのです。」


「そうですか…ちなみに、近隣でもこのようなビザールバットの大量発生は起きていないのですか?」


「現在はこの町周辺でしか起こってはいないようなのです。…それと過去の話をするのであれば、3年ほど前に、ここから結構距離のある町で、クイーンバットが引き起こしたビザールバット大量発生が起こっています。実を言いますと、今回もその線が濃厚ではないかと騎士たちの間で噂になっているようですね。」


出てきましたよ、上位固体っぽい名前が! クイーンバット。女王蜂みたいな認識でいいのだろうか?


「それで、そのクイーンバットというのは生き物の死体を苗床に、ビザールバットを産み出す様で、そのビザールバットの成長も10日ほどで普通のサイズまで大きくなるようなのです。しかも、苗床1つから人間サイズの苗床なら平均15匹ほど産むことができるそうです。私もこれ以上の情報は持っていないので、クイーンバットと疑わしき個体がいれば是非報告をお願いします。」


そんなこんないろいろ話しつつ待っていると後ろの部屋から書類を持ったお姉さんがやってきた。いろいろ今回の討伐の件に関して言っていたが、結局のところ報酬が金貨2枚と銀貨64枚となった。駄目になっている部分等の金額は入っていないとの事なので、幾らか下がってはいるのだろうが、今までが運がよかっただけで、実際はこんなものだろう。


しかし、本当に大金だな。今日も行くのだろうか? …行くだろうなぁ。何だか最近、彩香さんがお金に五月蝿いのだ。何か考えているんだろうが、言ってくれないし、聞いてもわからない可能性もある。


まぁ、悪い事にはならないだろう。


帰ってきた大籠とお金の入った袋を持って1階に降りて行った。

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