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「タルレム守護騎士隊第2中隊所属第4班班長ルドルフ、援軍として参りました…グルジ村長、お久しぶりです。」


「よく来てくれましたルドルフ班長。…再開を喜びたいところですが、今はこのような時。すぐに前線の方へ、状況の説明は話しながらしましょう。」


「わかりました。」


援軍に来てくれたルドルフ班長と村長さんはいろいろ話しながら歩いていってしまった。前線に到着するとすぐにそれぞれの持ち場に散って行き、そして村長から声が発せられた。


「たった今、タルレムの町から援軍が届いた! これより次の敵の突撃を防ぎ次第追撃に入る! 皆の者奮起せよ!!」


「「「「「おー!」」」」」


前線からだけでなく、村の彼方此方から声が上がる。

この防衛戦の勝利が見えてきている。そんな事を感じさせてくれる大きな声だった。



朝の1刻を少し回った時間だろうか。物見櫓の弓兵からゴブリンたちが一斉に動き出したとの声がした。こちらは既に援軍の配置も終えて、矢も全ての場所に補給した。後衛部隊の仕事は、ほぼやり遂げたと言っていいだろう。後は前線組みがどれだけやれるかである。後衛部隊の一人である僕にとっては、後は祈るのみと言った所だ。









屋根の上で待機していると、物見櫓から声がした。


「ゴブリンが動いた! おそらく全部来ているぞ、総員警戒せよ!」


弓隊隊長がゴブリンが来たと叫んでいる。準備は出来ている、後は私の射程に入ってくるのを待つだけだ。




初めは生き物に矢を放つのは怖かった。犬や猫、鹿や猪を撃つという事は殺すということと同じ事だから。的や畳を射ることとは違う、物語やゲームのようなものとは違う、生きているのだ。それを殺すなんて出来ない、そう思っていた。


しかし、林から出てきたゴブリンを見た時に感じた。背筋に冷たいものが走り、頭から血の気が引いていき、腕から汗が噴出し、足が震えた。草原ですれ違ったときも少しは感じたが、こんなに強く大きく感じてはいなかった。


「(――殺される!?)」


そう思った時には、既に矢を放ちゴブリンに命中させていた。矢を放った時の事は覚えていない。気がついたらゴブリンに矢が刺さっていたのだ。それでもなお、そのゴブリンは進んでくる。私を、私たちを殺すために…


「…こうなる前に覚悟を決めておくなんて無理よね。実際に経験してみないと、こんな…ぅうっ――」


吐いた。


火矢の火の子が服や屋根に点いてしまったときの為に、水を汲んで置いてあった桶の中に盛大に。しかし、盛大に吐いたおかげで覚悟を決めることができた。


「生きる為に…やらなきゃ、皆を守る為に…殺らなきゃ、でないと私が、私たちが殺られる…!」


口元を拭き、先ほど矢を撃ったゴブリンに矢を放つ。今度は自分の意思でしっかりと放ち、命中させた。しかし、まだ止まらない。もう一度矢を射るために弓を引いて構える。そのとき不思議なものが目に映る。矢の先から一筋の線が伸びている様に見える。まるで、矢がそのレールに乗って飛んでいく事が解っているかのように。ゴブリンに向けて矢を放つ。自身の見えていた線の上を矢が滑っていく。それがゴブリンに命中し、倒れて遂に動かなくなった。


「この線は、やっぱりそういう事なのね。」


自身が矢の軌道が見える事を理解したと同時に、生き物を殺した、この事を強く感じた。




私は弓を引き、狙いをつける。この短時間で何度も何度も繰り返してきた動作だ。この突撃を受け切れたら反撃に移れる、すなわち防衛戦の終わりが見えてきたのだ。速く終わらせてしまいたい、そう思いながらも次々と矢を射程内のゴブリンに放っていく。


「もう少し、もう少し!」


急く気を抑えながら、次々と矢を射かけ――村の防衛に成功した。


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