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週1くらいでできればいいなー
歩きながら委員長―川端彩香―と僕-中村慶吾―は、これからどうしようかと言う事を話していた。とりあえず町を見つけようということは一致したので、それを目標に歩いていた。しかし、山や森は見えてきたものの、町や道はまだ見つかっていなかった。起きたらなぜか着ていた服や、腰にある短剣と皮袋を確認しながら、どういう構造をしているのかや、何が入っているのかと確認しながら歩いていた。そして、袋の中の葉の束を手にとった時ふと、
「なんだろう、この葉は。結構いいもののような気がする、どういうものなんだろう。」
何気なしに放ったその言葉に答えが帰ってきた。
「その葉は薬草よ。傷口に葉の裏側を水で濡らせて貼り付けると効果があるみたいよ。」
委員長から説明されて、そうなんだと納得し袋に仕舞ってふと不思議に思った。なんで知ってるんだろうか。ありふれたような形をしているのだが、その知識をどこで得たのか、それを問う前に答えが返ってきた。
「オタクたちの言葉を使うなら、そういうスキルを持っているから、らしいわ。何でもみんな、何かしらそういうものを持ってあの場所に集められていたそうよ。」
「あぁ、それとそのスキルなんだけど、親の影響や、普段の生活習慣から選ばれているって事も言っていたわ。私は親の仕事からだと思うのだけれど、ある程度のことを知っているという感じのスキルみたい。」
漫画やアニメの設定と似ているからわかるんだって言っていた、と付け加えられてもそのせいで信憑性がガタ落ちである。ま、もともと無いに等しいものなのだが・・・。
それは置いておくとして、スキルなるものがあるのだとしたら僕のスキルは何になるんだろう。さっきの感覚からすると、物に価値があるかどうかがわかるスキルなのかな?・・・すごい微妙な気がする。もう少し詳しく解ればとても重宝するのだが・・・そんな事を思っても仕様がないことだ。
一通り自分の持っている物や着ている服の確認を終え、辺りを見渡しながら歩く。変わり映えのしない景色を見ながらゆっくりと・・・。
2時間ほど歩いただろうか、太陽(でいいのだろうか、便宜上そうしておこう)が真上に着ており、そろそろ疲れと空腹でバテてきていた。そろそろ休憩にしよう、そのいい訳に木陰につかえそうな低木を見つけ、
「そろそろいい時間だし、あそこで昼飯―――」
『そろそろいい時間だし、あそこで昼飯がてら休憩しないか?』そう言いたかった。途中で言葉が途切れたため、委員長が何事かというような顔をしている。だって仕方がないじゃないか。委員長の胸と頭に15cmほどの人型の何かが居たのだから。
「―――――――!!!!?!?」
声にもならない音が出た。
(なんだ!?なんですか!?なんなのですか!!?あの不思議な人間?は?動いてるし!こっち見てるし)
顔を青くして狼狽する僕を見て、何か異常事態が起こったのかと辺りを見渡し何もない事を確認すると、自分の格好を確認する。そして、
「何もおかしなところなんて無いじゃない。いったいどうしたの?そんな慌てて。」
心配した様子で委員長が尋ねてくる。が、口がパクパクするだけでなかなか声にならない。そんな時、
「あれ?もしかして『視える』人間なの?珍しいね!」
「え?ほんとに?わー!『視える』人間に会ったのなんて初めてー。」
人型の何かがこちらに話しかけてきた。話しかけてきた?どうなっているんだ!?
「な、なんでおま、しゃ、しゃべってるの!?なんで!?そんな小さい体なのにどうなっ―――」
パァーン
いい音が鳴った。―-―僕の左頬から。
「どうせ私は小さいわよ!20にもなってこの身長よ!何でわざわざあんたに今そんな事をさも重要なことかの様に言われなくちゃならないのよ、最低!」
怒涛の口撃が襲う。
(違うんです。そうじゃないんです。あなたの身長は確かに小さいですが、今はその事を言ったわけじゃないんです。)
心でそう思っても言わないのがお約束。誤解を解くために、小型の人型の事を説明していたのだが、
「・・・わかったわ、休憩しましょう。おかしくなった頭が戻るかどうかはわからないけれど、休息は必要よ。」
と、まるで狂人のような扱いをされてしまった。




