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村長の家に戻ると既に、居間に村長や他の村の人たち、それと彩香の姿があった。もしかして…


「僕が最後でしたか?」


「いや、まだ来ていない者もおるよ、慶吾殿。…慶吾殿と呼ばせてもらっても構いませんかな?」


「大丈夫です、村長さん。」


「ではそのように。それでですな、偵察に向かわせた者たちもまだ帰ってきておらぬのです。その者たちが帰ってから話を始めますので、もう少しお待ちくだされ。」


間に合っていてよかったと思う。こういう時に正確な時間を計る事が出来る時計が欲しいとつくづく思う。ま、もう少ししたら偵察部隊も戻ってくるだろうし、少し待たせてもらう事にしよう。適当な椅子に腰をかける。そうした時、彩香からこちらに声をかけてきた。


「どうだった? 少しは使えるようになったのかしら?」


「多少は。だけど攻撃の手段としては今のところ役に立たないと思う。多量の力をコントロールするのは、現状では厳しいとしかいえないかな。と言うよりも魔力を集める力が弱くてそれほど量を集められないのが原因らしい。今のところ支援の方に力を使うほうが良いって事が判った事が一番の収穫だと思う。支援の方はまだあんまり練習して無いけどね…。それで、彩香の方は何をやっていたの?」


「私の方は弓矢の試し撃ちよ。今日借りたばかりだもの、何回か練習して弓の癖を覚えて置かないと、ゴブリンたちが来たときに撃てませんでしたじゃ示しがつかないもの。」


彩香の方もいろいろ準備をしているのだなと聞いて思った。しかし僕の方は現状何もできないという状態だ。少し悔しいが、できないものはしょうがないのである。


「ねえ慶吾、昨日の夜シルキーたちが言ってた風の影響を受けなくする事って出来そう?」


いろいろと考えているときに彩香から声がかかった。風の影響を受けなくする…そういえば言ってたな。支援系ならできるかもしれないな、シルキーたちに聞かないと判らないけど…


「出来るかどうかわからないけど、シルキーたちに聞いてやってみるよ。」


「お願いね。弓に羽が付いてなくて思ったより真っ直ぐ飛ばないのよね…」


羽が無い? ということは、作る矢も鏃と棒の部分だけなのかな? そもそもどうやって作るのかわからないんだけどね…。



そうこう話しているうちに次第に人が増えていき、座れずに立っている人が出てきた。そして、居間に12,3人入ったところで、偵察隊が戻ってきた。




「皆そろったな。それでは報告を頼む。」


「はい。今回森に集まったのはゴブリンの群れで間違いありません。で、規模ですが前回の襲撃以上のものとなっており、約70~90程いると思われます。進行時期がどうなるかわからないのですが、もし遅れるようなら100を超える可能性があります。さらに今回の襲撃の規模を考えるに、ゴブリンリーダーが生まれている可能性が高いと判断されます。その証拠に前回4年前の襲撃では50に満たない数で襲ってきたのに対し、今回は70を越える規模でありながらある程度統率されています。しかし、そろそろ一部が先走って攻めてくる可能性があるようにも見受けられましたので、至急防衛の準備を始めるべきだと進言します。」


「わかった、ご苦労。」


聞いて判ったことは統率する奴がいて、規模は前回の倍。前回の戦闘を知らないので判らないが、圧勝レベルで無い限り苦戦以前に敗北しかねないのではないだろうか…。


「では対策を考えていこう。誰か意見のあるものはいるか?」


「はい。前回同様盾壁を配置し進行経路を絞って迎撃、狙撃をするのが一番だと考えます。」


「しかし、それでは今回の数を抑えられるのか?」


「だが、これ以上良い策はなかなかあるまい。」


「討って出るのは愚策。しかし、今回も前回と同じようには行くまいて、数が圧倒的に多い。」


むむむ…と皆黙ってしまった。しかし、これ以上に何が出来るだろうか…罠でも置くくらいしか考え付かないな。


「今回は客人もおる、客人にも何か良い策があればお願いしたいところだ。」


村人の一人からそのような声が上がる。


「そうじゃな。彩香殿、慶吾殿。何か良い策はございませんかな?」


そう言われても、結局これしか言う事がない。


「罠を仕掛けるのはどうでしょうか?」


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