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陽爆の街、陰気の巫女1
俺が住んでいた街には神がいたらしい。
誰も見たことがないから神とみんなは呼んでいた。
不定期だが、この街辺りいっぺんには、ここいらを照らす太陽が強く輝き出す事があった。
街は圧倒的な熱に焼き焦がれ、空は雲ひとつ残さぬよう消え失せ、民の涙も枯らせてしまう。
だが、民は生き続けた。
みな、口を揃えて言うのだ。
恐るる勿れ、ダンジョン世界にシンマネ有る限り、光ある新しい力を持つ者が沈めたもう。
太陽の光を抑えたもう。
命の限り、戦いたもう。
くだらない。
「長老!急報です!連日連夜に続く集中照射現象によって、各地で死亡する者が!」
使用人が血相抱えて、状況を伝える。
「分かっている、救援は手配しておる」
「ハッ!それとこの現象に続いてナイトメアが現れ、皆を襲っています!」
「そうか……事態は一刻を争うな。今すぐジャンヌダルクをここに呼んでくれ」
「直ちにお呼びいたします!」
「止むを得まい……」