魂で出来た器にこそ、魂を3
「自分の剣にぶった切られる覚悟は出来たかよ!」
シキの武器は武術による洗練された動きだとしたら。
サンは黒い塊をひたすら抑え続けられた屈強な精神。
武器だってしっかり持ち合わせている。
オレだって、あいつにあんな感謝のされ方をされりゃあよ。
意地でも力が湧いて来るってもんだぜ。
「早い……!」
シルス!
絶対的に重ねてきた力がまたも破られたような感触の前に、シキは多大なショックを受けた。
そして止むを得ずシールドを展開させた。
「防いでくれ!リベール!」
このスキに態勢を……
止むを得ない、というのは少し違う。
先程の判断を覆してまで、シンマネを使うのは愚かと言える。
動揺が抑えられなかったのだ。
シールドがサンを包もうと動き出す前に、サンはそのシールドを切り裂いた。
この武器はゲルファルス・アムスは、微弱なシンマネ程度なら切り裂いてしまえる。
しかしロワールのシンマネで作る剣は破れなかった。
ロワールの言った、「型取り易い」性能とは、結び一つ一つが強靭なシンマネであり、クセもあるが強い力がある。
つまりシキのシンマネは弱いのだ。
どうしようもなく特徴がなく、量が少ない。
「死ねやぁあ!」
そのまま突っ込んで来る。
「クソがぁ!」
ゲルファルス・アムスどうしせめぎ合う。
「オレ達の力を試すつもりだったのがバレてんだよ、何が目的だテメェ!」
「終わったら話してやるよ!」
「くっくかかかか……あぎゃぎゃぎゃぎゃ!」
腹の底から掠れた声を出し、笑った。
「どっちにせよ小細工塗れの技と力でオレたちに勝てるわけねーだろォ!」
小細工に塗れた力だと……?リベールと俺の力を甘く見てるみたいだな。
「てめえ……そんな事言われると闘志が湧いて来るじゃねえか……」
お互いにシンマネはカケラも残っていない。
シンマネがないということは現実世界での活動エネルギーがないという事。
お互い立つ事もままならない状態で戦っていたと言えた。
「シキィ!!!」
「サァアアアン!!!」
未だかつてない気迫が拮抗する様を、ギャラリーは食い入るように見ていた。
そのギャラリーの中に、絶対にここ桜吹雪にいてはいけないようなナイトメアがいた。
『ふふ、彼が気になったから来てみれば……なるほど、面白い事になってるじゃないか』
『どうする?ここならあいつをまじまじ見てられるよ?』
『ミハヤ』