リベールといっしょ5
【はぁ!?】
「よお」
えっ、誰?これ、どういう事!?
何がどうなってんだい!
目の前にいるのってまさか、まさか……
【あんた……まさか、まさか】
「お前がナイトメア・アクセルだと、強く意識する事が出来るようになったんだ」
いやいやいや、全然答えになってないよ!
見えるようになった身体で自分の掌を見る。
ていうか身体なんてないよね。
【アンタなんでこんなところに!?っていうかこれが!?あたしの!?身体!?え!】
自分の頬を伝う手の感覚はリンクさせていた時のシキの感覚と似たものだった。
本物だ。
あたしはある意味無のような存在であり、リンクしないと何かを聞くことも何かを見る事も、何も出来ないナイトメアじゃなかったのかい?
それが全部出来るようになっていた。
しかも自分の身体が付いてきた。
【何も、何も出来ないナイトメアだったはずなのに……】
「何も出来ないなんてことはなかった、アンタに俺は何度も命を救われていたからな」
あたしはシキに少しずつ歩み寄ってこう言った。
【会いたかったんだよ……ヒトって奴に、あたしがわざわざ守ってやってるんだから】
「ずっと不思議に思っていたんだ、これはただの物なんかじゃない。魂が宿っていて、しかも生きている。故意に俺を助けている、ずっと感じていた」
【リンクしてるから、分かるよ】
「んでお前が俺に付き添ってくれる他でもない、ナイトメア・アクセルなんだと、顔も知らないブレーキが教えてくれたんだ」
「そうか、アンタが、俺のナイトメアアクセルだったんだな」
なるほど……
いきなりの事で戸惑いが収まらないけど、こりゃあいい。
あたしはその手を掴んだよ。
【いつも感じてたシンマネ。直に触れて見たいんだ】
「ああ、どうかな。いや……俺のシンマネはどう?戦いに向いてる?」
せっかくだからイタズラっていうのもやってやろう。
あたしはシキの手を強く握ってみた。
「何しやがる」
【あんたのシンマネは今まで見た事ないくらい戦いに向いていないよ】
「なんだって?」
【思考を通わせ、何かを象ろうとしても全然出来ないし、属性変化もまるで反応しやしない、おまけにあんた自身の身体に持てるシンマネも全然少ない】
「うっそだろ……?」
【笑ってしまうほどに戦いに不向きなんだよ】
ちょっと泣きそうになってら。
おもしろ。
【ねえ撫でてみてよ】
「ああ?」
【ほら】
荒い感じにグリグリ頭を撫でてくれた。
【やっぱりね】
あたしは思ったよ、コイツに決めたって。
「なんだよ」
ナイトメアが守るヒトを選択するなんておこがましいような気もするけど、コイツがいい。
【こんなに暖かなシンマネをしてるんだ。あたしが無駄にはさせないよ】
どんなに戦いに不向きなシンマネでも、それでも、そう思った。