シキといっしょ8
観衆の声に耳を傾けると、あの生意気な同い年くらいの、奴の名前がすぐに分かった。
『やれー!シキー!』
『今回もあいつの勝ちだろ』
『シキの実力と能力は絶対に破れねえ、可哀想に』
喧しい。
せいぜいほざいてろ。
シキって言うのがあいつの名前か、なるほどね。
まず武器を何か作る、イメージだ。
漫画やアニメで見たようなものから引っ張って頭で描いて、象る。
そうすると自然に出来たのは、片面が刃で出来た背丈ほどの巨大な剣だった。
そしてその剣と自分の身体はシンマネがリンクさせ、恐ろしく軽かった。
軽く振り回せる程に。
昔、ゲームで目の当たりにした勇者にのみ扱える伝説の武器を思いついたのだ。
万人が手に持つと、見た目以上の重さで使えたもんじゃない、選ばれし者のみが扱える伝説とはこんな感じであろう。
ロワールの言った通り、あいつの作るシンマネは順応性が高い。
「これなら!」
両手でしっかりと握り、斬りかかる。
ギリギリまで燦の出方を見極めるように、シキは動かない。
コイツ、刃が当たる紙一重まで動こうとしない。
致命傷になる攻撃を食らって良しとするような立ち回りは有り得ない、何か、何か。
何かヤバい!