55/100
再々会
季節は冬。
冷たいというより、最早痛いと形容できるほどの空気による、肌への感覚が僕の全身を駆け回る。
雪祭りである。
夜風がヒトとヒトとの隙間を吹き荒び、冷たい空気をより荒らして行く。
僕は一人で札幌の真ん中で開催されるイベントを練り歩いていた。
いつも一人で暮らし、一人で遊んでいた僕だけど、このイベントは毎年来る事にしている。
雪が溶け、それがまた凍ると氷になる。
そいつらが織り成す色んな形は、見ていて飽きない。
自衛隊さんが職人さながらな手付きであっという間に作ってしまう。
全てが氷で造られた城なんかもある。
寒いのはあまり好きじゃないけどヒトが集まってごった返している雰囲気がいい。
いつも通りのはずのそんな日常の一部に、絶対あり得ないはず、ここには居るはずのない存在が、僕に声をかけて来た。
「燦……?燦……だよね」