独占欲と力5
「タブリスの宵祭」
記憶の中でイメージした世界をシンマネが再現する技。
他のナイトメア・ブレーキに教えて見ようとも思ったが、あまりにもシンマネの容量が足りなくなりがちになる。
使えるのは無限に湧き出るシンマネを持ち、それを制御できるアゲハだけだ。
「森を、シンマネで作ったのか……」
改めて敵が持つ圧倒的な実力に気圧されそうになる。
こんな事を容易く行うのに、まだまだ余力があるようだ。
更に、こんなものを用意してるくせに地の利を得ているようにも感じ取れないのも腹が立った。
自分はこれだけの力があるからとっとと諦めろと言っているようなもんじゃないか。
枝に足をつけて僕を薄ら寒い笑顔で見下ろしているあいつは。
僕を怒らせた。
「さあ、どうだ。この森さえ私の力で作り上げたものだ。大人しく死ぬか?それなら無理に痛みを与えずに安楽で逝かせてあげる」
アゲハは枝を蹴り、真っ直ぐに燦に向かって肉弾戦を仕掛けにいく。
……冗談じゃない。
「冗談じゃないんだよ!うおおおおッ!」
燦は気合の咆哮と共にナイフを自分の足に突き刺した。
「……ぐッ!」
傷口から虹色の光が溢れ出す。
こんな痛み、どうってことはない。
まとわりつく恐怖は痛みで振りほどく!
「第二ラウンドだ!」
「こい!」