ミハヤ6
「キミのいう通りだよ」
「え?」
「理解しようとされると怒っちゃうやつ、よくよく考えたら心当たりがあったよ、私にもね」
「でしょ」
「だけどキミも同じくして分かったようになった気でいるよ」
「なにを」
「私はキミを理解しようと頑張ってなどいない、理解する事なんてそれこそキミのいう通りで出来ないように思う、何処から来たのか、何処で生まれたのか、何のためにあそこで行き倒れになっていたのか、でもね」
「だからといって、理解しようと思う事を辞めたら意志のあるナイトメアとしては失格だ。キミが倒したそこいらの木偶の坊と何ら変わりがない」
真っ直ぐ、言い放った。
するとまた元の優しい顔に戻って。
「……痛かったよね」
どうあっても他者は他者の気持ちが分からないと言いつつ、ナイトメア・アクセルの使命に反発する私を分かって欲しかった。
私は爆弾のようなもので、爆発に巻き込まれるような人はいないから。
すごく寂しくて、紛らわすように街を出たけど知り合いも親もいなくなったことで、だからなんだと言わんばからりそこまで寂しさは変わらなかったのがより悲しかった。
「……うん……っ」
涙が止まらなかった。
「キミの事はよく分からないけど、お腹が空いてるって事は理解してるからね」
痛めつけられた時の痛みなのか、それとも誰とも分かり合えない自分の不甲斐なさからくる心の痛みなのか。
それは今でも分からないけど。
ただ一つ理解したのは。
私の額に触れていたあの人の手はかなり暖かかったという事だった。
それから私はナイトメア失格の看板を心の中で背負い、あの人の元でシンマネを扱う修行をした。
事実上の師弟関係だと思う。
集落の森で数年修行していたが不思議なことがいくつかあって、あの人と一緒にいる限りはあの時のように意志のあるナイトメアに襲われるような事は以降全くなかった事。
ナイトメア共があの人の姿を認識した途端、どんどん姿を消していった事。
多分あの人もまた私と違う種類のナイトメアだったんだ……
燦を見てると何処となく思い出す。
あの人に認められて嬉しいと思った時もよりシンマネの使い方が分かって楽しいと思った時もあの笑顔は、私にはとても真似できない。
だけどあの人は自分が住んでいた集落が襲撃により住民共々壊滅し、悲しみに包まれようとも、私がどうしようもないせいで怒りたくなっても笑っていられること。
かなり前のことだったから忘れていたけど今、思い出した。
私の強さがシンマネだけじゃないということも。
そう、あの人に出会う前から私は強かっただろう?
燦、ありがとう。




