サンと燦2
「ミハヤ!」
いつの間にか倒れている彼女に燦は本当に心配そうに駆け寄る。
苦しそうに、唇を噛む彼女。
その頬に手を当てる。
体温が、かなり低いぞ……
枯渇していたエネルギーだな。
枯渇していたエネルギー?
あのスカした野郎がコイツから奪っていったのが見えた。
「ミハヤ……」
「さ、サン……約束守れてない……」
「僕は約束なんてしてないよ……」
もうめんどくせぇからよぉ。
先に聞いとくぜ?
てめえ、コイツに自分のエネルギーとやらをやるつもりじゃあねえだろうな。
また戦いになったら今度こそ詰むぞ。
光から剣を生み出す。
自律させ遠隔から攻撃する場合には、その空間に光の粒があることを何となく認識しているとあのように攻撃に使うことができる。
空間にある力を間借りしているしているので、この時はエネルギーを一切消費しない。
だが、先程まで手に持っていた剣はしっかりとしたカタチで、かつ自分が手に持ち、振り回しても問題はなく、多少のダメージにも耐えうる立派なもの。
これは、己の体内に血液と共に駆け巡るエネルギーを利用している。
自分の身体にあるものが制御にうってつけなものであり、不可能であった事を可能にする。
ロワールは剣を空間で生成しないまでも、似たような事はしてこなかった。
つまり、できなかった。
それは自分のなかの「そういう才能、能力」が他より優れているのかもしれないということを指していた。
分かってるよ。
だから「交換」することにするよ。
……んだと?
「今助ける」
交換ってなんだよ?
見えていないんだね。
彼女は最初から具合が悪いんだよ。
そうなのか?
僕に会った時から既に始まっていたと見ているんだ。
始まっていたって……なにいってんだてめえ。
それがなんでかっていうと。
燦はミハヤのお腹に手をやり、視線をそのお腹に向けた。
燦の目にはゆらめく黒い炎が映っていた。
そこに触れる。
意識を完全に共有しているにも関わらずサンには見えないのだ。
完全に共有しているにも関わらず彼の意思は度々読めないときがあった。
今回もそうだった。