サンと燦2
もう、光の剣が出せない。
体内のエネルギーが、光の粒子が、もう枯渇しているのか。
心臓の鼓動がより強く感じられる。
これが疲労。
手に持たれた力の証は細々と消えてなくなった。
僕は、もうこの力は使えない。
では、彼は。
涼しげな顔をして僕に剣を突きつけている彼は。
先程まで節約するつもりもなく全力で僕と似たような力を使っていたのに、なぜここまでやれたんだ。
才覚。
戦いは残酷だと、そう思った。
身体に大量に詰まっている訳ではない。
この空間に散らばっている光を、彼は自在にコントロールできる。
そうとしか。
瞬時に曖昧な物質の存在を認識し、固形化させることができるのか。
だとしたら。
そうだとしたら僕は。
とんだ道化だよ。
世界の全てを手にしたとしても、それが僕の幸せじゃないから……
声……
いいよ。
見逃すのか?
「遠い昔に、何があったの?」
ロワールは視線を反らす。
あのよぉ、これからこいつに止めを刺すんだよ。
ダメだよ。
はぁ!?なんで!?
殺ったら殺るよ。
て、てめえ……
「じゃあ、僕は行くから……」
床に倒れるロワールに背を向け。
ミハヤの元へ歩いていく。
その背中には、これから起きる運命を背負えるのか。
心の中で問うた。