サン
ロワールが頬に当てられたダメージは、大したことがない。
単純に彼の身体はガタイもよくなく、力もないからだ。
すぐさまロワールが素早い剣捌きで攻める。
それを軽やかな足取りで回避し続けるのである。
先程のダメージがなければ、更に鋭い動きになるのかもしれない。
当たらない……だと。
ものともせずかわす。
こいつは……
かわす。
まるで……
かわす。
別人のようだ。
剣撃のすきま風から鋭くつきささる拳。
うっ、一体ッ……!?
「オラァ!!!くたばれ人間モドキが!!!!!」
たじろぐ彼に更なる連撃を追撃を、数打ちゃダメージになると言わんばかりに叩き込む。
たまらず距離を離していくロワールに、ナイトメアの残骸が多数遺した欠けた剣を投げる。
かなりのスピードで迫る。
かわす。
それがフェイント。
2本目を投げる。
これは弧を描くようにゆっくりだ。
推測位置から離れる。
そこに三本目。
鋭いモーションで投げつけた。
反射的にかなりのスピードが出ると感じ、移動したが。
投げつけた先はあの弧を描く2本目。
「なんだと!」
弾き飛ばされた2本目がロワールに落ちていく。
髪一発分、腕を掠めた。
ロワールがその瞬間鋭い殺意が迫っている事を肌で感じ取る。
空から彼が剣を両手持ちで、強襲をかけてきたのである。
この為の布石。
身体能力から編み出される破天荒な戦術。
「うぉおおおおおおおおおおッ!!!!」