サン
聞こえる。
僕の心にアイツの声が。
耳を塞いでもちっとも意味がないんだ。
「おい、オレの出番なんじゃねえのかこれ?」
静かにしろ。
「てめぇ……死にてえんだな」
お前に凌げるもんかよ。
「口調が似てきてるぞォ」
うるさい。
「あんなとんでもねえ化け物見てたら溜まっちゃってよぉ。どいてくれよな」
できるのか?
「お前より可能性あると思うけど?運動神経?ってやつならお前の1000倍あるしな」
悔しいけど、その通りなんだよな。
今度教えてくれよ。
「嫌だね」
……たのんだよ。
「あ?」
頼んだよって言ったんだ!!僕はまだやりたいことも沢山あるんだ!星に願いを込めるよりも、もっと沢山の事をしたい!
「そう言われるとなえちまうな」
心の中で、もう一人の彼は目を反らして燦の肩を叩いた。
「だがよ、分かったぜ。クソみてえな場所で俺もお前も死ねねえな?」
これが、彼らの間での交代の合図。
次の瞬間である。
上から来るロワールによる、脳天を狙った剣は空をつく。
それ以上に高く飛んで、回避したのである。
そして、その空中にいながらも。
身体をうねらせ。
「うぉらァ!!!」
「クッ!?」
ロワールの頬に回し蹴りを喰らわせたのである。
これが、燦の身体に巣くう最強の悪魔。
サンである。
「身体は確かにいてぇな」
今までの幼さや柔らかさを備えた彼とは、違う。
「けどよォ」
全身に殺意と狂気、鋭いエネルギーを纏わせているのが分かった。
「それが生きてるって感じなんだよな」