ロワールになる
ここで、ロワールがあることに気づく。
パワーが負けている。
競り負けている。
燦はあることに気づく。
あの粉を浴びたら、凄く身体の調子がいい。
痛みが引いてる……今ならこいつを退けられる。
ミハヤさんを、僕は助ける。
あの鉄のオモチャなんかとは比べ物にならないくらいパワーは弱い。
燦が弾き飛ばす。
後ずさるロワール。
「一体何をしたの?こんなに調子がいいのは生まれて始めてだよ」
きょとんとしている燦にもっと嬉しそうに笑うロワール。
「祝福だよ」
「何……?」
「でも、君には必要なかったかもな。どちらにせよ、ようこそ、不思議のダンジョンへ」
「不思議のダンジョン……」
その単語に、すごく惹かれる。
「君だけじゃないよ、ここにいる人は」
「どういうこと?君を見れば人じゃないのは分かる。他にもここに僕みたいな人が?」
「ふっ、君だって人間かどうかも疑わしいじゃないか」
「答えろ!」
燦は欠けた剣を踏み込みつき出す。
「あっ!」
それは綺麗に捌かれ、顎に爪先で蹴りを入れられた。
「ぐわっ!」
「勇気ある者は素敵だと思う」
飛び込み、蹴りを連発して入れる。
更に後方へ押し込まれる燦。
ダメージにはなる。
やはりそれなりに痛い。
「うおおおおおおおおっ!!」
すぐにロワールに切りつける。
激しく打ち合う二人。
ロワールは驚く。
「アレ」を浴びただけで、すぐにその力の有用性を直感で理解し、攻撃に転じてきた。
素質はあるようだね。
嬉しい。