3話 伸縮する秘部Ⅲ
ピヨリは急いで体操服に着替えていた。クラスにいる生徒は、もう片手の指で数えるほどしかいない。
先ほどの戦闘、なにもかもが突然の出来事でついていけないと思っていたが、大方の整理はついた。
奴、長嶋は一応ながらこの部利一高校の一般教師だ。異能力組織の一員らしい。
その組織の狙いは、異能力発現者の勧誘。組織は長嶋という教諭で生徒であるピヨリに接触を図った。
組織の勧誘を拒んだピヨリは、組織の脅威として成りうると判断したため長嶋に”処理”されるところだった。
だが、ピヨリの発現した異能力”伸縮する秘部”(ロングマラー)で長嶋は返り討ちにあい、あえなく虜となった。
「……これで終わりなわけがない」
組織はピヨリを野放しにするはずがないだろう。
もしかしたら次の刺客が来る可能性が高い。
ピヨリは奴らに命を狙われている。次は、命がないかもしれない。
「……まずは体育だ」
時間がない。着替え終わったピヨリは脱兎の如く体育館へと向かった。
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「ピヨリー、お前なに楽しそうにしてんだ」
「いや、やっぱり桃尻莉乃ちゃんがいるからなー」
「桃尻ルックスが桁違いにいいもんな」
ピヨリは彼女に好意に近いものを感じている。
最近では珍しい一目ぼれだ。頭は上の中 運動も上の中。顔は童顔で、身長は150㎝弱。ボンキュッボンのグラマーな体型。
ピヨリが最も好んでいるのは、ムッチリとした尻だ。
「テルモ、やっぱり学校一は桃尻莉乃ちゃんだよな」
ピヨリは莉乃から目を離さずに話をする。
「いや、オレピーとしては学校一巨乳の持ち主のあの子だな」
テルモがいつものように変な一人称で会話に応じる。正直、頭は悪いが、直感は鋭いので隅に置けない。
テルモというのは岡松テルモのことだ。約3か月ごとに一人称を変えると言うことと、学校一巨乳好きとして有名である。
頭脳は中の下 運動だけ上の下 身長は180㎝弱。体重は82㎏とかなり筋肉質だ。
「おい、テルモ見ろよ。莉乃ちゃんがあんなに胸を揺らしながら三連続バク転をしてるぞ!」
「おおお! これは良いものだ……!」
テルモとピヨリがそんなくだらない無駄話をしていると、莉乃がこちらに向かってトコトコと歩いてきた。
「岡松君と願先君はやらないの? 私もうバク転36回やったよ」
その体のどこにバク転36回する力があるんだよと、ピヨリは心の中で突っ込む。
「俺はマット運動苦手だから前転だけでもするかな。テルモは?」
「オレピーか? オレピーはな、バク転でもするか」
その日体育の時間はテルモはバク転7回、ピヨリは前転を26回、莉乃に関してはバク転を42回していた。
いつもとさして変わらない体育の光景。
その時間大きな事件は何も起こることは無かった。