24話 愛と恋愛Ⅱ
それから30分ほどして愛はベンチに戻ってきた。
「すみませんピヨリ先輩」
なにか決意を固めたその表情で、愛は頭を下げた。
「ああ…いいよ……そんなことより、さっきの返事は!?」
ピヨリは鼻をふくらませながら、身を乗り出して言う。
「いいえ、それよりも!」
強引にピヨリをスルーし、愛はピヨリの目をみつめた。
「私はテルモ先輩より、ピヨリ先輩側につくことにしました」
「はい…………? 俺につくって、つまりどういう意味だよ?」
愛の言っていることが良く分からないが、とりあえず必死な感じなので、訊いてみる。
「ピヨリ先輩からしたら、命にかかわる重大なことです」
「……なんだよそれ 新手の『神の能力者』が来るのか?」
「いいえ、違います」
愛はかぶりを振って、真剣な眼差しで事情を簡潔に説明した。
「テルモ先輩……いや、反逆者の皆が、ピヨリ先輩をカモにする計画があるんです」
「――――!?」
ピヨリは心底驚いた。息をするのを忘れるほどに。
「お、オイ、冗談はよしてくれよ。あのテルモがだぞ!? テルモが俺に、そんな卑劣なことする、はずが、ねぇッだろォッがァ!!」
ピヨリは声を荒げて否定した。
「落ち着いてください、先輩。先輩は親友と恋人、どちらを信じますか?」
「……なん……だと……?」
愛は濁りの無い純粋な瞳で、ピヨリの目をみつめる。
ピヨリは内心、俺たちもう恋人同士なんだ……と思っていた。
頭を抱え必死に悩みぬいた末に、
「やっぱり、長年の親友だろ……」
ピヨリはテルモが裏切らないでほしいという、願いも込めて、言った。
愛の顔が少し暗くなった。
「そうですか、分かりました。ならば、今日ピヨリ先輩だけには知らされていない会合があるんけど、その内容を私が盗聴してきます」
「ま……まじかよ……聞いてねぇよ」
手に汗がにじむ。心臓がムカムカする。
本当に、テルモが……?
意味が分からない。理解ができない。
……理解が出来ない苛立ちに、眩暈すら覚える。
「もちろん、幹部だけの会合です。恐らくですけど、ここ最近の校長戦の話がメインになると思います」
ピヨリはそれから何も言えなくなった。
通信機のようなものを、俺に託した。
「それでは、私はここで。今日はテルモ先輩に、ピヨリ先輩は休むと伝えておきます」
愛はピヨリを心配そうに見ていたが、やがて会合にアジトに行った。
棒立ちしていたが、段々と今の状況を理解できて来た。
「クソ、なんなんだよ……そんなはず、あるわけねぇ」
確かめよう、この盗聴器で。
ピヨリはアジト方面から進路変更して、家に帰った。




